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僕と美人の召使い・・・と異星人  作者: shimaumatousagi
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第8話 工学部棟   (さくらんぼの聖地)

ビューーン


ビューーン


凛は飛んでいた。


「気持ちいい――――っ!!」


ジャンプするごとに空高く舞い上がり、眼下には家や車が小さく見えている。

本当なら怖いんだと思うが、このスーツのお蔭か全く恐怖心が無い。


「なんていう解放感だ!」


凛はロルに貸してもらった強化スーツの性能の凄さと、使いこなせている嬉しさに舞い上がっていた。


「しかし凄すぎる・・・。」

「本当にスーパーマンみたいだ!」


この強化スーツ、今回の設定では二、三歩の軽いジャンプでも1kmは移動出来る。

凛は山の麓まで降りてバスに乗ろうと思っていたが、そんな必要はないようだ。


「よし! このまま一気に大学の研究室まで行くぞ!」

「やっほーーーーい!」


傍から見ると気持ち悪い程にテンションが高い凛であった。


「しかしこのスーツどんな仕組みなんだ?」

「すごい勢いで着地してるのに、地面にはそよ風が吹いたくらいの反動しか無いようだ。」

「人にも、そして着地している地面にも優しいスーツか。・・・本当に凄すぎ!」


などと色々考えてたら、あっという間に大学に着いてしまった。


「もう着いちゃったよ!」

「直線距離で30kmくらいはあるはずだが、10分ぐらいで到着してしまった。」

「ほんとにすごいわ このスーツ。」


「おっと。 大学ではみんなに気が付かれないようにしないと・・・」

「確かにキャンパスにいるみんなは、僕に気が付かないみたいだな。」

「リセが言っていた通り僕はみんなからは見えないようだ。さながら透明人間ってことか。」


凛の大学はマンモス校で生徒が非常に多い。

慎重に生徒達を避けながら工学部A棟までやってきた。

凛の研究室はこの建物の12階だ。


「・・・1階から行くよりも、屋上から行った方が早いな。」


今、ほとんどスーパーマンになっている凛は屋上目がけてジャンプした。

15階建の棟の屋上に向かって、飛ぶようにグングン上昇していった。


その時だった!


隣の10階建の工学部B棟の屋上で女の子とイチャついている奴がいる!!


「なんて不謹慎な奴だ!」

「工学部棟は彼女のいない奴の集まりだぞ。」

「ある意味、さくらんぼ達が集う聖地だ。」


スーパーマン気分の凛は少し捻じ曲がった怒りにかられた。


工学部A棟屋上に到着した凛は工学部B棟屋上の不謹慎な奴が気になり、よく確認してみた。


「あーーっ 省吾だ!!」

「あいつ 地元に彼女居るだろ! なのに何やってんの?」

「しかもあの女の子・・・すごく可愛いじゃないか!!!」


怒りがこみ上げた。


しかし、ロルとリセの事が頭に浮かんだ。


「ロルとリセが待ってる・・。」


凛はグッと我慢して行こうとした。



すると、肩を寄せ合ってベタベタしてるだけであった省吾の顔が、だんだんと女の子の顔に近くなってきているではないか。


「あっ!!」

「やめろ!」

「バカ!」

「やめろって!」


遠くから怒っている凛を他所に、省吾とその可愛い女の子はそのまま引き寄せられるように唇と唇を重ねた。


「あーーーーーーーーーーーーーっ!!!」



凛は途轍もない羨ましさで、金属棒の事をすっかり忘れた。



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