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第15話 ステラお婆ちゃんのチーズケーキ

 ボスの背に乗って、デイジーお姉さんとアーサー兄さんと一緒に、サンクレルの街へ。

 ヴァイデドルフからサンクレルへつながる道はとっても整備されていた。歩道も馬車道も広くて縁石だってあるし、タイルも敷かれてる。

 これはサンクレルメルクーア大迷宮都市の人々の食を支える場所がヴァイデドルフだからだってアーサー兄さんが説明してくれた。

 実は、森を挟んだ西側にもサンクレルと迷宮都市をつなぐ道はあるらしいけど、ここまでキレイに整備されていないんだって。


「この反対側の森を挟んだほうの道は、冒険者が近道でメルクーア大迷宮都市に行く道になってるんだ。モンスターだって弱いのならちょろちょろ出てくる」

「ま、ちょっと距離はあるけど、この北大街道は安全ではあるのよね」


 アーサー兄さんとデイジーお姉さんがそう教えてくれた。

 一時間半ぐらいで大きな大きな塀――外壁なんだろうな……そこを潜り抜けた。

 外壁は大きいモンスターの襲来に備えて作られたんだって。

 でも、通行料とかはないんだよね。こういうファンタジー世界なら通行料あるかなって思ったけど。外壁に見張りとかもいない……。よくよく見ると、詰所みたいなのが、外壁の内部に設置されてるっぽかった。

 この大陸のこの地域って、本当に中世とは違うんだなあ。不思議。

 トンネルみたいな外壁を潜り抜けると……そこはサザランディア大陸一、二を争う港街サンクレルだった。

 街の中央に大きな時計台。これがとっても目立つ。

 鐘も鳴るんだって。市場が開く朝とお昼と夕方、海に漁にでてる人のお仕事、終わりだよって知らせるらしい。

 すごーい!

 あと人がいっぱい。

 道も街道よりもきれい。

 街の案内版なんかもある。

 異世界転生したら中世な世界っていうイメージが覆された!

 お婆ちゃんが言ってた。

 魔法と科学の融合、メルクーア大迷宮のスタンピードから、何百年も――千年近くの時間を人々が一生懸命繁栄させた――これが港街サンクレル!

 ユジン兄さんが「サンクレルは楽しいぞ~」っていってたのわかる!

 転生前の僕の記憶、現代ではなくて、どこか古くて懐かしい時代ぐらいには、先進的だ。


「じゃあショッピング街に行くわよ」

「なんでだよ⁉ 冒険者ギルドじゃなくて、なんでショッピング街なんだよ⁉」


 デイジーお姉さんの言葉にアーサー兄さんがツッコミを入れる。


「あたしが勤めていたカフェにちょっと挨拶するためですけど?」


 あ、うん。それは大事。

 アーサー兄さんも「あ、はい。仰るとおりです」って何故か敬語で返事をしていた。

 うちはお姉さん達が強い……。

 Bランク冒険者に敬語を使わせるとか、強いんじゃないでしょうか。

 きっと、お婆ちゃんと一緒にいつも美味しいごはんを作ってくれてるからだよね。

 そうなると一番強いのはやっぱりお婆ちゃんになるかも。

 僕達は、デイジーお姉さんの後をついて、ショッピング街に向かうトロリーバスみたいなのに乗る。そうなんだよね。バスのような客車なんだけど、もちろんその客車を牽くのは動物とかモンスターだ。街の中のモンスターはみんなテイマーの人が使役してるから、暴れたりしないんだって。

 トロリーバスができたのはつい最近らしい。

 なんでもメルクーア大迷宮が半年前に踏破されて、メルクーア大迷宮都市とこのサンクレルの都市合併事業が進んでるから、その影響なんだとか。

 でも踏破されたダンジョンでも、そこで生み出されるアイテムは変わらないので、冒険者たちは出現して千年を超えるメルクーア大迷宮に潜っていく。

 大迷宮踏破の最大のメリットは大迷宮のスタンピード阻止だったから、安全性が爆上がりになったこと。

 踏破前よりも格段に街は発展してるんだって。

 それにしてもこのトロリーバス。ボスが乗っても大丈夫なのすごい。

 前世じゃ大型犬同乗とかは介護犬とか限定されてたのに。

 やっぱり動物やモンスターを使役するテイマーの人が連れてることが多いからか。


「ジャックもそういう素質があるかもしれないからね」


 僕はボスの顎の下あたりをもふもふさせてもらって、ボスは気持ちよさそうに目を閉じてる。ボスは大人しくていい子だよ。

 僕達はデイジーお姉さんのお勤め先だったカフェについた。

 ボスは店頭で待つ専用の場所があるからそこで待ってもらう。


「わあ、デイジーじゃない?」

「え、子持ちだった? いつ結婚した?」

「結婚してない。この子は弟です」

「え~可愛い~」


 お店のお姉さんやお兄さんに囲まれて、デイジーお姉さんは「近くにきたから挨拶にきたの。わたしとお婆ちゃんが作ったチーズケーキなの、休憩時にみんなで食べてね」って言ってた。

 女性の店員さんは可愛いクラシカルなメイド服みたいなのが制服。

 アーサー兄さんが言うにはこのお店「チェリー・ベリーカフェ」はショッピング街でも女の子には人気店なんだって。

 デイジーお姉さん……お婆ちゃんとマリアお姉さんと作ったチーズケーキを差し入れと称して渡していたけど……。

 ここのカフェの人達が食べたら、「商品化してください」とか言いそうな気がする。お婆ちゃんのチーズケーキ美味しいんだよ。もともと美味しいのに、うちの牛達のプレミアムミルク使ってるから、美味しささらに倍なんだ。


 そしてこの僕の予想は当たった。

 この日から数日後。


「ステラお婆ちゃんが作ったチーズケーキ」


 これを商品化してくださいって商業ギルドの人と一緒にチェリー・ベリーカフェのオーナーとデザートシェフが揃ってうちの牧場にやってきて、土下座する勢いで、懇願することになるのだった。




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