3.ルート案内の1 死に場所探し ③トラックステーション
東名の海老名SAに入り、朝食をとる。
まだ普通のレストランが開いていないので、とりあえず吉野家で牛丼並盛を食する。
天気は良い。
行先不明のドライブには絶好の日和だ。
食べ終えたら、ペットボトルの麦茶を買って出発。給油はまだ先でいい。
◇
CDでバッハをかける。
この車のオーディオは古いので、ネットのサブスクサイトから曲を探してかける、なんていう器用なことは出来ない。当然レオノーラも手が出せないので、SAに寄る度にCDを入れ替える、という面倒なやり方で音楽を聴くしかない。レオノーラにはお願いできないよな。
と、ひとりごちていたら。
<出来ますよ。お好きな曲を探してかけられます。>
しまった。名前を呼んだから起動したのだ。
しかし、この車の古いオーディオに干渉できるとは思わなかった。
<オーディオ本体には手が出せませんけど、スピーカーにはつながっていますから、大丈夫です。>
そうなんだ。それは心強いな。
では、スメタナをかけてみて。
バッハの無伴奏チェロ組曲が中断され、スメタナの連作交響詩「わが祖国」が流れ始めた。
◇
東名の流れは順調だ。第二車線を流れに乗って走らせる。
<新東名に入りましょう。左車線へ車線変更をお願いします。>
御殿場JCTから新東名に入る。
道幅が広がり、制限速度が120km/hになる。
開通当初は皆用心して100km/hくらいで走る車が多かったが、最近は飛ばすやつが増えてきた。道路は広くて快適だが、大型トラックとの速度差が30~40km/hくらいあるので、そこは用心しないといけない。また、左端の車線は、今でも100km/h位で走る車が少なくない。
要は、速度が皆結構バラバラなのである。そこだけは要注意だ。
◇
足柄SAで休憩と給油。食事もとる。
その後東名へ戻り、名神へ入る。
名神から吹田JCTを経て、山陽道へ。
◇
<本日の宿泊先ですけど、岡山のトラックステーションを予約しました。>
なんと、トラックステーションか?
<ご不満ですか?>
いやいや、トラックステーション上等。安いしね。飯も悪くない。昔一度だけ使ったことがあるよ。
<そうですか。では、岡山トラックステーションまでご案内します。>
レオノーラの案内で、「岡山トラックステーション」に到着する。
乗用車用の駐車スペースがあるので、そこに止めてチェックインする。
部屋は風呂なしだが大浴場がある。ロビーには雑誌と一緒にトラックのカタログが置いてある。
こんなものなかなか見る機会がないので、トラックのカタログを見てみる。
おお、スカニアとかなかなか良さそうだけど、今借りてる車庫にはちょっと入らないな。
◇
明日はまた、レオノーラと二人旅である。
明日こそは、目的地が分かるのだろうか?




