第6話 宇宙人 (僕、あなたとそっくりなグッズを持ってますけど)
スクリーンで確認していたロルとリセは、凛の行動を見守っていた。
「何だか、ぎこちなくて危なっかしいな。」
「凸凹してて降りにくいのかな?」
ロルは凛を心配した。
「ロル。この生物は今凄い緊張状態です。」
「きっと恐怖で身体が思うように動かない状況になってると思われます。」
「そうか・・・・何だか申し訳ないな。」
「見た目は毛が頭に集中して生えててすっごい気持ち悪いけど可愛いところもあるんだね。」
「頑張ってくれ。 頼むぞ!」
まさか心配されてるとは思いもしていない凛は、とうとう宇宙船を触れれるところまで降りてきた。
「すごい・・・UFOに触っちゃた。」
「金属だと思ってたけど少し柔らかくて何だか温かい。」
「まるで生きているみたいだ。」
だんだんと凛は気持ちが恐怖心より好奇心の方が上回り、ベタベタと宇宙船を触りながら色々と調べていた。
「ロル。ちょうど入口付近に来ましたけどどうしますか?」
「んー そうだね。 そのまま吸い込んじゃおうか。」
「あっそうだ。リセ。調査用レーザーの照準はずっと合わせといてね。」
「安心してください。何かあったらいつでも撃ちます。」
「よし。じゃあ吸い込んでここに連れてきて。」
「了解しました。ロル。」
そしてベタベタと触って宇宙船を調べていた凛だったが、
「何だかここ、特に柔らかいぞ。」
「何かあるのか。」
そう思うと、凛の両腕がいきなり肘までめり込んだ。
「わー 何だ何だ!」
「うー 抜けない!」
「わー 何だか引っ張られてる。」
「やばいよ!!」
そのまま顔まで引きずり込まれた。
「うっ 息が・・」
と思った瞬間に身体が無重力で浮いているような感覚になった。
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わーーーー
気が付くとそこにはTVとかでよく見る、宇宙人が目の前にいた。
体に密着した全身銀色に輝くスーツを着ていて、顔には黒く光る大きな眼が2つ、細い顎あたりに小さな口と鼻があった。
「そのまんまやん!!」
凛はあまりのステレオタイプの宇宙人が目の前に現れて思わず叫んでしまった。
あまりのことに現実か夢なのか分からなくなってしまった凛だった。
「リセ。なんだか興奮して叫んだりしてるよ。」
「もう危ないから、撃っちゃって!」
ロルは哺乳類型生物を気持ち悪いと感じていたので、直ぐに処分してもらおうと思った。
「お待ちくださいロル。」
「今、この生き物に対し精神安定状態になるよう施術しました。」
「同時に筋肉組織の瞬発力も停止させました。襲われることはありません。」
「さらにこの生き物の身体をこちらで操作することも可能にしました。」
「そうか。じゃ安心だね。」
凛はその時、自分の体が操作されている感覚に見舞われていた。
「すごいな。」
「触られてもいないのに、どうやったんだろう?」
「もう動かないほうが賢明みたいだな・・・」
凛は身の危険も感じ、動くことを止め不思議な感覚に身を委ねた。
「よしよし。大人しくなったみたいだな。」
「リセ準備はいいよね。」
「大丈夫です。ロル」
「おい君。いきなり申し訳なかったね。」
とロルが凛に話しかけた。
凛はいきなり日本語で話しかけられて驚いたが、この宇宙人の科学力なら当然だろうと納得した。
そして凛も答えた。
「いえ、そんなことはないです。」
「・・・あなたはやはり宇宙人ですよね。」
「そうだ。君たちから見れば私は宇宙人だね。」
「私の名前はロル。遠慮なくロルと呼んでくれ。」
「君の名は?」
「西野凛です。」
「凛と呼んで下さい。」
凛もしっかりと答えた。
「そうか。リンというのか。」
「それではリン。君に助けて貰いたいのだが、お願いしてもいいか?」
てっきり危害を加えられると思っていた凛は再び驚いた。
それに凛は自分が目の前の宇宙人を助けるなど想像が付かなかった。
「えっ? 僕があなたを助けるんですか?」
「そうだ。助けて貰いたい。」
やっぱり夢なのかなと、凛は思った。
(どうせ夢なら遠慮せずにどんどん話そう・・・)
「申し訳ないのですが、僕があなたを助けることが出来るとは思えないのですが。」
「いやー 難しいことではないんだ。」
「これくらいの金属の棒を9本用意してもらうだけでいいんだ。」
ロルはホログラムで金属棒のイメージを映し出し説明した。
「えっ? それだけ?」
凛は何の変哲もないただの棒だと思った。
「そう。それだけなんだ。」
「出来そうか?」
「ええ・・ 出来ますけど・・・。」
「本当か!」
「この金属棒を9本用意してくれ。」
「頼む。」
凛は思った。
何それ?
金属棒だって??
やっぱりこれ夢だーーーーーーーーーーー!!!