賢者部
寒いなぁ。冬眠に入ろうかなぁ。甘いもの……糖分ほしい。ケーキ食べたいよぅ……
「ねぇ、カイル。今度こそ普通じゃなくてもいいから、落ち着いた人達がいればいいね。」
今まで会った人は皆存在感が濃い。主にキャラが。僕、ついていけないよ。
「そうだなぁ。何て言うか、皆キャラが濃いもんな。勿論ラピスも例外じゃないんだが。」
「は!?なにそれ。僕は普通でしょ?」
僕は普通…の筈。いや、あの子達よりはまだ普通の範囲だ!!許容範囲内の筈!!!
「いや、魔法を無詠唱で使えてる辺りおかしいぞ。状況判断能力も優れてるし、人望だって集めようと思えば集まる筈だ。見た目もウケがいいし、王族としての責務もちゃんと果たしてる。まとも、なんだが…それでもお前の存在感は濃いぞ。」
無詠唱ってやっぱり珍しいの?
今後はめんどくさくても、短くてもいいから詠唱すべきか。てか、カイルの僕への評価ってまともだけどまともじゃない…なんだね。ちょっとショックだよ……。褒められてるのか貶されてるのかわかんない…。
「うっそだぁー。」
「いや、わざわざ嘘はいわないぞ。」
「…うーん。まぁ、それは置いといて……ついたね。ここが賢者部…!」
カイルと話している内に賢者部の部室に到着した。
「カイル、僕は今っ…感動してるよ!」
「おっ、おう?まぁ…分からなくはないが、泣く程か?」
何いってるのさ!?見てよ、この平凡な扉を!!綺麗に掃除もされていて、塵一つないよ!?うわぁ、やっと普通に会えた!部員の人も普通の人がいいよね!あっ、でも。賢者部っていうくらいだから、真面目な人がいっぱい居るんだろうなぁ……。もう、ここしかないよね!?残り二つ部活もよかったけど、やっぱり落ち着いた雰囲気がいい!
「ラピス、声に出てるぞ。」
「ふっ…ワトソンくん、君は分かってないなぁ。」
「いや、ワトソンって誰だよ。」
「細かいことは気にするんじゃないよ!さぁ、未知の世界へレッツゴー!」
この扉の先には僕が望む楽園が待っているに違いない!!
「ごめーんくーっだーさいっ!」
……そして、一時沈黙が続いた。
「………………ラピス。」
……微かに、僕のごめんくださいの語尾が響いてる。僕の頭の中で。
そして、僕の目に写っている光景を擬音で表すとしたらこうだ。
『ヒュゥー…チーン』……だ。
「え、ちょっ…何で誰もいないの?今部活時間だよね?ね?え、なに。この空回り感!」
「ラピス…出直すか。」
「やだよっ!ここまできて、引き返せると思う!?こうなったらもう、僕が気になる事を全部知るまで帰らないからね!」
グリンッと体をカイルへ急旋回させ、胸ぐらを掴み、揺さぶる。
「おっ、おっ……らぴ、ラピスっ!」
「なに!?君が認めるまで止まらないよ!!ほら、わかったっ言うんだ!」
「まっ、まてっ…て!う、うえ!上!」
途切れ途切れでカイルが紡いだ言葉。
「上?上に何が………っ!?う、嘘だ…」
「嘘ではないぞ、第四皇子。」
「なっ、何で天井に張り付いてるのさ!?」
そう…上。つまり、天井には無数の顔があった。正しくは、人が天井を埋め尽くすほど張り付いているのである。そんな中で本を読んでいるのだから、物凄い根性である。てか、天井に張り付いて本読むとかどんな芸当だよ……。
いや、これは根性とか関係ない…。
「何故天井に張り付いているか…それは、答える義理があるか?」
「いや、普通気になるよね!?」
「むっ…確かにそうだな。では、教えてやろう。何故天井に張り付いているのか…その答えは至極簡単である。……天井が、落ち着くからだ。」
「いや、どんな状況だよ!?天井が落ち着く要素ある!?逆に怖くない!?」
「ふっ…怖いだと?我らは断じて人見知りなどではない。だから天井にくっついているなど、死んでも言えん!」
「いや、言ってるし!?」
「しまったぁぁぁ!!!皆のもの、すまん。バレてしまった……」
「え。その前にバレないと思ったの?めっちゃはっきり言ってたのに。」
「これだから優秀な者は嫌いなのだ。」
「いや、優秀かそうじゃないとか関係なくない!?誰だって察するよ!てか、足プルプルしてるよ!?危ないから、早く降りてきなよ。」
「ふっ……我々を甘く見てもらっては困るな!これしきの事…「うるさい。早く降りてくださいよ。本当に口が軽いですね。それでも部長ですか?」……ミリアよ、人をいきなり蹴落とすのはよくないと言っているだろ…ぐほぉぉぉ!?」
「気安く名前呼ばないでくれます?」
「人をクッションにするとは何事かぁぁ!」
「あっれー?部長って人だったんですか?ただのゴミかと思ってました。」
「君は相変わらず冷たいなっ!」
「はぁ?頭おかしいんじゃないですか?落ちた衝撃でイカれちゃいました?廃棄ですね?廃棄でいいですよね。」
「これは……」
突如部長らしき人物が蹴りおとされ、その後その蹴り飛ばした女の人が部長の上に綺麗に着地し、罵っている…。これは、普通と言えるのだろうか。……否、これは普通……
「じゃなぁぁぁぁいぃ!!」
「うわっ!?ビックリしたー。いきなり大声出さないでくれませんか?第四皇子様。」
燃えるような赤い髪と瞳をした綺麗なお姉さんに、睨まれました。
あぁ、Sっ気があるんですね?
もう、僕の周りには普通の人が現れないらしい。あぁ…詰んだ。
帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい!!!
だれか、僕を拐って……?
誰か、拐ってあげて?ハイスペック美少年だよ!
賢者部2を投稿したらキャラ紹介話になります!




