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一話 いじめられっ子とクソぼっち

ぼっちといじめられっ子。

高校生活の中で、誰しも一度はそういう人種を見たことがあると思う。そして、このクラスにはそのどちらもが存在している。

何を隠そう、僕こそがそのぼっち。高校生になり気づけば一人も友達ができず、そのまま一年が経過して2年生になった。休み時間は寝たふりとソシャゲでやりすごし、弁当は人のいない校舎裏かトイレで食べる。しかし、別にそんな生活を苦だとは思っていない。

そして、今まさに僕が寝たふりをしている目の前で肩を殴られているのがこのクラスのいじめられっ子。確か高木君だったと思う。よく殴られ、金をせびられ、何か発言すればくすくすと笑われている。見ていて到底気分の良いものでもない。

しかし、そんないじめの一幕を遮るように一人の女の子が言葉を発した。


「ねえやめなよ!」


「は?天城は関係ねーだろ!」


天城さん。下の名前は知らないが、勉強ができ、顔も良く、友達も多い。そんな絵に描いたような学園のマドンナが、まさかこんな正義感まであるとは。完璧超人じゃないか。


「関係あるよ!滝沢君はクラスメイトだもん!」


「あ、天城さん…。」


こいつ滝沢って言うのか、「た」しか合ってなかった。ともかく、彼女が割って入ったことで男たちも興醒めといった感じでどこかに消えた。


「滝沢君大丈夫?」


「う、うん。ありがとう。」


「ううん、私だって今まで見て見ぬ振りで何もしてなかったんだから同罪だよ。ごめんね。」


「う、ううん!そんなこと、ないよ!本当に、ありがとう…。」



そんな出来事があってから一週間ほど経ち、滝沢君へのいじめはほぼなくなっているように見えた。

恐るべき天城さんの力。確かに、クラスどころか学校全体で人気者な彼女が行動したとあれば、それなりに状況が変わるのも頷ける。

とはいえ、ぼっちの僕には何の関係もないわけで。強いて言うならいじめの矛先が向かないことをただ祈ることしかできない。


「さてと…。」


学校から帰宅すれば遂に僕の時間がやってくる。ゲーム、アニメ、そしてインターネット。これがある限り僕は永遠に一人でいい。今日も今日とてネット掲示板の巡回をする。



【朗報】クラスメイトと両想いかもしれない(≧∀≦)



何だこのスレ、ネット初心者か?こんな場所でこんなスレ建てて何の意味があるって言うんだ。とは言うものの結構勢いのあるスレのようで、思わず覗いてしまう。



20:ナナシ

>>15

で、そのA子とはどんな感じなの?


22:ナナシ

>>20

いじめられてたぼくを助けてくれたし、授業中とかもよく目が合うよ!


23:ナナシ

>>22

よwくw目wがw合wうw



「ん!?…いや、まさかな。」


あまりにもタイムリーで一瞬まさかと思ってしまったが、流石にそんなわけはないだろう。とりあえず、脳みそお花畑な童貞の勘違いを加速させようと言うスレの流れに乗って、僕もちょこちょこ書き込み始めた。



205:ナナシ

やっぱA子の気持ちを確かめたいんだけど、どうアプローチしたらいいかな?


206:ナナシ

>>205

そらもうデートのお誘いよ

善は急げ、明日の放課後マック行けマック。


207:ナナシ

>>206

わかった誘ってみる!



「ハハ、こいつアホだ…。」


朝早く登校して黒板に好きですって書いとけとか、勝手にA子の隣に座れとかアホみたいなアドバイスと、それを真面目に検討するお花畑童貞を見て満足した僕はひとまず眠りについた。

そして翌日、いつも通り寝たふりとソシャゲで一日が終わった。やはり、流石に昨日のスレが滝沢君のわけないよな、そんなことを思いつつ帰宅しようとした瞬間。


「あ、あの天城さん!」


「ん、どうしたの滝沢君?」


「これから、一緒にマック行かない?」


「え?」


「ふぇっ!?!?」


これまでクラスで一言も声を発したことのないぼっちの僕が、人生史上最も大きな声を上げながら、とんでもない勢いで立ち上がってしまった。


まさか、マジなのか?



続く

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