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第7話

「この世界に来てからどれくらい経ちますか?俺は一年ちょっと」

「ワタシは三年以上ですネ。それがどうかしマシタ?」

「…いや、元の世界とこの世界、時間経過が合っていない。仮にですよ?君と俺が同じ日に死んだとして、こっちの世界で数年のズレがあるなら…」

「元の世界ではあまり時間が進んでいナイ!?」

「そうです、あくまで可能性の話でランダムな時間に飛ばされるのかもしれませんけどね。でも他にも転生者がいて、その人も同じ頃に亡くなってたら可能性は高くなる」

「じゃあモティはまだかわいいモティのままなんですネ!」

「え…?あ、まぁ、そうかもしれませんね」

「よかったデス!ますます早く帰りたくなりマシタ!!モティ待っててネ!!」


(弟のことをすごく大事に思ってるんだろうな)


「ワタシが元の世界に帰る頃、かわいいかわいいモティが誰かと結婚してたら離婚させようかと思ってマシタ」


(………ブラコン?)




 町に着いた二人。スギルは念のため【能力スキル把握】を使い、町の人の能力スキルを確認、再度ルナの能力スキルを確認してみる。


(やはり、彼女の能力スキルはわからない…能力スキルを持ってるのは間違いなさそうだけど…)


「ワタシの顔に何かついてマス?」

「あ、いえ、すみません」

「あまりに綺麗で見とれてました、くらい言わないと、イタリアではモテませんヨ」

「え!?いや、別にそういうわけじゃ…」

「日本の方ですよネ?」

「はい、そうですけど…」

「やっぱり。もう少し思ったことを言ってもいいと思うナ」


(なにやら勘違いされてるような…)


 そう思いながらも足を進め、目的の店の前についた。


「このお店でいいですか?」

「エッ、ホントに高いお店ですネ!」

「え?違うところにします?」

「大丈夫デス!冗談かと思ってマシタ」


(やっぱりワタシに気があるのカナ…)


 二人は豪勢な昼食を取りながら会話を続ける。


「そういえば、また死んじゃった、というようなことを言っていましたが、あれはどういう意味ですか?」

「??…この世界で死ぬのが二回目という意味ですヨ」

「えっ?」


 俺は【神聖魔法】で他者を蘇生できるが、自身には使えないだろう。それに蘇生には通常の魔石数十個程度では足りないほどの大量の魔素を必要とする。補助魔法すら使えなかった彼女がそれを持っていたとは思えない。俺の知らない生き返る能力スキルでも持ってるのか?


「…そんなにワタシのことが気になりマス?」

「いえいえ!」


(これ以上勘違いされると困る。この話はよそう)


「ワタシ…四人パーティでクローグマウンテンに挑戦したんデス。頂上にある光の柱が元の世界に戻る力を持ってたりしないかなと思って…。ワタシが皆を誘ったんデス」

「まぁ、確かに一方通行の方が不自然ですよね。元の世界に戻るなんらかの方法があるかもしれませんね」

「でも、急に現れた飛竜に仲間の一人がやられて…呆然としてたらワタシも死んでマシタ」

「それは災難でしたね」


 ルナは下を向いて大きなため息をついた。


「彼のことを思うとやりきれまセン…ワタシのせいデス…」

「違いますよ」

「エッ…?」

「冒険者が危険な目に合うのは当たり前です。しかも、誰も踏破したことのない最も危険な場所の一つですよね。彼も命を懸ける覚悟をして挑んだと思います」

「………。そうかもしれませんネ」


 俺は【神聖魔法】で他者を蘇生できるが、誰にでも使うわけではない。例えば、今話題に上がった彼を蘇生することは無いだろう。彼は俺にとって無関係だ。俺は彼のことを知らないし、悪人かどうかもわからない。そんな人をいちいち全部助けてたらキリがないし、自分のリスクも増える。魔素消費量を考えると、誰を蘇生するかの選択の問題も出てくる。行動には責任が伴うという摂理に全ての生物が従って生きている。それが自然だ。


「他の仲間…リアス達は無事だといいんですケド…」

「ギルドに行ってみたらどうですか?戻ってるかも知れませんよ」

「オー!そうですネ!ありがとうございマス!ごちそうさまデシタ!」


ルナは店を後にして急いでギルドに向かった。


(しまった…!能力スキルの口止めをしてない!そういえばレンタル屋の受付も頼んでない…。これを食べたら彼女を追うか…)


 気を遣って多めに注文したがルナが思ったより食べなかったため、彼の目の前にはまだ多くの料理が残されていた。しかし、食品ロス問題に対する意識が高い彼がこれらを残すはずがなかった。


(やるか…。【神聖魔法】と【闇魔法】を組み合わせた奥義………腹ペコ!!)


 スギルは空腹になり、勢いよく料理を食べ始めた。


「うまい!空腹は最高のスパイス!!」




 ギルドに着いたルナは仲間を探すが見あたらない。近くにいた知り合いの冒険者に聞いてみる。


「リアスとスノシュさんを見てないデス?」

「え?あんたら一緒に冒険に出たんじゃないのか?」

「そうなんだけど、はぐれてしまッテ…」

「クローグマウンテンで!?そりゃあ……あんた一人生きてただけでも幸運だと思うべきじゃないか?」

「…。わかりマシタ。ありがとうございマス」


(二人とも…私のせいで…。無謀だったのカナ…)


 椅子に座って落ち込み、自分の行動を激しく後悔するが過去には戻れない。


 …と、早とちりする彼女に、ギルドに戻ってきた二人が驚く。ルナも思わず立ち上がり、驚いた表情で二人を見る。


「えぇっ!!ルナ!?」

「リアス!それにスノシュさんも!よかったデス!」

「ルナちゃん!?バラバラになったはずじゃ…何で生きて…まさか……幽霊ゴースト……じゃないよね…?」

「ア、そういえば言ってなかったですネ」


「ワタシ、【転生】っていう能力スキルを持ってるんデス」

「【転生】?生き返る能力スキルってこと?」

「そうデス!」

「まさかの不死身…?幽霊ゴーストじゃなくて不死者アンデッド…。まっ、こんなかわいい不死者アンデッドなら大歓迎だけどね」

不死者アンデッドじゃないデス!死んでも生き返るんデス!…あれ?同じカナ?」


 ルナの言葉に二人は思わず笑う。


「まぁいいわ。生きててよかった。」

「本当に。ルナちゃんだけでも生きててよかった。ローブルのことは【気配察知】を過信した俺の責任だ」

「いえ、ワタシ達もスノシュさんの能力スキルに頼り切ってましたから…」

「その通りよ。彼のことは、彼も含めて全員の責任。彼の死は辛いけど、だからこそ彼の死を無駄にしないように今後に活かすのが一番大事だわ」


 後ろ向きに考えていたルナとスノシュは、リアスの正論に励まされ、頷いた。


「やっぱ、お前がリーダーだよ」

「リアスの言葉を聞くと力が湧いてきますネ!」

「買い被りよ、立ち話もなんだから座りましょう」


 三人は開いている席に腰を掛けた。


「それにしても…ルナちゃん、転生してかわいくなった?そういう能力スキルなの?」

「いいえ、スノシュさんの目が節穴なだけだと思いますヨ?」

「いや、冗談じゃなくて本当に…」


(少し若く見えるような…そう、初めて会った時くらいに…まさか…)


「…首の後ろの傷を見せてくれないか?」


(ルナちゃんは以前、魔物との戦いで首の後ろにケガをして傷跡が残ってたはず…)


「ン?どうしたんデス?」


 ルナが髪をかき上げ、スノシュが傷があるはずの場所を確認するとそこには何もなかった。


「ない…傷跡がないぞ!」

「ちょっと見せて!……本当だわ…完全に消えてる」

「エッ?どういうことデス?」

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