第19話 連携 後編
「…来たわね皆…」
「楓さん…そんな深刻そうな顔出来たんすね」
「…悪いけどふざけてられる場合じゃないのよ…今回ばっかりは…後で覚えてなさい…」
第19話 連携 後編
司令室に到着した輝達一行は早々に、深刻そうな表情を浮かべる楓を見て今回の敵が厄介であると瞬時に悟った。
そして最近修理が終わったモニターに目を通すとそこには、信じられない物が写っていた。
「あれは…シャドウハート⁉︎なんで…確かにあの時雷葉と私で倒した筈なのに…」
「…あそこに映ってるってこたぁ仕留めきれてなかったってことか…ちっ、野郎には借りがあっからこの手で潰したかったんだがな…ま、お前らなら今更あんなの大した相手じゃねぇだろ?」
「…待って輝くん。今蓮に聞いてフレイの改修を一時中断して貰うから…」
「…その必要はないよ楓さん…あたし達なら勝てる…絶対にね。そうだよねみづきち、ふうちゃん?」
「雷葉さんの言う通りです。私はあの敵がどんな物なのかわかりませんが…でも3人ならきっと…」
「…もぅ二人共…でも、そうだね。輝さんが戦えなくても私達で何とか出来なきゃこれから先、大変だからね。よし、行こう!」
3人は心を1つにし、同時に変身した。
「電着‼︎」「風身‼︎」
「アクアッチェーンジ‼︎」
「…掛け声バラバラだな…良いじゃんもう変身で…」
「そこはそれぞれこだわりがあるんでしょ…3人共、それだけ言うのなら信じるわよ。ただし、危なくなったらすぐ逃げる事…良いわね?わかったら…総員出撃!目標は…シャドウハートツヴァイ‼︎」
「「「了解‼︎」」」
「…え、何この感じ…つか俺いらなくね?」
若干の疎外感を感じる輝の残して3人はシャドウハートツヴァイが待つ魔界フィールドの転送地点へと飛び立った。
ーーーーーーー
〔…ふっ、来たか。魔法少女諸君?〕
「その余裕もそこまでだよ…ソッコーでぶっ壊してあげる‼︎」
〔へぇ…それは楽しみだ…あれ?でも君達のエースは居ないみたいだけど…君達だけで僕に勝てるのかな?…まぁちょうど良いけどね…特に天野美月と神野雷葉には恨みがある…ふふふっ生きて帰れると思わないでね…バラバラに引き裂いてあげるよ‼︎〕
「…!来るよ、二人共気を引き締めて‼︎」
以前の敗北を思い出したのか、突如として襲いかかってきたツヴァイの攻撃を3人はそれぞれ別方向に飛んで躱した。そしてまず反撃に転じたのは雷葉であった。
「もうお前の動きは見切ってるよ‼︎おりゃあ‼︎」
〔ふんっそんな攻撃…グアッ‼︎何…馬鹿な、神野雷葉にこんな力は無かった筈だ…〕
[…ふっ誰かが言っていたな…子供の成長は早いってな…所詮機械人形である貴様に追い付ける訳が無いだろう?]
「ボルト〜子供扱いはやめてったら…でも前のあたしと思ってたら痛い目見るよ?それっみづきちパ〜ス‼︎」
〔グハァッ〕
日々の訓練の成果を見せ付けるかの様に雷葉は見事な攻撃でツヴァイにダメージを与え、そして美月の方へ打ち上げた。
〔クッ…しかし天野美月など…グアァ⁉︎〕
「全く…雷葉ったら…ハァッ…でも、セヤァ‼︎侮られるのは癪だね‼︎そーれっと、風香、決めちゃって‼︎」
[さっすが美月ちゃん‼︎かっこいい〜風香ちゃんも頑張れ〜‼︎]
「は、はい‼︎…よーし、特訓の成果…見せてあげます‼︎」
美月から託され、アクアからの応援も受け取った風香は疾風斬に魔力を込め、全力で振るった。
「ハァッ、風神…雷水斬‼︎」
〔グオォォ…おのれ…調子に乗るなァ‼︎〕
風香の強烈な斬撃を受けたツヴァイは怒りと共にフルブーストモードを発動した…が、最早流れに乗っている魔法少女達にとってそんな物は大した障害にならなかった。
「…やっと本気になったね…そんじゃ、あたし達も決めちゃおっか…」
「そうだね。風香、こないだ教えた奴を使うよ。準備は良いよね?」
「はい!それでは行きましょう‼︎…リミッターバースト‼︎」
「デバイス…トリニティシンクロ‼︎」
「モードトリニティバースト、セットアップ‼︎」
[[[mode-trinity burst 起動‼︎]]]
3人の魔力が1つに合わさり強化形態であるバーストモードを発動した。前の時とは違い安定した出力と力を併せ持っており、最早勝負は完全に決した。
「そいじゃ…終わりにしよっか…行くよ!でりゃあ‼︎」
〔なっ…消え…グ、グハァァァァア⁉︎〕
雷葉の姿が突如消えたと思ったツヴァイだが次の瞬間には数十発にも及ぶ打撃を食らわされていた。次に動いたのは初のバーストモードに若干戸惑いながらも、持ち前の剣術を使い攻撃を始めた。
「これが…バーストモード…振り回されない様に気をつけないと…ハァッ、風神爆裂斬‼︎」
〔ヌゥッ…そんな単調な攻撃躱して…っ⁉︎剣が見えなく…ギャァァア‼︎う、腕がァァァ〕
「あ…ご、ごめんなさい…」
[良いのじゃよ、其奴は機械人形。好きなだけ切り刻んでやるのじゃ]
「えぇ…でも、なんかやりづらいな…美月さんごめんなさい‼︎後は頼みます‼︎そりゃっ‼︎」
見た目が人の形をしているからか、痛がる姿に躊躇してしまった風香は謝りながらツヴァイを美月の方へ吹き飛ばした。それを読んでいた美月は魔力のチャージを限界まで溜めていた。
「…予想通り…だね。これで終わりだよ‼︎アクアマジカル…フルバースト‼︎」
[ば、馬鹿な…この僕がこんな呆気なく…うわァァァア…]
長大な魔力光に包まれてツヴァイは今度こそ討ち倒された。3人の魔法少女の完全勝利である
「…ふぅ、バーストモード解除っと…結構疲れるね…でも、今度こそやったよね」
「うん、間違いないよ。それにしても大した事無かったよね。ふうちゃんが居るからかな?」
「ち、違いますよ‼︎お二人が強いだけで私なんて…」
「はいはい、そこまで。早く帰ろ?きっと楓さん達も心配してるだろうし…ね?」
「よ〜し、誰が一番に帰れるか競争だよ‼︎ビリの人は…ジュース奢りね‼︎それじゃ…超高速化発動‼︎」
「ちょ…ずるいよ!全く…ほらっ行くよ!」
「は、はい!って美月さん速い‼︎急がないと負けちゃう…待って下さーい‼︎」
三人娘が立ち去った後に黒い影が1つ揺らいでいた。そして不穏なことを言い残し消えていった…
「…最早、機械人形では歯が立たないか…しかし、切り札は完成した。もうすぐだ…絶望の時はな…ククク…」
嘘だろ…こんな…こんな筈じゃ…
次回 「」
フレイ…なんか言ってくれ…




