02_魔王様、素行に悩む
私は魔王だ。
世界征服の進行が順調すぎてつまらないので、
今月から無法者をとっつかまえて荒れた道の整備をさせる活動を開始した。
賃金も飯も出しているせいか謀反や逃亡も無いし、
むしろまだ統治していない所の海賊や山賊も転職志願をしにやってくることもあるらしい。
まぁ、不安定な生活だろうからな。転職したくもなるのだろう。
・・・それはさておき、とにかく危険が少ない整備された道が増えたわけだ。
ちゃんと村の周りには強い魔物は立ち入り禁止にして、レベル上げも安全にしやすくなったはずだ。
これで勇者の道中も安心だな。
「魔王様」
おお、どうだ?勇者・・・いや統治は順調か?
「はい。ですが統治していない大陸の人間の国の間で勇者なる存在が大量発生していると報告がありまして、
部下たちが調査に行っております」
・・・おお。それは素晴らしい。
何しろ今回の私の政策で格段に旅がしやすくなっただろうからな!!
それで、どんな勇者なのだ?私は剣士でも魔法使いでも大歓迎だぞ?
「調査報告によりますと勇者達は他人の家のタンスなどを荒らす行為をしていたらしく、
そのせいで勇者ごっこと言いながら他人の家のものを荒らす勇者を自称するいたずらっ子や、
勇者の恰好をして空き巣に入る輩も増えているているらしいとのことです。」
・・・え?
「また部下が人間に化けて潜入しアンケートを実施してみた所、勇者応援したくない派が半数を上回ったとか。
魔王様の政策で魔物防衛費が浮いた分を今後は対勇者用の防犯対策費に充てるとのことでした。」
・・・それは勇者と言えるのだろうか?盗賊じゃ?
「・・・まぁともかく、
こ の 騒 動 で 勇 者 を 志 す 者 や 支 援 す る 者 も 減 る で し ょ う。
魔物の我々にとっては有難いことですね」
そ、そうだな・・・
・・・・・・。
今夜は徹夜で対策を考えなければ。