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バトル・オブ・ブリタニア

……………………


 ──バトル・オブ・ブリタニア



 共和国陸軍と帝国陸軍が激しい戦闘を繰り広げてる中、これまでは東方での作戦支援に当たっていた戦略爆撃機部隊は旧ガリア王国領大陸海峡南部に集結した。


「諸君。これより諸君は歴史を変える戦いに挑戦することになる。諸君はかつての共和国の先人たちが成し得なかったことを果たすのだ。すなわち──」


 空軍のブルモフスキ元帥が戦略爆撃機部隊の将兵たちに告げる。


「ブリタニア連合王国の征服である。共和国空軍として、敵の航空戦力に大打撃を与える。それがブリタニア連合王国征服の第一歩となるであろう。我々はかの国への上陸作戦のさきがけとなるのだ!」


 戦略爆撃機部隊の士気は高かった。


 これまでは陸軍のために限られた目標を爆撃するか、海軍のために機雷を散布するかのいずれかだった。


 だが、ここにきて空軍の、空軍による、空軍のための戦いが始まるのだ。


「共和国空軍の底力を見せてやるのだ、諸君。敵の航空基地を破壊しきった暁には、連合王国は屈服するであろう」


 ブルモフスキ元帥はそう言って、戦略爆撃機部隊の将兵を鼓舞した。


 そして、史上最大の航空戦と呼ばれるバトル・オブ・ブリタニアが始まった。


 共和国空軍は戦略爆撃機部隊を中核に護衛戦闘機を随伴させ、連合王国の空軍基地爆撃に向かった。


 連合王国空軍の戦闘機部隊はレーダーの索敵情報を基に迎撃に上がってくる。


 航続距離が長く、防弾性能にも優れた共和国空軍の戦闘機を相手に連合王国の戦闘機は苦戦を強いられる。


 元々戦略空軍を目指していた共和国空軍なだけあって、この作戦はまさに自分たちに与えられるべき仕事だった。


 共和国空軍の戦略爆撃機部隊は空軍基地を高空から水平爆撃し、敵の航空基地に打撃を与える。


 だが、共和国空軍も無傷とは言えず、貴重な戦略爆撃機が撃墜され、護衛戦闘機が撃墜される。


 連合王国空軍の抵抗は粘り強く、そして強固だった。


 高射砲が火を噴き、戦闘機が共和国空軍の護衛戦闘機と格闘戦を繰り広げ、そして連合王国空軍も反撃に転じる。


 連合王国空軍も戦略空軍を目指しており、共和国の首都ハーフェル=ブランデンブルク首都州を爆撃可能な戦略爆撃機があったのだ。


 連合王国空軍は共和国の首都ハーフェル=ブランデンブルク首都州を爆撃した。


 夜間に行われたこの爆撃で、共和国の首都は初めて敵の脅威に晒される。


「フロイライン。お気をつけて。不発弾などがありますから」


「ええ」


 ガブリエラは首都が爆撃を受けたとの知らせを受けて、大急ぎで実家に戻っていた。


「お父様、お母様! みんな無事!?」


「ああ。ガブリエラ。お前こそ無事だったかい?」


 幸い実家は爆撃を受けておらず、家族は全員無事だった。


「すぐに疎開して。連合王国の夜間爆撃が続くと思うから。領地のお屋敷に戻れば大丈夫。そこなら安全だから」


「お前はどうするんだ、ガブリエラ?」


「私は……軍務があるから」


「しかし……」


 ガブリエラの父アルブレヒトは何が言いたげだった。


「私は共和国と全ての人民のためにと誓った身だから。陸軍省での仕事も残っている。大丈夫。陸軍省には高射砲が据え付けてあるから」


「……気を付けるのだぞ?」


「ええ。お父様たちも」


 ガブリエラは愛しいアウグストとアンドレアにお別れをし、駅から列車で疎開する家族を見送った。


 ガブリエラは涙を堪えて、陸軍省に戻る。


「空軍が夜間迎撃戦闘に必死になっている」


 ミヒャエルは参謀本部の執務室でそう言った。


「こちらにもレーダーはあるが、正直夜間戦闘となると迎撃は恐ろしく困難だ。暫くは爆弾の降る日々を過ごさなければなるまい」


「大丈夫なんですか?」


「大丈夫、とは言えんな。とてもではないが。空軍には報復にロンディニウムを爆撃するべきだと主張するものたちもいるが、今はブルモフスキ元帥閣下が押さえている。だが、一度攻撃目標を航空基地から都市に移せば泥沼だ」


 今はひたすら空軍頼りだとミヒャエルはぼやく。


「幸いなのは敵の戦闘機は爆撃機についていけないということだ。こちらの戦略爆撃機部隊には護衛戦闘機が付くが、向こうの戦略爆撃機は護衛戦闘機抜きで戦うことになる。空軍にとってはそれだけが幸運だ」


 ミヒャエルとそんな会話をした夜も連合王国空軍はハーフェル=ブランデンブルク首都州を爆撃した。


 夜間の狙いの定まっていない無差別爆撃。


 民間人の死傷者を救出するのに陸軍の予備役部隊が奮闘し、大口径高射砲は夜中にけたたましい轟音を響かせる。


 最初は眠れなかったガブリエラだったが、やがて慣れてきて、安全な陸軍省の地下室で眠るようになっていた。


 人々は夜間無差別爆撃の恐怖から疎開するか、あるいは地下鉄のホームに避難するようになった。


『──我らが共和国は未曾有の危機にある。連合王国は市民を狙うという卑劣な行為を行っている。だが、我々共和国は無関係の市民を狙うような攻撃を断固として指示しない。我々の目標は軍事目標のみに限られている──』


 エアハルト大統領はこのハーフェル=ブランデンブルク首都州の爆撃の最中でも市民を鼓舞する演説を、ハーフェル=ブランデンブルク首都州のラジオ局から行っていた。


 この間にもバトル・オブ・ブリタニアは進み、共和国空軍はレーダー網の爆撃も行い、敵の索敵に穴を開けると同時に敵戦闘機部隊を地上撃破し、連合王国の航空優勢をじわじわと削り取りつつあった。


 だが、今は航空優勢が奪えたとしても、連合王国本土上陸作戦は行えない。


 未だに万全の状態にある連合王国海軍本国艦隊が睨みを利かせているのだ。


 共和国海軍の潜水艦が彼らの母港を奇襲し、戦艦1隻を撃沈したものの、それ以降は対潜哨戒が濃くなり、共和国からの攻撃は不可能であった。


 共和国北海艦隊は帝国海軍の母港を砲撃するという快挙を成し遂げたものの、それ以上の活躍はしていない。


 そんな中、西方への脱出に成功した共和国に合衆国が武器供与法を可決させ、戦略爆撃機と戦闘機を輸出し始めた。


 連合王国は中立違反だと合衆国を非難したが、合衆国は連合王国のハーフェル=ブランデンブルク首都州無差別爆撃こそ非人道的だと非難し返した。


 連合王国は合衆国から共和国に向かう輸送船を拿捕するなどして供与を妨害しようとしたが、合衆国は艦隊で護衛して船団を共和国に送り込んだ。


 合衆国からの支援を受けた共和国は戦略爆撃機部隊を増強し、ますます連合王国の空軍基地を爆撃し続ける。


 そんな中、合衆国の記者がハーフェル=ブランデンブルク首都州入りした。


 彼らは共和国陸軍の案内で破壊された都市の様子を撮影し、現地の悲痛な声を聞き、この連合王国によるハーフェル=ブランデンブルク首都州無差別爆撃を『史上もっとも悪質な戦争犯罪』だとして非難した。


 この記事もあって合衆国はますます共和国に接近し、石油やトラック、医薬品などの物資を共和国に供与していく。


 そして、ついに業を煮やした連合王国海軍潜水艦隊が合衆国から共和国に向かう輸送船団に警告を行った後雷撃し、輸送船を撃沈した。


 この際、艦隊の護衛についていた重巡洋艦が被雷し、沈没するということが起きる。


 合衆国の世論は一気に反連合王国に傾き、合衆国大統領は『これはもはや戦争行為である。連合王国が同様の攻撃を行った場合、合衆国は反撃する準備がある』と宣言した。


 しかし、連合王国としては合衆国による共和国への武器供与そのものが戦争行為であるとの認識だった。


 合衆国製の優れた戦略爆撃機と戦闘機が共和国に輸入されるのに、連合王国はじりじりと戦闘機パイロットと戦闘機を失っていき、航空優勢を失っているのだ。


 連合王国には死活問題のこの問題に対して連合王国は本気で共和国への武器供与阻止に動いた。


 すなわち連合王国海軍本国艦隊が動いたのである。


 連合王国海軍本国艦隊は戦艦キング・ジョージ5世を旗艦とした戦艦2隻と重巡洋艦4隻、補助艦12隻を含む艦隊で合衆国海軍の護衛艦隊の進路を塞いだ。


 どちらが先に発砲したのかについては未だに分かっていない。


 だが、合衆国海軍護衛艦隊重巡洋艦4隻と補助艦8隻と連合王国海軍本国艦隊の間で海戦が発生した。


……………………

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