混乱
目の前には執事と思しき人物が心配そうに顔をを覗き込んでいるのである。
初老の男性は心配そうな声で正樹に向かって話しかけた。
「皇帝閣下、爺は心配致しました…お亡くなりになられたのかと…」
執事らしい初老の男性は自分を爺と呼び、正樹の事を皇帝閣下と呼んでいる。
正樹はふと思った。
(あれ?ここはどこ…あなた誰?皇帝閣下ってなに?)
正樹の脳内には疑問しか浮かばなかった。
彼は今フカフカのベッドの上で顔を汗で濡らしながら怯えた目で初老の男性を見つめている。
「あの…すいません、ここはどこなんですか?」
正樹は勇気を振り絞り聞いてみることにした。
初老の男性こと執事は正樹に対して困惑した表情を向けて直ぐに笑顔で
「皇帝閣下ご冗談を、ここは皇帝閣下の寝室ではありませんか」
執事はそう言うと一歩後ろに下がった。
正樹は少し頭の中を整理するために1人に成りたいと思い初老の執事には部屋から出てもらうことにした。
「すまんが、爺は少し外に出てくれ…怖い夢を見たので1人にして欲しい…」
初老の執事は爺と呼ぶことにした自分で爺と言ってたし。
爺は少し不安そうな顔をすると
「これは失礼を、直ぐに出て行きます。私はご朝食の準備を始めさせていただきます。」
そう言うと爺は頭を下げて部屋を後にした。
爺が部屋を離れて数秒後に正樹は考え始めた、ここはどこなのか、私は誰なのかと…。