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11話 僕ら、村に招かれる

「ああっ、ありがとうございます……!」


 女性の一人が僕らに近付いてきた。

 僕にはリオスターを茂みから出ないように押しとどめるくらいしかできない。

 背の高い茂みは、ギリギリでリオスターのリオスターを隠している。


「ははッ! 礼には及ばないぞ!」


 慎め馬鹿! 恥じらいを持て!

 茂みの中で仁王立ちをしているリオスターは、腰に両手を当てたまま元気に答えた。


「私たちを助けるために、服まで捨てて……」


 んん?


「お二人して身を犠牲にするなんて……」


 んんん?


「ははッ! 困っている人を助けるのは人として当たり前だ。気にするな!」


 お前はもっと気にしろ。あと否定しろ。


「そんなっ、あのままではどうなっていたか分かりません。どうか、お礼をさせてください」

「い、いや、お礼なんて……」


 女性の視線が向いたから、僕はしどろもどろになってしまった。

 リオスターが全裸なのは昨日からだし、僕が転んだのは自業自得だ。

 なのにお礼なんてされたら、罪悪感で爆発してしまう。


「そうか! では一宿一飯と服をお願いしてもいいだろうか!?」

「はい! もちろんです!」


 図々しさ・非常識ランキングで総合一位でも狙ってんのかお前。

 即答した女性を見て、僕はこれでもかとげんなりした。


 別の女性が進み出て、赤面しながらリオスターにストールを差し出した。


「ありがとう! すまないな!」


 リオスターは元気いっぱいに答えてそれを受け取ると、やっと腰に巻いてくれた。

 いやお前、僕がやれって言った時は拒否したじゃんか。くそ。


「私たちの村はあちらにあります。少し歩きますが、よろしいですか?」

「ああ、問題ないぞ! 荷物を貸すんだ!」


 ガサガサと茂みから出たリオスターが、女性たちの荷物──集めた果実などが入った籠を持った。


「どうせ俺は手ぶらだからな! 手伝わせてくれ!」


 この期に及んで強奪かと思った。ちょっと反省。


 かくして僕らは、女性たちの村へと向かうことになった。

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