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第26話 冒険者ギルドへ再び


「ミニダンジョンさん……またきてねって書いてあるよ、ウィル兄さん」

「……う、うん」


 食玩ロボを僕は大事に手のひらに乗せる。


「ミスリルミニゴーレム……お名前つけなきゃね。カッコイイ名前……

 キラキラしてる……輝き……グランツ……よし、グランツね!」


 ロボっぽい響きだし~。

 僕はアイテムバッグではなく、胸ポケットにグランツを入れる。


「さ、帰ろ、今から帰れば、放牧してる牛達を牛舎に戻す作業ができるよ」


 五歳の僕に、すごい冒険をさせてくれるミニダンジョンの一周目をこうして終えた。

 ダンジョンから出るとき、ポムポムが寂しそうにしていたので、僕はポムポムにお水をあげる。


「ポムポム、僕、ポムポムがダンジョンの外でも大丈夫かどうか調べてくるよ。そしたらまたボスと僕とポムポムとグランツと一緒に、冒険しようね?」


 お水をあげながらポムポムにそう話かけたら、ポムポムはわかったよーって返事をするみたいに跳ねた。

 ポムポムはさみしんぼうなんだな。

 でもこのミニダンジョンはぼくのうちにあるんだから、いつでもこれるよ。またくるね。



 翌日、ウィル兄さんはメルクーア迷宮都市に、そして僕はアーサー兄さんとサンクレルの冒険者ギルドにむかうことになった。


「今日は俺達が不在だけど……」


 みんな婆ちゃんを頼むなって言うウィル兄さんの言葉をマリア姉さんがさえぎる。


「いいから、ウィル兄さんは無事に戻ってきてよ」

「アーサーもジャックも日帰りだから、大丈夫でしょ、ていうかアーサーもジャックを迷子にさせないでよ?」


 そういうのはデイジーお姉さん。

 うちのお姉さんたち、しっかりしてる~。ウィル兄さんはお婆ちゃんに最後に声をかける。


「じゃあ、婆ちゃん、俺、行ってくるな」

「うん、怪我をせんようにな」


 その様子を見て、僕も、とてとてとお婆ちゃんの前に行き「僕のいってくるね」とお婆ちゃんの手を握ってそういうと、お婆ちゃんは「アーサーのいうことを聞くんだよ」と、僕の頭を撫でる。

 僕がウィル兄さんのまねっこをしてるように見えたのか、お姉さん達は「可愛い~」って声を揃えていた。

「ボス、お留守番、よろしくね」

 僕がボスにそういうと、ボスはわんと一声吠えた。

 わしゃわしゃと、ボスの首回りを僕は撫でてから、アーサー兄さんと一緒に、お家を出て行った。


 昨日の夜、僕の学校行きについて、家族のみんなで話し合った。

 もちろん僕本人も参加したよ。

 ヴァイデドルフも街といえば街だから、学校はあるけど、むしろ近いけど、僕はサンクレルの学校に行くことを希望した。

 うちのミニダンジョンを調べたいからだ。

 そういうのを調べるために、冒険者ギルドに立ち寄りやすい場所の学校にしたいって、僕が主張した。

 お姉さんたちはちょっと心配~って表情をしていたけど、でもうちのミニダンジョンを放置できないので納得したみたいだ。

 そしたら、サンクレルの第三初級学校がいいって、ユジン兄さんが薦めてくれた。

 冒険者育成に力を入れてるから冒険者ギルドに近いんだって。

 そしてヴァイデドルフの中央にはサンクレルに行く寄合馬車がでてる。

 こういう交通面がこの地域にできたのはやっぱり半年前かららしい。

 メルクーア大迷宮踏破がきっかけで、こういうところがだんだんと整備されてきてるんだって。

 サンクレル中央都市機構省経由サンクレル冒険者ギルド行きっていう寄合馬車に乗る。


「この間は歩きだったけど今日は馬車」

「うん。これからジャックが通学するなら安全面を重視ってうちの女性陣がうるさくてね、タイミングズレると歩きになるけどな」

「あ~だからこの間は歩き……」

「そういうこと。寝坊して遅刻とかできねーぞ、デイジーとマリアが起こすから」

「僕朝は早起きだよ」

「まあそうな。牧場の子あるあるな」


 寄合馬車は本数が少ないってことか。

 まあいいか。それでお姉さん達が安心するならこれでも。


「ただ、ジャックが乗り物酔いするなら歩いても行ける。ただサンクレルの街の内部は――」

「広いもんね」

「そうなんだよ」


 結局サンクレルに入ったら寄合馬車にのらなくちゃいけないことになるのか。馬車酔いしなければ最初っから乗っていった方がいいということだ。

 なるほどね~。

 僕は寄合馬車からヴァイデドルフの景色を眺めつつ、サンクレルの街へと向かうのだった。


 サンクレル冒険者ギルドに行くと、受付のお姉さん達が小さい僕を見て、小さい歓声をあげる。やっぱりこの年齢の子が冒険者ギルドには珍しいんだよね。


「ヴァイデドルフからきました、ジャックです。イリーナさんをお願いします」


 カウンターで僕がそういうと、お姉さん達はニコニコ笑って、頷く。

 カウンターの奥の方からイリーナさんが姿を見せて、僕の方へやってきた。


「ひさしぶり、ジャック君、よくきてくれたね」

「こんにちは」

「あら~挨拶もできて偉い~」

「僕が何ができるのか、聞きに来ました。あと、うちのダンジョンでドロップしたアイテムも……えっと、ほうこくします」

「はい。遠いところ、ありがとう。じゃあ二階に行きましょうか」


 イリーナさんの案内で小さい会議室みたいな部屋に案内された。


「調べた結果、ジャック君にはやっぱりテイマーの素質がありました。他にもあと土魔法が使えるようです」


 へ~テイマー……。


「ダンジョンで仲良くなったスライムがいます」

「そうなの?」

「いうこと聞くけど、ぼく、テイムした感じわからないの……」

「何かと一緒に――例えば餌とかね、それを与える時に。ジャック君の魔力をちょっとだけ分けてあげると完全にテイムした状態になると思うの」

「お水あげたけど……魔力をあげた感じはわからない」

「そうね。そういうのは学校で習うし」

「ぼく、学校にいきます」

「ちょっと早いような気もするけど、ジャック君なら大丈夫かな。早熟な天才児ってこのサンクレルにはいるから問題ないと思うよ?」

「サンクレルの第三初級学校にこれからジャックを連れて行こうと思います」

「そうですね、随時入学可ですし、ジャック君、おうちよりちょっと遠いけど平気かな?」

「だいじょうぶです……あと、ミスリルミニゴーレム、完成しました」


 僕はそっとポケットからグランツを取り出してイリーナさんに見せる。


「ダンジョンの中で勝手に動いていたけど、ダンジョンの外に出てからは動かないです」

「なるほどね……小さくてもかっこよくて強そうね」

「グランツって名前つけました」

「そうなの」

「あと、うちのミニダンジョンからはこういうのがでました」


 僕はアイテムバッグからダンジョンでドロップしたアイテムをテーブルの上に並べてイリーナさんに見せた。

 報告しなくちゃだもんね。




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