6.ルート案内の2 Every highway leads to you ② 分岐と合流
左ルートへの分岐を過ぎて、しばらく渋滞の中をじりじりと進む。
鮎沢PAの表示が出てからも歩みは遅い。PAの入口のだいぶ手前から、PAに入る車の行列が路肩に出来ていた。
路肩の行列の後ろにつく。そこからPAに入るまでがまた長かった。
◇
ようやくPAに入り、駐車枠の空き待ちがしばらくあってから、本当に久しぶりに車を駐め、エンジンを切る。ドライバーが車を降りてトイレに急ぐ。結構切羽詰まってたみたい。
◇
「最近近いんだよね。年のせいかもしれない。」
<失礼ですがおいくつになられますか?>
「アラフォー、とだけお答えしておきますよ。レオノーラさん。」
<まだお若いじゃないですか。>
「そうかな。」
<そうですとも。>
眠気覚ましのエナジードリンクを飲んで、しばらく休憩する。ラジオの交通情報によれば、渋滞は相変わらずで、ここで待っても状況は変わらないようだ。
出発する。
「エナジードリンクって、カフェインが大量に入ってるから、利尿剤でもあるんだよね。」
<といいますと?>
「またすぐトイレに行きたくなる、ってこと。」
<次のPAが近くなったら、またご案内します。>
◇
トイレはともかく、眠気の方はとれたようだ。
また渋滞の中をじりじりと進む。
「こうして分岐で左右に分かれても、またすぐ先で合流するんだよねえ。」
<もともとは渋滞対策で車線数を増やした時に、山間部でトンネル部の拡幅が難しかったために、こういう分岐という形で車線を増やした結果、こうなったようです。>
「物知りだねレオノーラさんは。」
<AIですからね。私が知ってるんじゃなくて、ネットから情報を集めてくるだけですよ。>
「そうかあ。」
♪Anyway~
この人はまた歌い始める。
<いい歌ですね。>
「Every highway leads to you」だったかな、タイトルは。昔よく聴いていた「柳ジョージとレイニーウッド」のアルバムの中に入ってた曲だよ。気に入って歌詞を覚えたんだ。」
<‥‥‥検索してみました。ずいぶん古い歌ですよね。>
「どっちかというと、僕の父親が熱心に聴いていたんだ。その影響で、僕も聴くようになった。」
<そうですか。>
「(JASRACに怒られるから歌詞はここに書かないけど)歌詞の内容はね、『僕のために、君の心の中に火を灯しておいて。それを頼りに、僕は君の所へ帰る。すべての道は、君へと通じているから』みたいな感じ。」
<いいですね。>
「君にも分かるの?」
<分かりますとも。左右どちらのルートからでも、必ず君の所へ行けるから、ってことですよね。>
「‥‥‥まあ、だいたい合ってるかな。」
◇
左右ルートの合流点の先に、事故現場が見えてきた。
左端の1車線の通行が確保できたようだ。車列が少しずつだが流れ始めた。
<目的地まで、あと200kmほどです。>




