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第27話 ミニダンジョンがあるぼくのうち


 イリーナさんにこれまでダンジョンで手に入れたアイテムを報告した。

 牛の餌とか畑の肥料とか僕の手のひらに収まる小さい袋に入れて、あと、収穫ハサミと鎌。

 あとこのミスリルミニゴーレムのグランツ。


「収穫ハサミは一つ収穫したら、その畝のお野菜が全部収穫できました。鎌はわからないです、ミニダンジョンで攻略してるときに使ったので……。僕のうちは穀物はやっていないので、検証? できてないです」

「なるほど」

「畑の肥料は、野菜がおいしくなって、牛の餌も、おいしいミルクになってます。でも、ダンジョンのお水の効果もあるかもです」

「ヴァイデドルでは非常に需要のあるアイテムのようですね。どうします? これ、冒険者ギルドで買い取ります?」


 イリーナさんは僕とアーサー兄さんを交互に見てそう尋ねた。


「どうする? ジャック」


 アーサー兄さんの言葉に僕は驚く。


「え、ぼくが決めていいの?」

「ミニダンジョンでアイテムを手に入れたのはジャックだからな」


 アーサー兄さん、冒険者ぽい発言。でもそういうものなのかも……。


「えーと、もっとたくさんドロップしたらギルドの買取をおねがいします」


 だって、まだこれぐらいだと、一農家分の農具でしょ? たくさん集めたら、まとめて買い取ってもらった方がいいかなって思ったの。


「わかりました。じゃあ餌と肥料はどうする?」

「これも、まだたくさんじゃないから……それに」

「それに?」


 うちはミニダンジョンの水もあるから、それと合わせてあの味になってる可能性もあるんだよなあ~。


「どうしたジャック?」

「お水も売らないと、僕のうちみたいには美味しくならないかも」

「その可能性はありますね」


 でも、うちのプレミアムミルクはすっごく美味しくて、ブランドになりつつあるんだよね。

 市場では希少価値になってるから……。

 とりあえず餌と肥料だけを渡してっていうのもありだけど。


「時間がたつと、美味しくなくなるかも、だって牛とか畑のごはんみたいなものでしょ?」


 鮮度の問題もあるんだよな~。

 マリアお姉さんから借りてるアイテムバッグに入れることができるけど、このアイテムバッグの容量は小さいし、時間停止機能ってついてるのか聞いてないないし。

 つまり冒険者ギルドに卸すにしても、今の状態では無理。

 アイテムバッグのきちんとしたのを購入できるまでは卸せないかな。

 でも僕が毎日潜っても一個か二個だもんね。

 結局ダメか。

 僕がちゃんとしたアイテムバッグを買うまでは無理かもしれない。

 収穫バサミをたくさん卸せるようになったら、そのお金できちんと装備を整えて、時間停止で容量がもっと大きなアイテムバッグを買う……。そしたら畑の肥料とか牛の餌とかも卸せるようになる……っていう順番がいいのかな?

 僕がそう思ったことをアーサー兄さんに尋ねる。


「どう思う? アーサー兄さん、ぼく、そう思ったんだけど」


 アーサー兄さんは僕を見て、イリーナさんに何か問いかけるように視線を送る。

 イリーナさんも少し驚いた顔をしていた。


「アーサーさん、やっぱりジャック君は早めに学校に行かせた方がいいでしょう」

「まあ、こいつのこういうところがね、日常でも散見されるんで」


 つまり五歳児の思考ではないって、イリーナさんは言いたいんだな。実際はここではない世界の大人の記憶を持ってるからなんだけどね。

 僕は五歳児の子にしては知力が高くて、魔力量があって、テイマーの素質と、土魔法が使えるみたい。土魔法なんて使ったことないけどな~。


 そして僕はイリーナさんに案内されてギルドの資料室に連れってってもらった。

 ミニダンジョンにでてくるモンスターはどれも弱いモンスターなので、資料係の人に、弱くて虫のモンスターが知りたいって言ったら一冊の資料を渡してくれた。

 その中にはだいたいぼくとボスとポムポムがやっつけたモンスターがちゃんと図解付きで資料としてあって、一生懸命メモをとって、冒険者ギルドを後にした。



「ようこそ、サンクレル第三初級学校へ」


 僕が行く予定のサンクレル第三初級学校は、入学式がない。

 随時生徒は入学できる。

 へ~そこんところは前世と違うんだな。

 そしては冒険者を育成コースを主体に子供達に色々教えてる。

 サンクレルやメルクーア大迷宮都市は冒険者が多いからそうなるんだって.

 だからここに通う生徒の年齢はまちまち。

 校長先生なんかは元冒険者だけど怪我で引退して、ここの先生になったとか。

 基本的な読み書きや計算を教えたあとは、本人の特性を生かした専科にわかれるらしい。

 で、だいたいが冒険者希望だけど、お家で商売してる子が基本的な学習をさせるために近所だから通ってくるとかもあって、本人が希望すればもっと専門的なことを学べるところへも紹介したり、進路希望にそって授業内容を考えてくれてるらしい。

 ユジン兄さんが薦めてくれたけど、悪くない。

 学校の授業内容とか、何時に始まるとか、遠方から来てる人は寄り合い馬車もありますとか学校説明を受けて、僕は明後日からこサンクレル第三初級学校へ通うことになったのだった。


 そして三日後、僕はヴァイデドルフの寄り合い馬車場からサンクレルの学校へ通学した。

 入学式みたいなセレモニーがないのはいいけど、転校生気分。

 最年少組基礎コースっていう教室に案内される。

 教室には僕よりもちょっと上の子ばかりだな……。

 でも、一人だけすごく小さい女の子がいた。

 小さい僕の方を見てる。これはきっと自分と同じぐらい小さい子がきたから期待されてるのかも?

 僕自身も僕と同じぐらい小さい子がいてほっとした。


「自分のことをみんなにお話しできる?」


 担任の先生にそう促されて、僕は頷く。


「はじめまして、おはようございます。ぼくはジャックです。サンクレルのとなり、酪農エリアのヴァイデドルフから通います。よろしくお願いします」


 僕は先生に指示されて、僕と同じぐらいの小さな女の子の隣に座る。


「ジャック君、よろしくね、メルツっていうの」

「よろしくね、ぼくはジャック」


 前世では学校のお友達なんていなかったけど、今世ではお友達とかできるかな?

 うん、できるって思おう。

 だって転生した今、僕には、たくさんの兄姉とお婆ちゃんがいるんだ。

 ボスって名前の大きな犬もいる。

 新しいおともだち。仲良くなったら遊びに来てほしいな。


 サンクレルの隣の酪農エリア、ヴァイデドルフそこにあるの小さな牧場――。


 ミニダンジョンがあるぼくのうち。




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