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第14話 相棒 後編

「すいません、遅くなりました‼︎」

「…!美月ちゃん…このままじゃ…輝くんが…輝くんが…うぅ…」


第14話 相棒 後編


楓からの通信を受け、司令室に入った美月を迎えたのは今にも泣き出しそうな顔をしたM.G.S.Cの司令官であった。


「楓さん⁉︎どうしたんですか、輝さんは無事なんですか⁉︎」

「美月ちゃん…輝くんの生命反応が…消えてしまいそうなの…このまま戦いが続けば輝くんが死んじゃう…通信で呼び戻そうにも…妨害されているのか繋がらない…雷葉ちゃんはまだ帰れない…もうどうすれば良いのか…わからない…今の美月ちゃんに頼れないのは…わかってる…そんな都合のいい事…」

「…ありますよ…都合のいい事が…!」

[そうだね、美月ちゃん‼︎]

「…‼︎アクア、貴方…そう…美月ちゃん、本来ならブランクのある貴女に出撃してもらうのは…」

「…そんなの私の知った事じゃありません‼︎…きっと輝さんならこんな感じの事、言うんでしょうね…なんでだろう…こんな短い期間しか一緒に居ないのに…なんだかわかっちゃうんですよね…」


そう言った美月の脳裏には、輝との思い出が浮かんでいた。過ごした期間は短かったが、彼と過ごした時間は彼女にとって不思議で感じた事の無い感情を沢山残していった。

それほど美月にとって輝は、大きな存在になっていた。


「…そうね…意地っ張りでカッコつけで…それでもって不器用で…でも優しくて…お願い美月ちゃん…輝くんを…助けて…そして必ず帰って来て…」

「わかりました。輝さんは私が必ず助けます…行こう、アクア‼︎」


美月は目を閉じて意識を集中した。

その時浮かんできたのは、不器用な優しさを向けてくれていた、輝の…あの言葉であった。


「変…身…‼︎」


水色の光が美月を包み込み…そして新たな魔法少女が誕生した。


「魔法少女…アクアハート、見参‼︎…それでは…行ってきます‼︎」


美月は覚悟を決めた表情で転送ゲートに乗り込み、輝の転送された地点に飛んで行った。


ーーーーーーーー


〔データに無い魔法少女…ふんっなんだ…天野美月か…あの程度の魔獣にやられた君ごときが僕に勝てるとでも?〕

「勝てるかどうかなんてどうでもいい…私は貴方を倒します、絶対に‼︎アクア、魔導兵装を召喚するよ‼︎」

[了解!魔導兵装、リボルバースピア…起動‼︎]


ツヴァイと相対した美月は、すかさずに自分の魔導兵装であるリボルバースピアを召喚して、ツヴァイに攻撃を仕掛けた。

その攻撃を躱しながらも、ツヴァイはあまりの鋭い攻撃に驚きを隠せずにいた。


「はぁっ‼︎」

〔っ⁉︎馬鹿な…これ程の力を持っているとは…ふふっ…これは楽しめそうだね…デヤァ‼︎〕


美月からの攻撃を躱しながら、ツヴァイも攻撃を仕掛けていた。既にボロボロの状態でありながら、さも楽しそうに戦闘を続ける敵に対し美月はあくまで冷静に戦い続けていた。


(やっぱり…手強い。あんな状態でここまで動けるなんて…いや、焦ったら駄目…必ず勝機はある…その時を…)

「掴んでみせる‼︎アクア、固有魔法をお願い‼︎」

[了解‼︎…美月ちゃんの固有魔法は…これか!固有魔法…魔力増幅、発動‼︎]


美月は自らの固有魔法を発動した。魔力増幅の効果により、美月の魔力が一時的に爆発的に上昇した。


「よしっ…これなら‼︎アクア…マジカル…フィニッシャー‼︎」

〔そんなもの…き、効くものかァァァア⁉︎〕


増幅した魔力を収束させて一気に解放しリボルバースピアから発射した極太の魔力光線にツヴァイは飲み込まれた。

これで勝負は決したかに思われたが…


〔…今のは危なかったよ…まさか…切り札を使わされる事になるとはね…〕


そこには、先程までの黒い魔法少女はもういなかった。そこにいたのは醜い姿をした唯の銀色の機械人形であった。


「切り札⁉︎まだ何かあるって言うの⁉︎」

〔…これを使うのはあまり好きでは無いのだけどね…こんな醜い姿を晒さなければならないし…でも、もう終わりだよ。……君だけは…許さない…バラバラに引き裂いてあげるよ…天野…美月‼︎〕


明らかな殺意と共にツヴァイは、目にも止まらぬ速さで美月に襲いかかり、凄まじい勢いで攻撃を仕掛けた。


「くっ…まだ、こんな…がぁっ…でも…ぐぅっ…絶対に…諦めない‼︎」


圧倒的な速さで攻撃を仕掛けられている美月は、ダメージを受けながらもなんとか致命傷を避けながら希望を捨てずに、食らいついていた。

そして、雷の音と共に希望は現れた。


〔⁉︎、この魔力反応…まさか、グハァッ‼︎〕

「魔法少女…ライジングハート、華麗に見参‼︎…な〜んてね…ごめんみづきち、遅くなっちゃった…兄ちゃん…仇は、必ず取るよ‼︎」

[いやまだ死んで無いだろう…美月、もう大丈夫なのか…?]

「…うん、ありがとうボルトもう大丈夫…後は、あのお人形を倒すだけ‼︎雷葉、行けるよね?」

「もっちろん!さっさとやっつけて、兄ちゃんとみづきちとあたし、3人で帰ろう‼︎」

〔グゥゥウ…一人増えた所デ、いイキになルなよ…くソっ…いマの攻撃デ言語回路がイかれたカ…許さナいぞ…魔法少女ドもォォォ‼︎〕


魔力吸収から魔法少女としての姿、それにまともな言語機能まで無くしたツヴァイは、とうとう我を忘れて襲いかかってきた。

そんなツヴァイに今、金と水色二人の魔法少女が立ち向かうのであった………

「全てを投げ打って襲いかかるツヴァイに苦戦する美月と雷葉。しかし二人の意地が奇跡を起こす…ってなんじゃそりゃ⁉︎え、俺は?」

[マスターは黙って寝ていて下さい]

「いや、酷くね⁉︎…えー次回、激闘…俺に見せ場はあるのかっ‼︎こうごき」

[見せ場はありません]

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