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第5話

ルナ・トーレ

挿絵(By みてみん)


スノシュ・ビークル

挿絵(By みてみん)


リアス・グレゴリー

挿絵(By みてみん)




「ルナ、ここが竜の棲む山、クローグマウンテンですか?」

「そうデス、ローブルさん。スノシュさんの能力スキルで竜に見つからないように進みまショウ!見つかったらきっとスノシュさんが囮になってくれマス!」

「ひどいなぁ、ルナちゃん。それと、スノシュでいいんだよ?」


 決め顔で見つめるスノシュをルナは笑顔で華麗にスルーする。


「あら。まぁいいや。人面鳥ハーピーもいるらしいな。現れたら得意の弓で迎撃頼むぜ、リアス」

「えぇ、皆まだ死にたくないわよね。心してかかりましょう」


「ハイ!目標は山頂にあると噂されている光の柱デス!ワタシ達なら必ず到達できマス!」


 植物がほとんど生えておらず、岩肌がむき出しになっている大きな山、多くの冒険者が帰らぬ人となった未開の地に、四人の冒険者が挑もうとしていた。


「うーん…これはこうするとして…うーん……」


 スギルは悩んでいた。


 能力スキルのレンタル屋を始めるにしても、俺が能力スキルを大量に持ってることは客に知られたくない。俺の能力スキルは戦争や外交に使えるものがたくさんある。平穏な暮らしから一気に各国に狙われる暮らしになってしまうのはごめんだ。


 誰か信用できる人が受付窓口になってくれればいいんだが…ワイズはせっかく新たな人生を踏み出したのに邪魔したくないし、俺の能力スキルを知ってて信用できて暇な人…いるわけないよな。


 しばらく悩んだスギルだったが、ついに全ての問題を解決する考えを閃いた。


 そうだ!【召喚魔法】を使えばいけるんじゃないか!?召喚対象に能力スキルレンタル屋の受付をするように命令すれば…口外される心配もないし、雇う必要もない。【召喚魔法】のことを知らないから多分だけど。


「そうと決まればさっそく…でも、この町の中で【召喚魔法】持ちの人は見たことないから隣の町を探してみるか」


 スギルは【光魔法】の光学迷彩ステルスで姿を隠し、【重力魔法】で自身の体を軽くした。そして【風魔法】で空を飛びながら【召喚魔法】持ちを探した。隣町や道中で見かけた人、魔物等に片っ端から【能力スキル把握】を発動し、確認するがなかなか見つからない。


「そんな簡単に見つからないか…。そもそも【召喚魔法】が存在するのかどうかすら知らないしなー。昼飯の時間だし、一旦帰るか」


「待て…!」


 スノシュは小声だがはっきりとパーティ全員に聞こえるように言った。【気配察知】能力スキルで何らかの気配を感じ取ったようだ。


・【気配察知】

見聞きするよりも早く、生物の気配を察知できる


「岩陰に大きな気配を感じる。竜かもしれない…」

「スノシュ、慎重に様子を見てきて。私達は周囲を警戒しながら待機してるわ」

「わかった」


 スノシュは音を立てない様に慎重に近づき、大きな岩に背中をつけて岩陰を覗くと、開けた空間に巨大な竜が眠っていた。


(!!…こいつがこの山に棲む竜か!?なんて大きさだ…)


 スノシュが隠れている大きな岩が、まるでその竜の卵かと錯覚させるほどの大きさだった。スノシュは静かにパーティの元へ戻り、報告する。


「竜だ…それもバカでかいやつだ。戦闘は絶対にあり得ない。気付かれないように進むぞ」

「まずは自分が行きます。自分が向こう側の岩に着いたら三人で来てください」


 重戦士ローブルは分厚い鉄の鎧を身に着けていて一番音を隠しにくい。そして一番防御力が高い。身を呈して作戦を申し出た。


「いいかも知れない…気付かれたらすぐ戻って。魔法でサポートするわ」


 弓士リアスは【減速魔法】を覚えており、敵の動きを鈍くすることができる。


「竜の寝息の方が音が大きいデス。きっと大丈夫ですヨ!」


 魔術師ルナの言葉にローブルは笑顔で頷き、静かに歩き出した。


 慎重に歩き、気付かれずに竜の前を通過していたローブルの動きが急に止まる。


「ローブルさん、どうしたんでショウ」

「まさか…気付かれたんじゃないわよね?」

「いや、起きた気配はないかと…」


 心配する三人が見た彼の身体は鉄の鎧ごと輪切りのように切断され、音を立てて崩れ落ちた。


 ドオォォン!


 その死体の上に飛竜が勢いよく着地し、ルナ達を睨みつける。


「イヤァァァァ!!」

「逃げろおぉぉ!!!山を下りるぞ!!」


 スノシュは素早く飛竜から距離を取る。


「ちっ!新手かっ!減速魔法(スロウ)!!」 


 リアスは急に現れた飛竜に【減速魔法】をかけ、急いで山を下りる。スノシュは最後尾を引き受けようとしたがすぐに気付いた。ルナがいない。


「ルナちゃん!!何してるんだよぉ!!!」

「グオオオォォォ!!」


 恐怖で動けないルナに飛竜が吠える。その音で眠っていた巨大な竜が目を覚まし、顔を上げて飛竜を睨む。 


「グルルルル…」


 起きた!ルナのもとに走りながらも、その声が聞こえたスノシュは僅かな可能性に期待した。巨大な竜がこの飛竜を撃退してくれれば…!


 しかし、不快そうに唸り声をあげるだけでそっぽを向いて再び寝てしまう巨大な竜。スノシュはルナに近づき、腕を引っ張って強引に連れて行こうとする。


「死にたいのか!?早く!!!」


 スノシュが引っ張ったルナの体は想像以上に軽かった。


 いや、違う…!


 違和感を感じたスノシュが振り向くと彼女の腕が取れていた。彼女もローブル同様…しかし彼女の身体は縦に、飛竜の【風魔法】で切断されていた。


「ちくしょおおお!!」


 腕を捨て、急いで下りるスノシュは時折振り向きながら飛竜の動きを確認した。


(追ってこない!?なぜだ?…いや、それよりなぜ俺の【気配察知】で気付けなかったんだ!?二人も死なせちまった…!)


「…ちくしょお!!」


その様子を見たリアスが声をかける。


「自分を責めないで!あの飛竜はおそらく…【隠密】能力スキル持ちよ…!」


 ※【隠密】音や気配を完全に消して行動することができる




 スギルは【召喚魔法】持ちを見つけるのを一旦諦めて帰る途中、自身がこの世界に転生した平野を通った。


「懐かしいな。能力スキルがなかったら今頃生きていないかもな」


 感慨深く見ていたその場所の空間が突然歪みだした。


「なんだ…!?…まさか!」

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