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第14話 サンクレルの街へ


「え!?  ジャックがダンジョンのスライムをテイムしたかもしれない!?」


 夕食時、ウィル兄さんがみんなに報告したら、デイジーお姉さんがそう叫んだ。


「……そりゃ、うちで一番ボスがなついてるのはジャックだし、牛達もジャックが牛舎に行くと嬉しそうだとは思ってたいけど……」

 アーサー兄さんも僕を見る。

「ほえ~ジャックはテイマーの素質があるんかあ~すごいなあ~」


 ユジン兄さんは冒険者の素質がないから、のんびりした相槌になってる。


「かもしれないってだけで、確定じゃない。サンクレルの冒険者ギルドに行って、素養調査してもらった方がいいかもしれないな」

「ついでに学校も見学させる? 同い年の友達だって、できるかもしれないし」


 確かにここの近辺には僕ぐらいの子はいないんだよね。

 でもなあ。

 同い年の子と遊ぶっていうのが想像つかない。

 ぼっちでいいから、僕はダンジョンで謎パーツを集めたいんだけどな……。

 兄さんやお姉さんのお話を他人事みたいな感じでお婆ちゃんお手製のクリームシチューをぱくついた。

 うん。美味しいなあ。


「ジャック、学校見てみる?」

「みない。いかない」

「あ~ジャック、人見知りしちゃう系なのかな~?」


 デイジーお姉さんがからかうようにそう言った。


「いまはダンジョンの謎アイテムを集めるの」


 あとボスを連れていけない。

 それがいや。


「学校、テストあったりして、僕、悪い点とってみんながっかりされたくないから行かない」


 僕がそういうと、みんな顔を見合わせて、シチューをぱくついてる僕の注目する。


「この年齢で、学校にテストがあるって、わかってるところが」

「テストはな~でもあれはあれでまた別だからな~でも、悪い点とかも基準がちょっとアレだから……基本的に、個人の長所を伸ばすのが学校の在り方なんだよな」

「ジャック、俺っちみたいに、冒険者になれなくても、得意なものを発見できるところが学校なんだぜえ」


 ふーん……。

 なんだろ、基本的なことを教えつつ、専科に分かれるっぽいのかな……。


「うちのダンジョンが安全であるのはわかってるけど、心配なのよねえ。だったら学校に行ってくれてる方が安心するっていうか」

「それはある。ていうかジャックは賢いから、テストとかは結構心配しない。識字率上げるために、学校には大人だって通ってるし」


 え、そうなんだ。

 つまりえーと前世でいうところの夜間学校みたいな形態なのかな?

 それじゃいじめとかなさそうだけど。

 前世だと施設育ちだから、そういう理由でいじめっぽいことはあったから、ちょっとやだなとは思ったけど……。

 この世界は……冒険者が両親で、うちの兄さんやお姉さんみたいな子も多いから、そういったことは起きないのかな?


「まあー気の合う合わないやつはいるけど、そこはワンパンで」

「そう、ワンパンでだいたい片付く」


 僕と同じ境遇でも、いじめについて物理的解決を試みた二名……ウィル兄さんとアーサー兄さん……。

 しかもワンパンなんだ……。

 それ前世だろうと今世だろうと、参考にならないです。


「ウィルとアーサーがどんだけやんちゃだったかわかる言葉ね」

「お爺ちゃんとお婆ちゃんが苦労したわよね、きっと」

「でもジャックは大人しいから、そういう意味じゃ心配」


 デイジーお姉さんとマリアお姉さんが呟く。


「うちのジャックは、意外とやるときはやる子よ? 最近はダンジョンでモンスターに対峙した時はだいたいワンキルで倒せてるからな」

「ジャックが夢中になってるダンジョンの謎アイテムを、知ってる先生がいるかもしれないっしょー」


 それはそうなんだよねえ……たしかにそれは気持ちは惹かれるけどお。

 学術的研究はやっぱり学校が頭一つ抜けてるのはどの世界でも同じなのかな。

 とはえ、僕は単純に食玩パーツを集めたいだけなんだ。


「ボスと一緒じゃなきゃいかない」


 そしてボスは僕のダンジョン探索以外にも、ちゃんと放牧した牛を集めることもしてるから無理!

 行かない。

 行かないったら行かない!



 そのはずだったのに~。


「アーサー、デイジー、ジャックを頼むな」

「任せておいてよ」


 結局サンクレルの街にいくことになった。

 街にはデイジーお姉さんとアーサー兄さんと一緒。

 《《お買い物のついで》》に、冒険者ギルドと学校見学することに。

 でも条件だしたもんね。一回行ったら、しばらくはダンジョン探索していいって言われたんだもんね。

 あとボスも一緒だもんね。

 ボスと一緒に行くことを許してくれたのはお婆ちゃんだった。

 デイジーお姉さんとアーサー兄さんの目が離した隙に僕が迷子になっても、ボスがいればボスは僕を見つけてくれて、この牧場に戻ってくるだろうからって。

 安全面でボスの同行を許した感じ……。


「サンクレルの街はいろいろあって楽しいからなあ、ジャック~」


 おうちの改装増築をしてるユジン兄さんはそういって僕の頭を撫でる。

 楽しいのか……。


「ユジン兄さん、工務店さんに言伝とかあるなら、僕、伝えに行く?」


 僕がそういうと、ユジン兄さんは目を丸くする。


「棟梁が可愛がってるメルツちゃんもすごいけど、俺っちの弟、負けてねえわ。何この子、神じゃね? 神の子じゃね?」


 ユジン兄さんは僕を脇に手をあててひょいと持ち上げて目線を合わせる。

 あの、抱っこはしないでほしいんですけど?




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