波乱の予感……?多分。
更新遅れました!何だか、私の作品でこれが一番人気のようですね~。嬉しいです!
今回、ラピスくんは裏の顔のようなものを出してきます。
「いい加減になさい!身分を弁えたらどうなの!?シリウス様だけでは飽き足らず、ラピス様や他の有力な殿方に言い寄っていると聞きましたわ!所詮は平民上がりね、する事がはしたなく、下品だこと!」
「婚約者のいる殿方に言い寄るなんて、どういう神経をしておりますの!?下賎かつ、身持ちの軽い女ですわね!!」
「ラピス様は私のものなのです!貴女のような下賎な人間は、ラピス様に不相応!常識も弁えぬ小娘が、調子に乗らないでくださる!?それに、ラピス様は迷惑してますのよ!」
「これは……」
裏庭で言い合う悪役令嬢とヒロイン!
これ、確かシリウスが助けにくる奴だよね?
修羅場だよね?これ。
「身分不相応という言葉を知りませんの!?高貴なる貴族たる私たちと違い、貴女は下賎な平民!」
「そんな事いわれてもっ……私、そんなつもりじゃなくて……」
「猫被りはいい加減やめたらどうですの!?」
「そんな、猫なんて被ってないです!これがありのままの私です!」
「まぁ、平民如きが私達に意見を申すなんて無礼にも程がありますわ!そうだわ…リンネ、貴女炎が得意だったわね?」
「はっ、はい。」
悪役令嬢は少しじみ目な令嬢をじっと見ている。
「丁度いいわ。この綺麗な顔を焼いてしまいましょう。髪も焼いて、表舞台に出られなくしてやりなさい。」
「えっ!?でも、それじゃあ後で…バレたら、どうなるか……」
「平民と私のいうこと、どちらが信用されると思ってますの?私は公爵令嬢なのよ。」
「そっ……そう、ですよね……」
「ちょっとまって……そんなの、ゲームにはなかった筈……」
「今、なにか仰いまして?今更後悔したって遅いのですわ。リンネ、早くなさい。」
「はっ、はい!『業火の炎よ…』」
はっ!?ちょっとまてまて!!
そんなの、絶対話になかったって!!シリウスは何してるの!?って、魔法発動前!
いくら何でもやりすぎだよ、悪役令嬢!
「ひっ……」
「『目の前の敵を焼いてしまえ!』」
「ええい、どうにでもなれ!魔力消滅!『消え失せろ、炎よ!』」
ヒロインにむかって発動された炎を魔力消滅によって消し去る。
あれ、中級魔法だよね。
この子、加減ってものをしらないの!?
「なっ……消えて…?」
「君達、何してるの。」
「ラピス殿下!?何故ここに…」
僕が止めに入ると、悪役令嬢は驚愕の表情を浮かべる。回りの令嬢達は真っ青になっている。
「これは、どういうことかな。説明してもらえる?」
見てたけどね。…つい、出てしまった。うわぁ、どうしよう。
「こっ、これは…この娘が分を弁えないものですから……」
「だからって、していい事と悪いことがあるよね?公爵令嬢なのにそんな事も分からないの?」
「そんなっ…私はただ、ラピス殿下が迷惑なされていると思って……」
「だから、なに?確かに僕は彼女が苦手だ。けど、こんな事をされても嬉しくないよ。」
「ですがっ……」
「いいから、黙って聞け!!!」
ただ、これだけは覚えておいて貰わないと。
魔術は人を助けることが出来るけど、それと同時に簡単に命を奪ってしまう。軽はずみな行動は許されない。
「ひっ……」
「いいか?魔術ってのは便利ではあるが、使い方を間違えれば沢山の人の命が失われる!!今回の件もそうだ。一歩間違えれば彼女は命を落とし、魔術を使ったそこの令嬢は殺人者になるんだ。勿論、主犯格である君はもっと罪が重い!あまりにも愚かで、軽率な行動だ。」
「それは…私は、ただ…」
「女性の恋心っていうのは暴走しやすい。そして、民の安全を守るのが僕達王族や貴族の役目。平民を見下すような発言と振る舞い。君は度が過ぎる。一時の感情に身を任せれば、君自信を破滅へ導く事になる。それをよく、心に刻め。」
「っ……申し訳、ありませんっ」
地面に崩れ落ちるように座り込んだ彼女は涙を流していた。心がいたいよ。でも、今回は本気でしゃれにならない。今のうちにしっかりと釘をささないといけないんだ。
「謝るなら、僕ではなく彼女に。」
「……エミュリタス男爵令嬢、謝罪致しますわ。…本当にごめんなさい。」
「…いっ、いえ。お気になさらず…」
謝ってきた悪役令嬢に、ヒロインは
困惑している。うん、そうだよね。
多分……いや、絶対ストーリーから外れてる。大丈夫かなぁ、これ。
「さぁ、立って。あぁ…服が汚れちゃってる。『水よ、汚れを落とせ』、『温風』。はい、これで大丈夫。」
服についていた土汚れを魔法で綺麗にして、即座に乾かした。
「魔術……ありがとう、ございます」
「気にしないで。これからは気を付けるんだよ。僕は君が、本当はいい子だって知ってるから。」
うん。本当はこの子、凄く優しいんだ。ちょっとツンデレタイプに近い。
花を見ている時はとても優しい表情をするし、孤児院などにたまーにお忍びで遊びにいってるのを何度か見かけたことがある。
毎回子供に振り回されてたけど。
「ラピス様…。本当に、罪なお方ですわ…」
「えっ……」
「ふふっ。こんな気持ち、初めてです。私は公爵令嬢…これからは公爵令嬢としての役目を務めますわ。」
ふわりと笑った彼女は、とても綺麗だった。ちょっと、ドキドキする。
「……っ!笑ってる方が、可愛いよ」
「へっ?まっ、まぁ…ラピス様ったら!私、照れてしまいますわ…!」
まるで林檎のように頬を赤くした彼女はとても女性らしい。ゲームの中と言っても、この子はちゃんと生きてる。今までの考えを改めなくてはいけない。
「あっ、顔赤い。可愛いね。やっぱり、女の子は笑ってる方がいいよ」
「ラピス様……。」
「ん?なぁに?」
「なっ、何でもないですわ……。私、そろそろ授業へ戻りますわ。」
「あっ、そっか。もう始まってるね。うん、行ってらっしゃい。」
「はい!では、ラピス様。また会いに来ますね!」
「うん、いつでもおいで。」
悪役令嬢は笑顔で去っていき、その取り巻き達は困惑しながらも彼女を追いかけていった。
「さて……と。」
問題はヒロインなんだよね。
「君、立てる?」
「えっ?あっ、うん…じゃなくて、はい。」
「何で誰か呼ばなかったの?後少しで大怪我するところだったんだよ。」
「えっと、その……」
「……うん、まぁ無事で何より。嫌なら無理に話さなくていいし。」
「あっ、あの!助けてくれてありがとうございます。」
「……気にしなくていいよ。この国に住んでいる者を守るのが僕達王族の仕事。今日は早退するといいよ。顔色が悪いし、怖かったでしょ?
先生方には僕から話しておくから。」
「えっ?あっ、ありがとうございます。」
「…馬車の手配をしておこう。家に帰って、休むといい。体は平気でも、心はそうじゃない。」
「……何から何まで、本当にありかとうございます…。」
「気にすることないよ。さっきも言った通り、それが僕の義務であり仕事だよ。……また今回のような事が起きる前に、何か異変があったら僕に相談しにおいで。僕が対処できる範囲なら力になろう。」
「どうしてそこまで……」
「君はか弱い女性だ。王族の義務の前に、か弱き女性を守るのが僕達男の使命でもあるからね。強き者は弱き者を守る。それが紳士ってものだよ。」
「っ!」
あれ、ヒロインの顔が赤い。
熱でもあるのかな?早く休ませないと。
「顔が赤いよ、大丈夫?顔色も悪かったし、熱があるんじゃ……」
「だっ、大丈夫です!!熱はないので!それじゃあ私、お言葉に甘えて早退しますね!では、さようならっ!」
「えっ!?ちょっ、まっ……えぇー…行っちゃった。」
一人取り残されましたね、はい。
「……もう、思いっきり壊しちゃってるな、僕。」
まぁ、元からシナリオ通りにいくつもりはないんだけどね。でも、今回は予想外。まさか、あそこまでするとは思わなかった。ていうか、シリウスどこいった。
「まぁ、悩んでてもしょうがない。僕も教室に戻ろっと……」
にしても、僕の知らない所で色々ズレてきてる。僕とヒロインの他に、記憶持ちの人間がいるのかもしれない。二人存在してるなら、もう一人くらいいてもおかしくない。
当分は油断大敵かな。
学園の秩序を守りつつ、他国の情勢や
人の出入りをよく見とかないと。
何だか、不穏な感じがする。
僕の勘って結構当たるから、気を引き締めないと。
予想外なことはいっぱいあったけど、ヒロイン…あの子も話してみると結構いい子なのかも。
新たに短編小説として【ちょっと変わった婚約破棄騒動】と【ルイスの初恋】というのを出しました。ルイスの初恋は婚約破棄騒動を見てからにしてくださいね!じゃないと、話がわからないと思います。応援、よろしくです!




