第35話 TEL
戦闘のけじめを付けるべく奮い立ったが、正直なところどうしていいのか分からない凛であった。
テレビでは各局が昨日の事件のことについて特番が組まれており、評論家とタレントが今後起こりうる事態について中途半端な議論を激しく交わし合っていた。
どれも的外れな議論ばかりで、さすがの凛もその滑稽な内容に呆れていた。
そんな中、一人の評論家が凛とユナの存在を指摘しているのを目にし、短時間でのその評論家の情報収集能力にはとても驚かされた。
「この情報収集力の凄さから考えても、きっと幅広い視点からアドバイスを貰えるに違いない。」
「今直ぐにでもこの人と連絡を付けたいが・・・・」
「やっぱり、ユナに頼むしかないか・・・」
「さっき怒って嫌われたばかりだし・・・」
そうは言ってもユナの力を借りるしかない凛は、思い切って頼むことにした。
「ユナ・・・」
「申し訳ないんだけど、頼みたいことがあるんだ。」
「・・・・」
「申し訳ないことなんて一つもありません。」
「頼みたいことは何?」
仕事だと割り切っているのだろうか。
ユナはいつもと変わりなく、俺のお願いを聞いてくれた。
「テレビで俺たちの事を話していた青木っていう人に会いたいんだ。」
「今直ぐに直接連絡出来ないかな。」
「了解です。」
と言うとあっという間にユナは情報収集を終え、いくつかの連絡方法を教えてくれた。
「彼と直接連絡を取る方法は所持している4つの携帯端末から可能です。」
「内3つは仕事用で使用しているようで、残り1つは全くのプライベート用です。」
「プライベート用携帯端末に連絡するのが良いかと思います。」
「じゃあ 早速プライベート用の携帯に連絡してくれる。」
ユナは直ぐに青木氏のプライベート携帯電話に発信した。
プルル、プルル、プルル・・・
何処からともなく耳元で発信音が鳴りだした。
「はい。青木です。」
「いきなりプライベートの携帯にご連絡させてもらい申し訳ありません。」
「名前は明かせませんが、是非相談したい事があって連絡致しました。」
「話を聞いていただけませんでしょうか?」
「・・・・・。」
「いきなり何の話でしょうか・・・」
「名前も明かせないような方と私は話をすることは出来ません。」
「私もテレビとかラジオに出させて貰ってるので、こういった電話はとても多いいんです。」
「しかもこの電話はプライベート用で、どうやって調べたんですか?」
「イタズラでしたら止める事を警告します。」
「次かけてこられたら警察に通報しますので、そのおつもりでよろしくお願いします。」
「では・・・」
「待ってください!」
「申し訳ありません。」
「もう少しだけ話を聞いてください。」
「・・・・・」
「私はあなたがテレビで話していた、謎の自衛隊戦闘機を操っていた者です。」
「えっ!?」
「・・・・・」
彼自身も謎の自衛隊戦闘機についてどんな些細な情報でも藁をも掴む気持ちで探していた。
ほぼ悪戯だとは思っていたが取りあえず話を聞くことにした。
「わかりました。」
「あなたの話を聞きましょう。」
「ただ、貴方が謎の自衛隊戦闘機を操っていたという証拠を見せて頂きたい。」
「そのためにも、直に貴方と会いたいと思いますがいかがですか?」
電話だけで済まそうと思っていた凛は少し悩んでしまった。
「このまま携帯電話からではダメですか?」
「ええ、ダメです。」
「私が確信を持てませんし、主要機関に日本中の全てにおいて100%盗聴記録されている電話やメールなどで重要情報をやり取りすることは素人のすることですので。」
少し悩んだが、青木の提案を受け入れる事にした。
目でユナに確認をしてみるとうなずいてくれた。
「わかりました。」
「会いに行かさせて頂きます。」
「戦闘機もお見せする事もお約束致します。」
すると青木は凛に快く了承の返事をした。
1時間後に青木の事務所で待ち合わせをする事となった。
そして今回の出来事を、ユナと仲直りのきっかけにしたいと思った。




