第39話 お願い
Y国の支援のみならず隣国Z国の支援も受け再度の反撃体制を整えつつあるX国内で、現在駐留中の自衛隊5000名とA国海兵隊2万5000名が危機的状態に陥っている。
A国も新たに2000発以上のトマホークミサイルや弾道ミサイルに加え、大気圏外から高高度攻撃を可能にした最新兵器をも投入し準備はほぼ完了しているもののX国内にいる自国兵と自衛隊の安全確保の困難さに頭を抱え手詰まり感が漂っていた。
青木氏自身も凛とユナと話しをしながらジャーナリストとして、そして普通の市民としてかなり悩んでいた。
(背後にいる巨大であろう組織の事は小指の先ほども聞き出すことは出来なかったが、この二人は間違いなく大国を凌駕するスーパーパワーを持っているのは確かだ。)
(しかし、そのスーパーパワーを期待し、他国の市民を犠牲にしてもこの国を守ってくれと言っていいのだろうか。)
(こういう事態にならないようにジャーナリストを志したのではなかったのか。)
(・・・結局何も出来ず、この若者が所属しているであろう得体のしれない組織の力に頼るしかないのか。)
(力を待たなかった無力さが情けない。)
いろいろ悩んだ末に、青木氏は凛に頼んだ。
「私個人の意見だが、君たちにお願いしたい。」
「この危機を救ってくれないか。」
急に青木氏が思いつめた感じになり、凛とユナは戸惑った。
「ただし条件が2つある。」
「自衛隊とA国兵士の命は絶対に守ってくれ。」
「それと囚われている日本人と外国人の命も救ってくれ。」
「あと、X国市民の犠牲を最小限に留めてくれるように努力して欲しい。」
「君たちなら可能だと思うんだが・・・」
凛は直ぐに返事が出来ず額に手を当てて考えた。
そんな時、リセから連絡が入り美しい声が頭の中で響いた。
「リン? リセです。」
「ロル様がお呼びです。」
「今から転送しますね。」
「えっ?えっ?ちょっと待ってリセ!」
「ユナ聞いた?」
「青木さんを急いで事務所まで転送してあげてくれる。」
急な事に青木氏も何が何だか分からずに困惑した。
「えっ?どういうこと?」
「すみません。」
「青木さん。たった今、強引に予定が入ってしまいました。」
「急な事で、大変申し訳ありません。」
「また改めて連絡させて下さい。」
「今日は本当にありがとうございました。」
「えっ?えっ?」
「何?何?」
ブーーン・・
凛と青木氏はお互い訳も分からず、それぞれに転送されていった。




