5-1 プロローグ|エレーナ
「見つけた!」
すぐそばで大きな声がしたと思ったら突然腕を引かれ、驚く間もなく目の前には煌びやかな美形。金色の髪に小麦色の肌。うちの国にはいない美形。但し、この距離、無礼な人だ。
初対面の淑女相手にこの距離はない。
「離してください」
貴族の夜会に出席しているし、身なりからして身分のある人だと思うけど。初対面の女性に許可なく触れるって、どういう教育を受けているの?
「すまない」
……そう言って離さないし。なんなのかしらね、自分が美形だと分かっていて『離さなくてもいいよね?』って顔をしている。
ふんっ、私には通じないけどね。
確かに美形だけどマックス小父様の愛嬌を半分にして、ヒョードル小父様の落ち着きを4分の1にして、父様の愛想を3倍にしたような感じ。つまり私にとっては『なんとなく間に合っている感じの美形』でしかない。、無礼を受け入れる気には到底ならない。
「は・な・し・て・く・だ・さ・い」
私の反応に、意外って表情で驚く。世界はとっても広いのよ、覚えておきなさい。あと、掴んでいる私の左手を見なさいよ。薬指に指輪がはまってるでしょう。婚約者がいるのよ、私。
「嫌だ、離さない」
……なに劇場?
男の大きな声に近くにいた人たちの目が私たちに向く……こんな非常識と『私たち』とか嫌だわ。そして面倒なことになりそうな予感がヒシヒシする。私、こう見えても結構世間を知っているお嬢様……ん?
「離すわけがない」
……どうしよう、突然泣き出したんだけど。涙ぽろりじゃなくて大号泣。こういう経験はないな、私。
「やっと会えたのに」
……酔っぱらっているのかしら。
「ずっと探したんだ、僕のセレナ!」
いや、私、エレーナ……酔っ払いだわ。
「僕の人魚姫、セレナーディア・マリーナ・ラヴィリアント・アズール」
「長っ!」
……いや、そうじゃない。
人魚姫って………………この人、ヤバイ人だわ!!
第5部始まります。番外編のように読んでいただけると嬉しいです。
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