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第7話 説教

「それじゃこいつの事、お願いします」

「は〜い。わざわざご苦労様。それにしても美月ちゃんったら、ま〜たこんなにボロボロになっちゃって…おばちゃん心配になっちゃうわぁ〜」

「あ、あははは…」


第7話 説教


何とか美月を医務室まで運びきった輝は、戦闘とここまで走ってきた影響で疲れきっていた。本当ならこのまま自分も医務室のベッドで眠ってしまいたかったのだが…


[それでは、マスター。司令室の方に向かいましょうか。おそらく楓も待ち侘びているでしょうし、私からのお話も沢山ありますから]

「やっぱそうなるよな…はぁ」


ここにくるまでに何度めかも忘れた、ため息を吐きながら輝は司令室へと足を運んだ。


「あ、そういやもう女の格好しなくていいんだよな。フレイ、そろそろ男に戻りてぇんだけどどうすりゃいいんだ」

[ん?あぁ…そう言えばそんな事言ってましたね。それでは私を構えて目を瞑り意識を集中して心の中で念じて下さい。男に戻りたいって。恐らくこれで戻れると思いますよ]


フレイから戻り方を教わった輝は早速試してみるのであった。


(なんかすげぇ簡単だな…男に…戻れ‼︎)


そう心の中で念じた瞬間、輝の身体は眩い光を出しながら段々と大きくなっていき、光が収まった頃には元の男の姿に戻っていた。


「ん…おぉちゃんと戻れたな。良かった良かった。ところで服装とか色々なもんは今までどうしてたんだ?」

[どうしてたって…普通に私の中に格納してましたよ。こう見えて結構容量が大きいので。あ、そう言えばやたらと携帯が振動してましたが、どちら様から連絡がきていたのではないでしょうか?]


フレイのこの発言を聞いた途端、輝の表情はみるみる内に青くなっていった。


「な、なぁ…俺がここに来てどれくらいの時間が経った?」

[え?そうですね…たしかマスターがここに運ばれて来たのがあの戦闘から大体1時間、それからマスターが目を覚ますまでに16時間、マスターが目を覚ましてから今まで3時間程ですから…]

「あぁうん…もういいぞ。大体わかったわ」


自分がここに来てどれくらい経ったのかを今更確認した輝は、全てを諦めたような顔をして天を仰いだ。


[本当にどうしたんですか?マスター]

「いいか…俺はな、一人で暮らしてるわけじゃねぇんだよ。情けねぇ話だが実家で世話になっている訳だ。そしてそこでは俺の母親が晩飯とか用意してくれてる訳だよ」

[成る程、それではお母様の手料理が食べられなくて落ち込んでると?]

「それならまだ良いんだけどな…連絡も入れずに帰ってねぇだろ?心配もしてんだろうけど…多分めっちゃ怒ってもいるんだろうな…ほら、このメール見てみろよ…」


そう言ってフレイに携帯の画面を見せた。

そこには最初は優しく心配する文が書いてあったのだが、段々とその文面は乱暴になっていき、終いにはとても息子に対して送ってはいけないような恐ろしい文章になっていた。


[これは…確かに恐ろしいですね…しかし、それ程心配だったという事でもあると思いますよ?それにいざとなったら楓に事情を説明してもらいましょう。その前にマスターがする事は、司令室に行き事後報告をする事です。さぁ早く行きましょう]


フレイにそう言われた輝はさっさと面倒を終わらせるか…と思い司令室への足を早めた。


「ん?来たわね…って貴方誰⁉︎」


司令室に入るとそこには、戦闘を終えて帰って来てそのまま説教をされてちょっとグロッキーになっている雷葉と、彼女をそんな風にした楓がいた。


「もしかして新人さん?わ〜本当に男の人だったんだ〜!大きくっていいなぁ〜なに食べたらこんなになるの〜ねぇ教えて〜」

「こらっ雷葉ちゃん!貴女のお説教はまだ途中なのよ!全く…ところで輝くん…なのよね?驚いたわね…まさか本当に男性だったなんて。ちょっともう一回変身して見てくれないかしら?」

「いや、変身したらまた3時間も戻れなくなっちゃうでしょうが…ところでその新人さんってのはなんか嫌だな…俺は火野輝ってんだ。まぁ好きに呼んでくれ」

「うんっわかった!え〜と輝だから…アッキーって呼ぶね!」

「お、おう…好きに呼べっつったけどまさかあだ名を付けてくれるとはな…」

「あ、嫌だった?嫌なら他のあだ名とか、なんならちゃんとさん付けで呼ぶけど…」

「いや唯、慣れてねぇだけだ。ガキが細けえ気使わなくて良いんだよ」

「あら、随分優しいのね…はっ!まさかロリコン⁉︎雷葉ちゃんから離れなさい‼︎」

「いや違えよ!何でそうなんだよなんで‼︎」

「も〜人の事、子供扱いして〜こんなんでも14歳なんだからね?」

「え?あぁそうだったんか?悪い悪いてっきりもっと下だと思っちまったよ…まぁ俺にとっちゃガキに変わりねぇけどな」

「まぁ雷葉ちゃん小さいからねぇ。そう思うのも無理ないわよね。さて、冗談はこれくらいにしてと、まず輝くん。先日の魔獣の件、それと今回のシャドウハートの件、どちらも解決出来たのは貴方のおかげよ。ありがとう」

「お、おぅ。どう致しまして…」


突然の楓からの感謝の言葉に思わず照れてしまう輝であった。


「あら、そんな顔も出来るのね…なんだ男に戻っても可愛いじゃない♪」

「本当だ〜照れてる〜か〜わい〜」

「う、うるせぇなっ‼︎お、男に可愛いとか全然嬉しくなんかねぇんだよ‼︎…で、まずって事はなんか他にあるんだろ?」

「もぅ、照れなくっても良いのに♪まぁモニターの件とか、美月ちゃんへの一撃とか…色々とお説教でもしようかなぁ…とも思ったんだけど、それ以上に功績の方が大きいからね…私からは今回、お礼しか言う事がないわね。フレイは何かある?」

[そうですね…正直、今回の戦闘では粗しか見当たらなかったのですが、まぁまだ二回目ですからね…それに難しい相手でもありましたから今回だけは、大目にみましょうかね…次はありませんから、覚悟して下さいね?」


楓とフレイからの許しの言葉を聞き、安堵した輝は最後の憂いを振り払う為、楓に今の自分の一番の問題を話そうとした。


「あ、あの南条さん?お願いがあるのですが…」

「ん?何かしらねぇ…でもその前に、輝くんに言いたい事がある人が来てるのよね。それではよろしくお願いします」

「あ…あぁ…何故…ここに…」

「ひ、ひぃ…」

「よぉ久しぶりね…あ・き・ら・く・ん」


輝の顔から一気に血の気が引いた。

思わず側にいた雷葉までも恐怖で全身が固まってしまった。

母親、火野響子 降臨。

遂に降臨した最恐の相手にかつてない程恐怖する輝は一体どうなってしまうのだろうか…そして鳴り響く警報音は新たな戦いの幕開けを意味していた。


次回 「母親」


子供が大事じゃ無い親なんか居ないんだよ‼︎

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