No Title 〜始まる前の物語〜
「……ーク、ジーク!!」
「うー、、ん。あ、おはよう、アンおばさん。」
「おはよう。今日もいい朝よ。さ、朝ごはんもう出来てるから着替えて下に降りてきなさい。」
「わかった。」
小鳥たちのさえずりを聞きながら、だんだんと僕の意識は覚醒していく。
アンおばさんに起こされて、着替えて、朝ごはんを食べる。そのあとは皿洗いの手伝いをして、掃除。お昼ご飯を食べた後は友達と遊ぶ予定だ。
いつもと変わらない日常。
当たり前のように1日を過ごし、当たり前のように明日を迎える。
今日は隣の家のおじいさんがギックリ腰になったとか、あの家の子が皿を割ったとか、そう言ったことを親たちは毎日のように言い合っている、そんな、変哲のない毎日。
しかし、変化とは、突然訪れる。
もしもあの時、違う行動を取っていたら。
もしもあの日、朝起きるのがほんの少しでも遅かったなら。
その結果が僕にとって良いものだったのか、悪いものになったのか。そんな事は分からない。
ただ、もし、この世に「運命」と言うものが存在するというのなら……、
それはきっと「運命」だったのだろう。