第27話 具志堅さん
「先程ご予約された西野様ですね。」
「お待ちしておりました。」
「二階の個室をご用意しておりますので、どうぞこちらへ。」
(わー かなりの高級店みたいだな)
(もう少し庶民的な感じが良かったんだけど・・・)
「こちらになります。」
「おーっ!」
「凄いよユナ! 沖縄の海が一望できる。」
「素敵なお部屋ですね。」
「ありがとうございます。」
「今日は当店を選んで頂き誠にありがとうございます。」
「短い時間ではありますが、わたくし具志堅がお二人のお世話をさせて頂きますので、どうぞよろしくお願い致します。」
「よっ よろしくお願いします」(凛)
「よろしくお願い致します。」(ユナ)
「具志堅さんって、もしかしてあのボクシングの?」
「いいえ。残念ながら全く無関係ないんですよ。」
「そっ そうですよね。 すみません。」
「ハハハ」
「県外の方には、よく言われるんですよ。」
「具志堅は沖縄では普通の名字で、結構多いんです。」
「へーぇ」
仲居さんは会話を続けながらしゃぶしゃぶの用意を始め、ピンク色した新鮮で美味しいそうな、あぐー豚のスライスもテーブルに並んだ。
(うまそー)
「ところでお二人は恋人どうしですか?」
「彼女さんすごくお綺麗で、芸能人かと思ってわたくしビックリしました。」
「えっ、えぇ・・まあ・・・」
「彼氏さんは照れてますけど、どうなんですか?」
「はい。わたしは彼の召使いです。」
「・・・・・・・・・・はっ?」
「ぶーっ」
具志堅さんは固まってしまい、凛はウーロン茶を噴き出した。
「今どき召使いって・・・」
「結構シュールな冗談でわたくし驚いてしまいました・・・ハハハ」
「彼女さんはウィットに富み過ぎてて凄いですね。」
「いえいえ。 本当に召使いです。」
「えっ・・・・」
「ユッ ユナ!」
「もうそれ以上はやめなさい!」
「あなた・・・もしかして。」
「本当に違いますって。」
「本当です。」
「本当に彼女なんです。」
「そうだよね! ユナ」
「はい。彼女でもあり召使いでもあります。」
「本当にやめなさいって・・・」
その後の具志堅さんは言葉が少なくなってしまったが、美味しそうな料理はテーブルに続々と並んだ。
「まずはやっぱりしゃぶしゃぶから頂きますー。」
軽くしゃぶしゃぶして薄らと白くなったあぐー豚を特製胡麻だれに付けて口に運んだ。
「うまーーーっ!」
上質な脂から醸し出される甘味が口いっぱいに広がった。
「ほんとに美味いよ!」
「ユナも早く食べて食べて!」
「凛、この食事ではアグー豚200g、海藻サラダ250g、豆腐50g云々かんぬん、以上を摂取するようにお願いします。」
「だから・・もうやめなさいって!」
具志堅さんはもう聞こえて無いようだった。
微妙な雰囲気で食事は進みながらも、結構楽しんでいる凛とユナ。
だが、未だ気が付かないところで世界の主要国がすでに二人の情報収集を必死に行っていた。
その中で、日本は右往左往をしていた。
「あの戦闘機はうち(自衛隊)の機体なのか?」
「A国からの問い合わせで一緒に送られてきた衛星写真はどう見てもF-2Aだし、日の丸もあるぞ。」
「空自からは問い合わせたF-2A戦闘機は我が国のものではない。との回答が来ています。」
「保有F-2A戦闘機の管理データは把握できており、自衛隊に偽装した他国の戦闘機と考えるのが妥当で機体形状も少し違っているとのことです。」
「しかし、他国と言っても・・・。」
「それに今、高性能戦闘機が作れるのはA国のみだ・・・。」
「この問い合わせ自体も、もしかしてフェイクなのか。」
「本当はA国の戦闘機なのでは・・・」
(いや・・・A国でも無理だ。)
(あの大艦隊を単機であっという間に殲滅できる性能をもった戦闘機を製造するのは、ども国でも不可能だ・・・。)
(いったい何なんだあの機体は・・・宇宙人でもいるのか?)
(どちらにしても今あの機体が沖縄にあるのなら、どうしてもこちらで欲しい・・・。)
「局長、遅くなりましたが我が国の衛星写真データの解析が完了しました。」
「よし! 早く見せてくれ。」
「やはりどう見ても空自のF-2Aにしか見えません。」
「ここに搭乗員が確認出来ます。」
「どうやら男性1名、女性1名の計2人で東洋人のようです。」
「東洋人?」
「日本人なのか?」
「いきなり石垣島沖に現れY国軍と戦闘したことから、やはり日本国内を拠点とした日本人と考えるのが妥当ではないでしょうか。」
「だが、私はこんな戦闘機のことは聞いた事が無いんだが・・・」
「秘密裏に開発が進んでいたとも考えにくいし、本当に何なんだこの戦闘機は。」
(政府もY国からの抗議対応でまったく余裕はなさそうだし、どう対応したら・・・)
「局長、A国には何と回答しますか。」
「取りあえず、問い合わせの戦闘機は我々のものでは無いと回答してくれ。」
「引き続き本件における情報交換の継続と、搭乗者2名の容姿と顔が判明したので追跡を開始するとも伝えてくれ。」
「了解しました。」
その回答を受け取ったA国は
「An answer from Japan came.(日本からの回答が来ました。)」
「It is not an airplane owned by JSDF. It is an answer.(自衛隊の所有する機体では無い。との回答です。)」
「I guess so(そうだろうな。)」
「Since the face turned out, it is said to start tracking.(それと、顔が判明したので追跡を開始するとのことです。)」
「Really」
「Hurry up this strategy(こちらも作戦を急がせろ)」
「We have confirmed the location of two people already.(すでに2人の場所は確認しております。)」
「Currently, troops are in the process of arranging for securing.(現在、部隊が確保に向け配置を行っている最中です。)」
「Okay (よし。)」
「How will you report to Japan?(日本への報告はどうしますか?)」
「Think after securing the target(ターゲットを確保してから考える。)」
「Leave it for a while(しばらく放っておけ)」
「I understand. (了解しました。)」
その間にもお店の周りにはA国特殊部隊20名、支援部隊60名の計80人が凛とユナの確保に向け配置を開始した。




