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雷の戦女神(ヴァルキュリア)(凍結)  作者: yutaso
第三章 発現、魔女化能力
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四十六話

今回はかなり短いです。

「誠!」

「みん、な……?」

「よく帰ってきてくれた!」

「良かった誠!」

自我を取り戻した誠に、信司達は駆け寄った。

友人の帰還を素直に喜ぶ彼らとは対照的に、誠はただひたすら混乱していた。

「お、俺……確か焔さんに自室に連れて行かれて……それで……」

そう呟いた誠の瞳が再び輝きを失い始める。

「うわわわっ!?」

「落ち着け誠!考えるな!もう考えるな!」

「勝機を取り戻せ!お前は北条誠だ!」

せっかく出てきた誠の意思が沈みそうになるのを、三人で懸命に引っ張り上げる。

「あ、あぁ……ありがとな。」

その様子に各中隊の隊長達が揃って安堵する中、青山焔だけは舌打ちをしていた。

「チッ、洗脳が甘かったか。だが、まぁいい」

すると焔は邪悪な笑みを浮かべると、誠に復活に沸く皆のムードに水を差すつもりで言い放つ。

「だったらまた洗脳し直せばいいだけの事ッ!!北条誠曹長!今度は1ヶ月よ!1ヶ月間私の保護観察を受けてもらいます!これは団長命れ―――」

そこまで紡がれた彼女の言葉は、



ガシィッ!!と、副団長の紅井薫に顔面を引っ掴まれてアイアンクローを決められた事により途切れる事になった。


 

「あ?焔さんよぉ?今なんかほざかれましたぁ?」

並のチンピラなら卒倒レベルの強面をさらに凶悪にした薫は、そのコンクリートブロックさえ破壊する腕力で焔の体を軽々と持ち上げ、りんごをいとも容易く握り潰す握力で焔の顔面を掴む。

「いたたたた痛い痛い痛いよ薫!?アンタどんな握力してんのよ!?」

薫の腕を両手で掴んで必死の抵抗を試みる焔だが、

「聞こえてんのか?テメェは今なんて言ったかって聞いてんだよ。」

「い、一週間でダメなら一ヶ月で今度こそ誠くんを痛い痛い痛い痛いいだだだだだだだだぁぁぁ!!?」

事態はよくなるどころかさらに悪化の一途をたどってしまう。

「悪いな。最近耳が遠くてよ。もっとハッキリ言ってくんない?」

「待って!いや待ってください!もうダメだよこれ!?だってさっきから私の頭が「ミシミシ」言ってるもの!人体が発しちゃいけない音を発しちゃってるもの!」

「聞こえねえつってんだろクソアマがぁ!もっと腹から声出せぶち殺すぞコラァ!!」

「いやハナから殺す気だよねこの握力はさぁ!?脅しになってないもの最初からクライマックスだもの!!」

そして、


メキャ!という音が響いた直後、焔の体から力が抜け、手足がだらしなく垂れ下がった。


「ふんっ」

興味をなくしたかのように焔の体を放り捨てる薫。

床に崩れ落ちた彼女の体はピクリともしなかった。

諸悪の根源を討ち取ったことでひと安心する各中隊長達。

「くだらねえ真似しやがって、クソが。」

「薫さん、もうおねえちゃんを許してあげてください……」

「すげえ執念だったな。」

「っていうか前にもこんな事をあったよね~?」

「……うん。」

「まぁ、今回は未然に防げて良かったわ。」

「そうね、もうあんな事だけは二度と―――」 


そこまで言って、皆はふと思った。









そういえば、望月と八重樫はここまでのやり取りの間、何をしていた?










「おい、望月!どうした!どうしたんだおい!?」

その悲痛な叫びは、すぐに雫をはじめとした中隊長達、そして誠達を振り向かせた。

「おい!しっかりしろ!おい!!」

彼らの視線の先では、強志が悲痛な叫びを上げながら力なく横たわる望月(魔女化状態)を抱きかかえ、必死に呼びかけをしていた。

ただならぬ雰囲気を感じた皆は、すぐに望月達の所へと駆け寄る。

「八重樫先輩!どうしたんですか!?」

「分からん……お前が闇に囚われている時に暴走していて、それを俺が羽交い絞めで止めていたら、いきなり気を失って……!」

普段はクールな強志がとんでもなく取り乱している所を見るて、誠はこれは相当な非常事態であることを知覚した。

「嫌な……嫌な予感がする……」

雫がボソッとつぶやいた、その直後だった。


「ぅ…ん…」


今まで意識のなかった望月が、うめき声と共にゆっくりその瞼を開いた。

「っ!望月!」

気を失った戦友の目覚めに喜ぶのも束の間、強志はすぐに意識の確認を取る。

「大丈夫か望月?俺が誰だが分かるか?」

「ん……うにゃ……」

望月は眠たそうに瞼を手でこすって、そのエメラルドグリーンに輝く宝石のような瞳をパチパチとさせた。

「望月?俺が分かるか?」

強志は、意識の確認のために問うた。

それ以上でもそれ以下でもない。

やがて、望月の表情に変化があった。




まるで、親しい自分の家族を見つけた一人の子供のように、その顔には喜びという輝きが確かにあった。


しかし、その顔はここに居る誰もに本来の効果を与えない。


「え?」


抱きかかえている強志本人が、素っ頓狂な声を上げた直後。


望月は上体を起こすと、






「あ、つよしお兄ちゃんだ!!」








そう言ってそのまま強志の肩に抱きついた。














時が、凍った。

いかがでしたでしょうか?

次回、四十五話の伏線を回収したいと思います!

乞うご期待!

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