第18話 首都圏攻撃 (中距離弾道ミサイル)
目が覚めると、もうお昼を過ぎていた。
なかなか眠れない悩ましい夜を過ごしたせいもあってか、かなり寝過ごしてしまった。
「もう12時半なのか・・・」
寝ぼけ眼でぼんやりしていると、とてもいい匂いがした。
するとユナが別の部屋からエプロン姿で現れた。
「おはようございます。凛 」
ユナには部屋着として、ショートパンツとTシャツを指定していた。
その上からエプロンを着ているのだが、正面から見ると裸のエプロン姿そのものだった。
(おおっ セクシーすぎる・・・)
「ハハハ おはようユナ。」
「何かとってもいい匂いがするけど、ごはん作ってくれたの?」
「はい。もうそろそろお起きになると思い、お食事をご用意致しました。」
「ユナの手作りなの?」
「はい。私自らお作り致しました。」
(おお・・・ )
(なんて幸せなんだろう・・・ )
(でも俺まだ学生なんだけど、こんな生活してて大丈夫かな・・・ )
(彼女も出来たこと無いのに、こんなことしてたら歪んだ恋愛感情を持つ変態野郎になっちゃうかも・・・ )
凛はあまりの幸福感に自分が人として堕落してしまうのではないかと、とても心配になってしまった。
「・・どうなさいましたか? まだお食事は早かったですか?」
ユナのちょっと不安そうな瞳を見たら、何故かドキドキしてしまった。
(まっ、いいか・・・ あれこれ考えてもしょうがないぜ!)
「ごめんごめん。ユナの手作りの朝食頂くよ。」
温かいご飯と、お味噌汁、卵焼き、焼き鮭とサラダが用意されていた。
「すごいよ! ユナ~~。」
そんな二人きりの幸せなひと時に邪魔者達が帰ってきた。
「おっー リン。 召使いと仲良くやってるじゃないか!」
「ハハハハハ」
(あーっ 帰って来るの早えーよ!)
ロルがリセと召使い10人を引き連れて帰ってきた。
「これ見てくれよ。凛。」
「凄いだろう!」
直径2m高さ3mはあるだろうか、巨大な味噌樽を4つも持って帰ってきた。
(またメチャクチャなことしてきて・・・)
「無理言って樽ごと売って貰っちゃった!」
「こっちは名古屋の八丁味噌で、こっちは京都の西京味噌、でこっちは・・・・・・ウンタラカンタラ・・・」
良く勉強したものだと感心したが、ロルからの味噌うんちくを30分近く聞かされた。
美人召使い達と仲良く選んだそうで、しかもみんなで味噌汁教室まで行ったそうだ。
(・・・・・。)
(何だか楽しそうじゃないか・・・。)
(俺もユナと一緒に行けば良かったかな・・・・。)
・
・
・
そんな中、
ところ変わって外国はX国の軍事区域内。
ゴゴゴゴゴ―――
轟音と白煙と共に4発の中距離弾道ミサイルが日本の首都圏に向けて発射された。
その瞬間、リセとユナに緊張感が走った。
(ん? ユナとリセどうしたんだろ?)
「ロル。たった今、X国より我々が居る首都圏に向けて攻撃兵器が発射されました。」
(X国が? ほんとに?)
凛は驚いた。
「とりあえず我々がいるこの場所と宇宙船には防御装置が働いていますので問題はありません。」
「2発は逸れて海に着弾しますが、2発は命中する予定です。」
「命中すれば、この国の知的生命体約5千人の命が奪われます。」
(えっ? 5千人・・うそだろ・・)
「そうか・・・この国の防御機能はどうなっている?」
「問題無く処理出来るんだろ?」
「いえ、只今この国の政府は混乱しており、後手に回っております。」
「残念ながら間に合いそうにありません。」
「なに~ 何やってんの?」
(ほんとだよ!)
(ロルの言う通りだ。)
「着弾まで約10分です。」
「どうされますか?ロル。」
(10分!!)
「ん~ この重要案件への介入は惑星連邦法第109条違反だ。」
「悩むな~ でも、ここ気に入っちゃたからな・・・」
(ロル頼む!何とかしてくれ!)
凛は心の中でロルに頼んだ。
「ロル。今この国の護衛艦みょうこうから迎撃兵器が発射されました。」
「しかし、初動の遅れから破壊には至らない模様です。」
リセの予測通りイージス艦から発射された6発の迎撃ミサイルSM-3の攻撃は残念ながら失敗した。その間にもミサイルは弾道頂点を超え最終フェイズに入ろうとしていた。
「ロル。間もなくこの惑星の大気圏に再突入します。突入すると約1分で着弾します。」
凛は溜まらずにロルに頼んだ。
「ロル。お願いします。ミサイルを何とかして下さい。」
「何でもしますから・・・。お願いします。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
ロルも迷っていた。
「何でもするのか?」
「はい。だからお願いします。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「リセ。攻撃兵器の弾道を変え、被害が出ない海洋に着弾させてくれ。」
「はいロル。了解しました。」
「ありがとうございます!」
凛はロルに深々と頭を下げた。
X国から発射された4発の中距離弾道ミサイルは千葉県沖に着弾し首都圏への被害は免れた。だがそれは初段の攻撃に過ぎなかった。
「ロル。15分後に第二次攻撃が始まります。」
「そうか・・・。」
無事に終わったと思っていた俺は耳を疑った。
(うそだろ・・・なんで・・・?)
「何をビックリしてるんだ凛。」
「戦争だろこれ。あたりまえじゃないか。」
戦争なんてこの日本では起きないと思っていた。
(夢なのかな・・・)
(戦争なんてありえないし・・・そういえばユナやロル、リセだって夢の中でしかあり得ない話だし・・・)
(やっぱり夢なのか・・・)
凛は軽いパニックを起こしていた。
そうしている間に日本国総理大臣から発表があった。
今回のX国からのミサイル攻撃を宣戦布告とみなし、日本国は自衛隊に防衛出動命令を発動した。警察についはテロ警戒態勢を取るように指示され、国民には落ち着いて行動するよう呼びかけられた。
同時に同盟国Aも本戦への参戦を表明し共同対処行動を即時実施した。
少し遅れてE国からも本作戦への参戦が表明された。E国戦闘機タイフーン十数機が空中給油をしながら派遣されてくるらしい。
そしてリセが言っていた通り、15分後にはX国から第二次攻撃が始まった。
今度も首都圏に向け4発、さらに沖縄A国軍基地に向け4発が打ち上げられた。
しかし今回は政府の動きも早く、両国イージス艦から発射された迎撃ミサイルSM-3は、早い段階でX国の中距離弾道ミサイル全弾を打ち落とした。
それと同時にA国第七艦隊のミサイル駆逐艦及び日本海に展開していた潜水艦からそれぞれ、X国の全ての軍事施設及び全ての重要施設に向けて巡航ミサイル、トマホークが発射された。
更なる大きな不安を感じつつ凛はユナの手を強く握り締め、固唾を呑みながらロルとリセの話をただ黙って聞く事しか出来なかった。そしてこの後、凛は一つの決断を迫られる事になるのだった。




