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「幽霊に絡まれると、どうなるの?」
色素の薄い天パーの、弟の頭をポンポンと叩きながら、私は母に訊ねた。
「相手にもよるけど。そう、例えば、気持ち良くお散歩をしている時に、周囲の人が、自分を見て大きな声を上げたり、面白半分に写真撮ったりしたら、どんな気持ちになる?」
「それは嫌かな。場合によっては、キレるかも」
「ね。同じなのよ。彼等には彼等の世界が在って、そっとして置いて欲しいのよ」
「っていうか、何で家が霊の通り道って、分かったの?」
「ああ、この家を建てている時に、工事中の写真撮ったら、オーブが沢山写っていたの。写真の画面が水玉模様になるくらいね。中には人の顔になっているのもあったけど」
「うへっ」
「だけど、特に嫌な感じはしなかったし、別の日に写真撮ったら写らなかった。つまり、一過性のものってこと」
「なるほど」
私と弟は、声を揃えた。二人は、母の能力を信じているので、母がそう言うのなら、そうなのだと納得できる。
「じゃあ、さっきの人も?」
「用があるなら、また来るんじゃないのかな。ただ、君達の手に余る事だったら、何を頼まれても、きっぱりとお断りしてね。安請け合いすると、後が怖いから」
母は、真剣な顔で念を押した。