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7.自己紹介に必要なモノ



「うう……汚されちゃった……」


 月も無い満天の星空の下。

 水辺の草地に、腹這いに身を投げ出して。

 川に入って以降ずっと沈黙を続けてきたドラゴンの、ようやく発したセリフがそれだった。

 マジ泣きが入ってる。

 俺はドラゴンの投げ出された後ろ足に腰を掛けて、びしょ濡れの服を絞りながら答えた。


「人聞きの悪いこと言うなっての。入る前よりよっぽどきれいになってるだろ!」


 まったく、川の中ではずっと無視してくれやがったくせに。



 ――お前の体ってやたら軽いよね。岩抱いた上で気をつけて泳がないと、浮き上がりそうなんだけど。空飛ぶ種族だからかね?

 むっつり。


 ――あそこの遠くに見える山火事って、俺らが出てきた穴の辺りだよね。つまり、そろそろこの盆地から出られるんだろ?

 むっつり。


 ――なあ、あれって吊り橋だよな、もしかしなくてもこの辺りはもう人間の領域なんだよな?

 むっつり。


 ――橋も何個か越えたし、もう夜だし、いいかげんアイツの探知範囲から出たんじゃないの?

 むっつり。


 ――だんだん体温がヤバい事になってきたんだけど。そろそろ上陸して休憩してもいいよな? お前も上がって休憩したいだろ。な?

 むっつり。


 ――「おい、黙って岸に放り出すのやめろよ! 触手ちぎれ抜けたぞ!?」

 むっつり。ぶすり。

 ――お前、今刺す時わざと痛くした(痛覚神経撫で回した)よな!? わざとだよな!?


 こうやって思い返してみても、俺ばかりが話しかけていた気がする。

 ていうか、無我の境地のまま何も思考せずに、ただただ純粋に感情だけで怒っているってのも、なんか凄い気もするが。


「……べつに無視してたわけじゃないぞ。ちゃんと聞いてたからここに上がったんだぞ。だから早く火をおこせ。寒い」

「はあ? 火を熾せって……どうやってだよ?」


 岸に打ち上げられたクジラよろしく、ぴくりとも動かず、伝えたい事だけ伝えると、またむっつりと黙り込むドラゴン。

 つまり焚き木を集めてこいってかい。俺一人で。


 空には月もない、街灯なんてモチロンあるわけもない。

 周囲を見渡しても、判別できるのは星が見えないところが森なんだろうって事くらいだ。

 ぶっちゃけ先刻までいた洞窟の中と、光景的にはあまり変わってない。

 そういやこの巨体も今はまったく光ってないな。星明かりを背に、闇夜にうっすらと輪郭が見えるだけの、ただのシルエットでしかない。


「ムチャ言うなよ。その巨体を暖める量の焚き木なんて、集める前に朝になるわ。せめて人間になってくれよ。ここならもう変身しても見つからないんだろ?」

「おまえこそ無茶を言うな。人界結界が近いから精霊が希薄なのは、おまえだって分かってるでしょ! せめて陽光がないと術式起動なんてできないの!」

「いや、知らんし……ともかく、それなら全身を暖めるのは、あきらめなさい」

「なんでだ、そこにある物を燃やせばいいだけでしょ!」

「そこ?」


 ドラゴンの首の動きに促されて、俺も首をめぐらせる。

 少し離れた場所、星明りに仄かに浮かび上がる草原と、うっそうと闇に塗り潰された森の境目に。

 どう見ても誰も住んでいない――いや、逆に何かが棲んで(・・・)いそうな――崩れかけの木造の小屋がひとつ。

 打ち捨てられた狩小屋のようなものだろうか。


「……まてまて、まさかあの廃屋を燃やせって?」

「あれを見つけたから、水から上がったんだぞ」

「たしかにアレなら、すごい勢いで燃えてくれそうだけどさあ……」


 もしかしたら近所に持ち主が住んでるかも知れない。

 それでなくともこれだけの物が燃えたら、誰かに気付かれるんじゃないだろうか。

 ていうかそもそもこれ、放火の強要だよな!?


 だいたい場所がマズいだろう。空き地の端っこなんて、空から丸見えだ。短時間ならともかく一晩中なんて、あの赤いアイツに見つかる危険だってある。


「人界で火を熾して暖を取る同族が存在するだろうと考える“------”なんて居るもんか。精霊を使役するよりよっぽど安全だぞ」


 ぶふーっと鼻息を漏らすドラゴン。


「もしかしてこれが悪魔の冗談というものか? おもしろい、評価する」

「……言いだしっぺはお前だろ? つまりそれ、お前自身がおもしろい冗談だって事になるんだけ……ど……」


 言った瞬間、すさまじい殺気が俺を貫いた。

 ……いやあの、目つきが尋常じゃないんですけど。


「はやくしないと、か む ぞ ?」

「いやいや、ちょっと待て。さっきから言ってるけど俺は魔法もブレスも使えないんだよ。お前が来てくれないと火を点けられないからね!?」

「んもぅ! わたしの身体を好き勝手にする以外は、なんにもしない気なのか!?」

「んなこと言われても、出来ない事は出来ないから! 延焼しないよう周囲の可燃物を除けたりはするよ、それで十分だろ! っつか人を変態みたく言うな!」





 朽ち果てきっていた小屋は、ドラゴンの一息で簡単に燃え上がった。

 さすがはドラゴンブレスか。

 っつうかブラックドラゴンなのに火も吐けるのな。ま、色々吐けるらしいけど。


 焚き火というにはオーバーすぎる炎の圧倒的な暖かさに、ようやく人心地つく。


 ふと見ると、ドラゴンは火から少し離れたところで相変わらずぐってりしていた。

 その巨体に寄りかかって、腹をなでてやる。


 腹側の白い鱗は、爬虫類のように皮膚が変化したタイプの鱗らしく、割と柔軟で、背中を預けるにはちょうどいい弾力だった。

 背中の方の鱗はスケイル構造の――いわゆる魚鱗のような――硬質の鱗が折り重なっており、もちろん冷たさと硬さと滑りやすさを兼ね備えている。

 川を流されている時には、つるつる滑る背中の鱗に難渋しながら、必死にたてがみにしがみ付いてるしかなかったからな。


 そういえば魚鱗構造って、文字通りに魚しか持たない構造なんだぞって、中学校の理科の時間に先生が雑談で言ってたけど、もしかしてこいつら魚なのか?

 いやまあそれを言ったら、前後四肢に一対の羽の時点で“六肢って虫かよ”というツッコミを避けられない訳ではあるが。

 いや、虫は羽根が二対あるから、全部で十肢か。ふむ、虫ってタコだったんだな……。


 ……うん、疲れてる時に考え事をするのは止めておこうかな。思考がロクな方向に流れない。

 それに、俺よりもこいつの方がよっぽど色々な意味で疲れているはずだもんな。


「よしよし、今日はよく頑張ったよ」

「……」

「ん、まだ拗ねてるのか? 二人ともちゃんと逃げられたんだし、そろそろ水に連れ込んだ事は許してくれてもよくない?」

「別に……怒って……ないもん……」


 ……もん? あ、これ半分寝てるな。

 やっぱりそろそろ限界か。


 ここは最低限の確認だけで済ませて、後は明日にしよう。

 まあ、せっかく人間の領域まで来たんだし、入る入らないはともかく、少なくとも町までは下りてみたい。あとは全部行き当たりばったりで行くしかないけど。


「それでな、夜が明けたら人間の街に行こうと思うんだけど……」


 そこまで言いかけて、俺は――俺たちは――わりと重要な情報を交換し忘れていることに気づいた。


「……そういえば、色々ありすぎてお互いに自己紹介すらしてなかったよな。お前、なんて名前なの?」

「なまえ? ……って、個体識別のための呼称だっけ? 我々“------”には必要ないぞ。赤いアイツとか、二つ頭とか、地を這う黄色いのとかで十分だし」


 あー、そんな感じの種族なのねこいつら。

 要するに、個体数が少ない上に、形状差異が大きく、相互の接触も希薄、と。


「……ってか、個体間の形状差異がそれほど著しくない人間としては、町で必要になる可能性があるんで、名前を決めたいんだけど」

「なんでそんなとこに行くんだ?」


 俺の言葉が予想外だったのか、目を覚ましてしまった気配。

 背中にドラゴンの筋肉がうごめく気配が感じられると、頬に鼻息がかかってきた。


「地図や食料が欲しいんだよ。とりあえずの目的地は、俺たちが逃げてきた盆地向こうの崖の上の、さらに奥なんだろ? アイツに見つからないように行くには、人間に変身して地上を歩いて回り込むしかないだろ」

「それでなんで名前が必要なんだ? わたしたちはもう、お互いをおまえ(・・・)と呼び合う関係なんだぞ。他の呼び方なんて必要ないでしょ」

「俺たち二人の関係の話じゃなくってさ……」


 もやもやと脳裏に情景を思い浮かべる。

 町の人ごみの中。もみくちゃにされて、いつの間にかお互いにはぐれてしまう。

 名前を持たない二人が、どうやって相手を見つける? やっぱり“お前”って呼んでみるしかないだろう。


 “お前”とは、基本的に目の前の相手に対する呼びかけだ。


「そうだぞ。“おまえ”とは、自分の一番近しい相手に、いつでも傍に一緒にいる相手にしか使わない尊称なんだぞ!」

 いきなり何の解説だよ? つか、その理屈はおかしい。

「おかしくないでしょ! “おまえ”は“わたくしはあなたのおんまえに”の“おまえ”だぞ?」

 えーそんな謙った意味なんてあるのかなあ? たしかに気安い相手にしか、“お前”なんて呼びかけたりしないけどさあ……。

「ほらみろ」


 んー、なんか勢いで押し切られてしまったような気がするが、これは異世界につき文化がちがーうって事なんだろうか。それとも、名前を持たないドラゴン独自の感覚なのか?

 それはともかくとして、話を戻そう。


 名前が無い場合、俺たちはお互いに“お前”と呼ぶしか相手を確認する方法が無いということになる。

「うん。でも個体識別は声でも匂いでもできるし、何の問題もないでしょ」

 うーん……。


 問題は、人間側がそれをできないって所なんだよなあ。


 人間はとっさに声で個人を識別なんてできない。近くで呼び声がかかれば、自分の事かと反応してしまう人が大半だろう。

 そんな人だかりの中で「おーい、お前ー!」なんて叫ぼうモンなら――。


 ――周囲の人たちが一斉に俺を見つめてくる情景で、脳裏が埋まった。


 怪訝そうな光を浮かべ、こちらを見つめる無数の瞳。そんな光景がリアルに思い描かれてきた。


 うん、これは無理無理無理。耐えられんわ。


 頭を振って顔を上げると。

 なぜかドラゴンも、目をつぶって激しく頭の軸を左右に――犬や猫が水を払うみたいに――振っていた。


「あれ、もしかしてお前、触手繋げなくても俺の思考を読めるの?」

「さっきからずっとしてたでしょ!」

「そういや、そうだったかな……?」

「同調したんだもん、触っていればこのくらいは通じるでしょ! ――それより、名前はやっぱり必要だ。なんかすっごいイヤな光景だった!」

「ああ、やっぱりお前もそうなんだね」


 同意してもらえたなら、嫌な思いをした甲斐があったってもんだ。

 ボッチ陰キャ同士、仲良くなれそうでよかったよかった。





 さて、それにしても名前なんてどうやって決めればいいんだろう。


 問題なのは、ただ決めれば何でもいいでは済まない所だ。この世界で呼ばれても違和感のない名前にしなきゃならない。

 つってもなあ、この世界のネーミングなんてまったく知らないんだよな。

 とりあえずこいつらの自称もこの世界の音だし、そこらへんから探ってみるかな。


「ええと、お前たちの種族名って、なんだっけ?」

「種族じゃないけど、我々は自らを“------”と呼んでるぞ」


 それがなんだ、という顔でドラゴンは、高周波を伴う甲高い“音価”を唱えた。

 うん、まったく聞き取れない。


「もっとゆっくりお願いします」

「“------”だ」


 今度は歌うような韻律(いんりつ)を伴って、う゛ぃらかぷらろらでぃなんたらかんたらと言っているように聞こえた。


「それ、どんな意味?」

「わかんない。おまえの言う“どらごん”は、どういう意味なんだ?」

「そういや俺も知らないな」


 ま、固有名詞なんてそんなモンか。


「……じゃあ、種族名の最初からとって、ヴィラでどうかな」

「ん、そう聞こえたんなら、それでいいぞ」


 反応が薄いな。あまりお気に召さなかっただろうか。

 安易すぎたのか、それとも「種族名ホモサピエンスだから、お前ホモな」みたいな感じだったのか――うん、ヒトの性癖勝手に決め付けられたら、俺だったらキレるまであるわ。

 まあ我ながらセンスのカケラもない名前だし、これはナシかな。


「ん、大丈夫だぞ? 評価する基準がないだけで、別にイヤなわけじゃないもん。だいたい、おまえこそなんて名前にするんだ? それを聞いてから決める」

「ああ、俺は 雲上 暁(くもがみ あきら)っていうんだ。暁って呼んでくれ、よろしくな」

「おまえはアキラにするのか? そうか、アキラ――か」


 名称未設定のドラゴンが、目を閉じて俺の名前をかみしめるように反芻する。

 自分の種族名を名乗った時と同じく、日本語とは違う発音で歌い上げてくれたその音は、キの子音と母音の間に小さくウが入っていた。


「アクゥィラとかアキュィラじゃなくって、あきら、な。車メーカーじゃないんだから、正しく発音してくれ」

「ふうん、悪魔語――じゃない? にっぽん語?――ではそう発音するんだな。わかった、“あきら”だな? ならばわたしも“ヴィラ”がいい」

「へ?」


 どういう心境の変化ですか、それは。


 いやそれよりも。

 声に出されて気付いたが、あきらとヴィラでは、語感が似すぎてないだろうか。妙な混乱の元になりかねない。

 これはやっぱり、変えた方がいいんじゃないだろうか。


「なんでだ? あきら――わたしと飛ぶに相応しい、良い呼び名だと思うぞ。変える必要なんてないぞ?」


 なぜかさっきまでと違って、まんざらでもなさそうな反応が返ってきた。

 ていうかこの流れ、もし名前を変えるとしたら俺の方だったのかね?


「だってわたしの存在に因んでいる名前なんだぞ、これがいい。この名前はもうわたしのものだぞ。わたしは“ヴィラ”だ。返さないぞ」

「お、おう。……そんなに気に入ったの?」

「当たり前でしょ!」


 ドラゴン改めヴィラが、ぐわっとむき出しにした牙を、目の前に近づけてくる。


「生まれて初めての、わたしだけのものだ。それに、おまえがくれたんだぞ!?」


 どういう理由で“ヴィラ()いい”が、“ヴィラ()いい”になったんだろう。

 俺の名前と音が似てたのが、逆によかったんだろうか。

 ドラゴンってのは、本当によくわからない。





 結局のところ、今宵はこれだけしか決められなかった。

 名前が決まるとすぐに、人外少女改め――ドラゴン改め――ヴィラが、ごわあああと大きく息を吐き出すと、目を(しばたた)かせて首を地面に落としてしまったからだ。


 そして巨体の呼吸音はすぐに静かになった。

 あっという間に寝入ってしまったようだ。さすが中身はただの幼児。


 俺はその様子を確認してから立ち上がり、小屋の離れに無造作に放置してあった薪を一抱えほど火に放り込んでから振り返った。

 完璧に寝ているようで、今の音にも全く動く様子もない。


 別に逃げるとかそういうつもりではなかったが、そのまま起こさないように足音を忍ばせながら静かに森へと向かう。

 焚き火の明かりから外れかけたところで、背後から声が追いかけてきた。


「……どこに行くんだ?」


 口調こそ詰問するようだったが、どう聞いてもかわいらしい声。ほんと、あの巨体からどうやってこんな声が出てくるのか。ある意味すごくふしぎ(SF)だ。

 ていうか、実はまだ寝てなかったんだな。


「ただのションベンだよ。川の水しこたま飲んだし、身体も冷えてたからな」


 振り向きもせずにそう返して、闇と明かりの境にある木の根元に立った。

 背後に視線を感じ続けながらジッパーを降ろす。

 誰かに見られながらの小用というのは落ち着かないが、これ以上夜の森に入るのはちょっと勘弁願いたいし、しょうがない。


「……なんだ、排泄だったのか。悪魔も排泄するんだな。……あれ? そういえばさっき、わたしの腕の中で……」

「今すぐにその記憶を消せ! でないと本っ気で森に逃げ込むからな!!」

「いきなりそんな無茶を言うなぁ……」


 そのまま、何か言いたそうな気配のまま、沈黙が訪れた。

 背後からはじっと静かに視線が注がれたままだ。


「そんで、なんなのよ? 何かあるなら言ってくれよ、落ち着かない」


 じれったくなって水を向けてやると、ヴィラは言いにくそうに言葉を濁しながら。


「……その、排泄に行くことはあまり明言しない方がいいぞ。排泄中はどうしても無防備になっちゃうから」

「おいまて、お前から聞いてきたんだよな?」


 まったく、まさに野生動物からの忠告だ。

 トイレ中は危険だから他言するなだなんて、人間サマには思いつきもしない発想だっつうの。


「だいたいだな、お前が見張ってたら、俺が無防備になるわけないだろ。……それともまさか、本当は俺がこのまま逃げるとでも思ったから監視してたとか?」

「え? ううん。……その、あんまり遠くに行かれたら嫌だなって……」

「それこそ、まさかだろ」


 ジッパーを引き上げつつ、目の前に広がる森に視線を上げる。

 月もない夜の漆黒の中、さらに深い暗闇に沈む空間。最初の洞窟の中と何の違いもないほどの真っ暗闇だ。一歩踏み込めば自分の手の先すら見えない。

 中になにが潜んでいるかなんて、知れたもんじゃない。

 ヘタをすると――いやヘタをしなくとも、この目の前に広がる暗闇は、先ほどまでヴィラと一緒に居たあの洞窟の暗闇よりも、ずっとずっと危険な黒なのだ。


「こんなところでお前とはぐれたら、日が昇る前にはナンかのエサになってる自信あるからな?」

「……だから、悪魔の“冗談”とやらは、我々“------”には理解できないんだってば」

「お前、人間の目の見えなさをナメすぎだから。なんなら触手繋げてみる?」


 川まで手を洗いに行こうか一瞬迷って、結局そのままヴィラの元に引き返した。

 明かりの元から完全に離れるのは、森の中に入っていくのと気分的にはさして変わらない。

 生乾きのズボンに手をこすり付けるだけで誤魔化し、元の位置に戻ると巨体によりかかった。


 徹夜明けの身体に今日一日の活動内容はキツ過ぎたようだ。

 ヴィラの腹を背もたれに、俺はすぐに意識を手放してしまった。




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