表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

ブラテラ

土曜日、朝9時、ショッピングモールの一角。

ヒーローになれるらしいアトラクションを体験するために俺はやってきた。

わりとバックヤードの方にあるらしい。館内マップを見て進む。

受付の女性に上司から受け取ったチケットを出し、奥に入った。


四角く薄暗い部屋。奥にはカーテンがかかっていた。きっと奥に器具があるのだろう。

部屋を見渡すと、開始時間にはまだ早いが、もう既に何人か集まってきていることが分かった。

若い女の子、チャラそうな男、体格のいい女性、くたびれた風の男性、優しそうなご老人。1人足りないのは遅刻だろうか?

全員それぞれちらりと近くの人を見たりはするが、誰も話しかけようとはしない。

しばらく気まずい空気を味わっていると、天井付近のスピーカーから女性らしい声が聞こえた。

「こんにちは、案内人の”ヘリオ”と言います。小型カメラとマイクを通してそちらの映像と音声は聞こえていますので、お気軽にお声掛けください。」


「ふーん……ヘリオ!」

そう声をかけたのは、体格のいい女性。

「はい、どうかいたしましたか?」

「いや……あのさ、1人足んない気がすんだけど……もしかして、アタシだけ見えてなかったりする?」

彼女なりのユーモアらしいジョークはスルーしたが、質問の内容は確かに俺も気になっていたところだった。

「それはこちらではわかりかねま……」

「すいませーん!遅っ、遅れました〜!」

ヘリオのセリフに被せるように、太い、間延びした声が聞こえた。どうやらその声の主が件の7人目らしい。

「迷いまして……!ま、まだ、始まってませんよね!?」

部屋に入ってきたのはメガネの男性。汗を拭き、息を整えている。

「はい。これから開始です。それでは、説明を致します……」


「いま、どういう状況か、簡単に教えてくれませんか?」

時間に間に合わなかったため、知らない情報がある可能性を考えたのか不安そうに小声でこちらに質問してくる。

「ああ……えっと。スピーカーの声の主がヘリオ。呼べば答えてくれるらしい。今のところ説明はこれくらいしかされていないので大丈夫だと思いますよ。」

「よかった……。サンガツ。」


どうやら、彼なりに納得してくれたようだ。ヘリオの説明が始まる。


「皆さんには、初めに役割を決めてもらい、それからコードネームをつけてから、自己紹介をしてもらいます。このフェイズが長引くと、終了時間が変わってしまう可能性があるのでご注意ください。それでは、役割の説明をいたします──」


「ひとつめは、仮面の戦士。富も、名声も求めず、ただ、正義のために戦う。そんな戦士です。「ふたつめは、仮面の戦士の相棒。仮面の戦士は正義に真っ直ぐ向かいすぎるせいで騙されたりすることもあるでしょう。そんな戦士のサポートをする。まさに相棒です。「仮面の戦士とその相棒は、基本的にバディを組んで行動することになるでしょう。「みっつめはレッド。チームの指揮官です。やはり、正義の心を持っているでしょう。「よっつめはブルー。チームの頭脳担当です。敵の分析や作戦の確認などしてチームを支えるでしょう。「いつつめはイエロー。チームのエンジニアです。武器やロボなど、機械方面でチームを支えるでしょう。「むっつめはグリーン。チームの攻撃担当です。前線を押し進めて敵を倒し、チームを支えるでしょう。「ななつめはピンク。チームの回復担当です。仲間が傷ついた時、回復してあげることでチームを支えるでしょう。「レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンクの5人はチームとして行動を共にすることになるでしょう。」

「以上がチームの内訳です。なにか質問はございますか?」


「……いや。とくには。」

誰も答えようとしなかったため、沈黙を打ち破り答える。

「それでは、役割の決定をお願いします。なにか質問がございましたら、またお呼びください。」

プツン、と音がした。きっとヘリオ側がマイクを切ったのだろう。

「あー、それじゃあ決めたいと思うんですが、どなたか希望がある方、いますか?」

きっとこの空気では誰も動かない。仕方が無いので俺が進めることにする。

「あの。」

そう言って挙手したのは先程の体格のいい女性。

「ピンク、いいです?」

「じゃあ、他にピンクやりたい人は……」

そう問いかけ辺りを見渡すと、皆なんとなくOKの雰囲気を出している気がする。本当にこんな感じでチーム戦ができるのか。心配だ。

「じゃあ!アタシピンク貰いますね〜!」

「はい。それじゃあ他には……」

そう聞くと、くたびれた風の男性がレッド、メガネの男性がイエロー、ご老人がグリーンと答えた。

「被っていないのでこれで決定で……。」


残っているのは仮面の戦士、仮面の戦士の相棒、そしてブルーだ。

とりあえず、近くにいた若い女の子に聞いてみる。

「きみ、どうする?どれがいいとかある?」

「あ……じゃあ、私ブルーでいいですか……?」

「うん。わかったよ。」

残ったふたつが決めづらい。まだ決まっていないチャラそうな男に聞くと、「え〜?どっちでもいいッスよ!あでも、おにいさん戦士の方が似合うんじゃね?ならオレ相棒で!」

……とこんな調子で一方的に決まってしまった。まあ、ぶっちゃけ俺もなんでもよかったから別にいいのだが。


「役割が決まったようですね。それでは、コードネームの登録に移ります。奥に部屋が7つあるので、役割順に左から入るようにしてください。また、コードネームの登録が終わったら今いる部屋に戻るようにしてください。では、お願いします。」


そうヘリオのアナウンスが流れたので、みな各々部屋へ向かう。俺も1番左の部屋へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ