第10話 プレゼント (今一番欲しいもの)
凛は建物や道路を飛び越えながら大急ぎで宇宙船に向かって走っていた。
一刻も早く到着しロルとリセに材料のタングステン棒を渡したいと思ったからだ。
最初に遭遇した時の恐怖が今は不思議と無くなっていた。
この強化スーツにより気が大きくなったのか、もしくは人(今回は宇宙人だが)に頼られた事への使命感なのかはわからない。
とにかく今は困っているロルとリセのために一生懸命だった。
そのころロルとリセは大急ぎで戻ってくる凛をスクリーンで確認していた。
「おおっー ちゃんと材料を確保できたみたいだな。」
「リセ。あの材料で問題無いか?」
「はいロル。こちらでも確認しました。」
「リンが持ってきている材料はサイズ、硬度共にこちらの要望通りのものです。」
「支柱も13本取れる長さがありますので、亜空間キューブの支柱を全て取り替えられます。」
「でかしたぞ! リン!」
ロルは思わずスクリーンを通して褒めた。
そんな中、凛もあっという間に宇宙船まで戻ってきた。
「よし!着いたぞ。」
「でも、また吸い込まれるのかな・・・それはもう嫌だな・・・」
凛はどうしていいのかわからずに「おーい」と声を出しながら材料を頭上で振った。
すると、今度は一瞬にして宇宙船の中に入っていた。
目の前にはすでにロルがいた。
「リン。ありがとう!」
「本当に良くやってくれた。」
ロルがいきなり褒めてくれた。
続けてリセも褒めてくれた。
「リン。本当にありがとう。」
「これで、船が復活できます。」
「あなたの協力に心から感謝します。」
「我々は救われました。」
二人の感謝の言葉に凛はとても嬉しくなった。
「あーすごく喜んでくれている。ちよっと不安だったけど協力してよかった。」
「人助けって良いものだな・・・」
本当に困ってる人を助けたのは初めてだった凛は、とても感動した。
「では早速その材料を加工しましょう。」
「リン。その材料をそこのケースに入れて下さい。」
凛はリセに言われるままタマゴ型をしたケースに材料を入れた。
「どんなふうにして加工するんだろう・・・」
凛は工学部の学生としてもとても興味が湧いた。
するとタマゴ型ケースが薄紫色に光ったと思ったら、鏡の様な面に加工された13本の支柱が出来上がっていた。
「スゲーーー」
「どうやったんだ?」
一瞬で加工を終わらせたその技術にまた驚かさせられた。
「それでは修理をします。」
「一瞬暗くなりますので足元には気を付けて下さいね。」
とリセから説明があった。
凛はドキドキした。
リセの言う通り一瞬暗くなり、そして次の瞬間、船内は華やかに光輝いた。
「直ったんだ!!」
今まで止まっていたであろう様々なシステムが再稼働し始めた。
船内の至る所にエネルギーが満ち溢れているのがわかる。
理由はわからないがそのシステムの一つ一つが、途轍もなく凄いということは感じられた。
「この船は完全に復活した。」
「君の素晴らしい仕事のお蔭だ。」
「リン。本当にありがとう。」
改めてロルから感謝の言葉をもらった。
照れる凛にロルが続けて言った。
「お礼がしたい。」
「何か望むものはあるか?」
凛は驚いた。
「お礼なんてとんでもない。」
実際、凛は材料を持ってきただけで大したことはしていないと思っていたからだ。
「へぇーー。」
「案外立派ではないか。」
ロルは感心した。
ロルは、文明的に低い凛が何等かの対価を要求してくると思っていたからだ。
「本当に何もいらないのか?」
「はい・・。」
凛は少し迷ったが、そう返事をした。
「そうか・・・」
「だが、それは受け入れられない。」
「君らならわかると思うが、我々は恩を受けたら必ず恩で返すという習慣がある。」
「だから、そう言わずに私からのプレゼントを受け取ってくれ。」
「それに君が今一番欲しいモノもわかっている。」
「特別だぞ!! 期待して欲しい。」
「えっ?」
「何? 何だろう?」
遠慮していた凛だったが、何だか異星人ロルからのプレゼントに期待が膨らんでしまった。




