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僕と美人の召使い・・・と異星人  作者: shimaumatousagi
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第9話 そよ風    (スカートめくり)

異星人のロルに貸してもらった強化スーツに気を良くした凛は、スーパーマン気分で一気に山の中から学校まで超跳躍のみでやってきた。

急いで研究室にあるタングステン棒を取りに行こうとしたところ、ビックリする光景を目撃してしまった。

それは同じ学部の同級生の省吾が、工学部棟屋上で女の子とイチャついているではないか。

彼女がいるにも関わらずだ。


羨ましさで金属棒の事を忘れてしまった凛は、省吾と女の子がそれ以上エスカレートしないように思わず2人のところにジャンプした。


しかし、残念ながら一足遅かった。

「くそーーー 間に合わなかったか。」

2人は熱くしかも結構激しく唇を重ねあってしまった。


「おーーっ!! マジで羨ましいじゃないか。」

すると今度は省吾の手が、女の子の胸に向かって動き出したではないか。


「あーーーーーっ!! いかん!」

「省吾。これ以上は許さん。」


だが、凛はどうして省吾のその厭らしい手を止めさせようか迷ってしまった。

迷っている間にも省吾の手は、どんどん女の子のピンク色のブラウスの上を這い上がっている。


「仕方ない!」

凛は省吾の頭を軽く叩くことにした。


「省吾!俺からの教育的指導だ!」

そして、とても軽く叩いた。


「あれ?」

省吾は何にも感じてないみたいだ。


「強化スーツ着てるから手加減が今ひとつ分からないな・・・。」

「もう少し強めでもいいかな・・・」

とモタモタやってたら、省吾の手が女の子の胸にたどり着いてしまった!


モニョモニョと女の子の胸を中心に蠢く省吾の手。

「あっ! こいつ!」


凛は思わず少し強めに頭を殴った。

「あっ! しまった!」

「ゴメン! 強すぎた!」


しかし省吾は何も感じていないみたいだ。


「えっ??」

「そうか・・・このスーツ、人や建物に対し影響を与えないように設定されてるんだ。」

「省吾ー。コイツ・・・運がいいな!」


凛はやるせなさでその場で地団駄を踏んだ。

そしたら何と、そよ風程度の風が発生し女の子のスカートをひらりと捲った。


「おーーーっ!」

「スカートが捲れた」


「キャっ!」

女の子はスカートを咄嗟に押さえた。

急な動作で省吾のいやらし口と手は弾かれた。


「この手があったか!!!」

凛は地団駄を踏んでそよ風を起し続けた。

「ハハハ いいぞ!」


女の子は鬱陶しいそよ風にちょっと我に返り恥ずかしくなった。

「わたし・・そろそろ行かなくっちゃ。」


「そうだね。」

省吾もそう返した。


そして二人はそそくさと屋上を後にした。


凛は残念そうな省吾の後姿を見ながら、何だか申し訳なくなった。

「俺、何やってるんだろ・・」




その不思議な凛の行動を宇宙船から観察しているロルとリセ。

「リンは、何やってるの?」


「はいロル。リンのこの行動に対し残念ながらこの惑星の生物情報が少なすぎて答えが出ません。」


「そうか・・・」

「ところで、あの接触しようとしていた2匹の生物はオスとメスだよな。」


「はい、そのようです。ロル。」


「なるほど! ここの生物はまだつがいで生活してるんだ。」


「わかったよ。リセ。」

「きっとリンはあのメスに興味を持っていて、嫉妬か何かをしたんじゃないのか」


「さすがです。ロル。」

「オスとメスに分かれ生活していた時代の情報はもう必要ないと思い、蓄積を怠っていました。」

「再度、情報収集を開始します。」


「うん。頼むよリセ。」

(しかしリンよ、その辺で終わりにして早く金属棒を取って来てくれ。)

ロルは意志を伝えようと思えば凛に伝えられるのだが、とりあえず心の中で祈った。



ちょっと省吾のことで自己嫌悪気味になった凛だが、ロスした時間を取り戻すべく研究室に向かった。


そして恐る恐る研究室に入った。


「良かったー! 今日は日曜日だし珍しくみんなも休んだんだ。」


日曜祭日でもいつも誰か人がいる研究室だったが、幸い誰も居なかった。


凛は研究室の測定用機器を使って急いでサンプルの支柱寸法を確認した。

「直径10.82mm、全長108.20mm」


そのまま研究用材料置き場でタングステン棒を探した。

「確か直径12mmの棒があったはず・・」

「・・・あった!! これだ!」

「長さは・・・・1500㎜か。13本は支柱が作れるぞ!」


凛は誰も居ない研究室に向かって言った。

「先生、みんな。 悪いけど材料借ります。」

「これが終わったら通販で買って、そっと返しますから・・・。」

「すみません。」

と、一礼し凛は研究室を後にした。


直径12mm長さ1500㎜のタングステン棒を右手にしっかり握った凛は、ロルとリセの喜ぶ顔を思い浮かべながら急いで宇宙船に向かった。


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