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悪業淫女《バッドカルマ・ビッチ》  作者: 稲村某(@inamurabow)
【第二部】第一章 ローレライ強襲騎兵隊編
61/124

⑥受けて断つ!!

ホント久々に更新いたします。

 


 ホーリィはチェリリアーニの召喚した砲口を前にして、僅かの間、考える。一瞬ではあったが、その時間は彼女にとって生死を別つ判断に必要だった。しかし……


 (……どーにかなるか? まー、ならなきゃ……死ぬだけか?)


 ……と、余り気にせず()()()()()()した。




 ホーリィは軽やかに着地し、砲口を睨みながら地を両足で踏み締める。そして鮮やかな緑色の波紋を輝かせながら【身体安定】を実行。手にした双頭剣を頭上に掲げながら指先を添えつつ切っ先を砲口へと向けた。

 端から見れば、その姿は雨粒から幅の細い剣のみで逃れようとしているかのようであり、チェリリアーニは込み上げる笑いを堪えられなかった。


 「……あははははは! 貴女はバカなんですかぁ!? これ、城壁すら容易く穿つ威力を秘めた弾頭を発射出来るんですよ? ……脳筋、此処に極まれりって、とこかしらぁ~♪」


 だが、彼女は冷徹に実行する。


 「……別に、構いませんよ? 死にたければご遠慮なさらずに……ッ!!」


 また、一人の女王様に歯向かう愚者を虚無の彼方に送る事が出来るのだ。そう考えてニヤリと笑いながら、チェリリアーニが差し上げた手を無情に振り下ろす。その瞬間、砲底から超音速まで一気に加速した(くろがね)の弾頭が、待ち構えるホーリィへと一気に迫る。





 ……極度の緊張感、そして自らの能力を最大限に駆使する万能感に満たされたホーリィの思考は細く、そして長く引き伸ばされていき、やがて極端に狭い視野を介して外界を眺めるまでに鋭敏化していく。彼女の周辺の全ては動きを無くして停止へと近付くが、そこで巨大な鐘のような轟音が頭の中に響く。それが自らの心音なのだと気付いたのは、一定のリズムを刻み規則正しく鳴り続けていたからである。


 そして、ホーリィの視界の端に金髪の娘が頭上に突き出した砲口の下、眼を瞑りながら口を開き、彫像のように身を強張らせながら何かを叫んでいた。


 (……良く見りゃあ、見た目麗し器量良し……あ~、こりゃ久々に叩き売り対象なんじゃねぇの!? よし、取っ捕まえてひん剥いて、ヒーコラ言わせてやっかぁ!!)



 ……相変わらず見た目とは大違いのゲスな皮算用の末、ホーリィは身構えて、その一瞬を待った。


           ……がきいいいいぃいん!!




 やがて激しく火花を散らしながら、剣の峰に接触した弾頭は……あろうことかそのまま刀身を滑走し、ホーリィを避けて上空高く煌めきながら消えていった……そして、周囲の動きが次第に早まり、(ようや)く時間の停止した世界から解放されていったのである。




✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳





 「はぁ? ……ッ、はああああぁーーっ!? 何ですかっ!! 何なんですか今のはっ!!」

 「……んだよ、うっさいなぁ……()()()()()()()()()()()()()()だろ? ガタガタ騒ぐんじゃねーっての……」


 まるでハエや蚊の類いを手で叩き落としたかのように軽く言うホーリィとは裏腹に、チェリリアーニには目の前で起きた事が信じられなかった。


 発射された弾頭は鋭く研ぎ澄まされた超硬質の先端部で、分厚い鉄板と更に厚みを持たせた衝緩材の木材を組み合わせた空中戦艦の装甲板すら突き破り、艦内に到達すれば炎王の御前もかくやの灼熱地獄へと変える、強力な焼夷術式魔導を発動させる構造なのだ。


 そんな危険な弾頭を、生身の人間が受け止めて凌ぎ、当たり前のように弾き飛ばしてしまったのだ。チェリリアーニの動揺は仕方無いだろう。



 「……おい、小娘! ボウガンだろうとバリスタだろうと、一度発射したら直ぐには射てないのが道理だろう? 大人しく捕まるなら、手荒な真似だけはしねぇけどよ?」

 「くぅ……長砲が駄目でも、他に手立てなんて幾らでも有りますッ!!」


 そう言いながらチェリリアーニが射出装置を新たに召喚しようと身構えるも……




 「遅いんだよな、お前ぇ」


 ホーリィの放つ牽制の軽い柄打ちが鳩尾(みぞおち)に入り、臓腑に響く鈍痛が思考を妨げる。チェリリアーニは今まで一度も経験した事の無い恐怖に鳥肌が立ち、先程までの威勢の良さは引き波のように霧散してしまう。


 「くはっ!? …こ、これしきのことで……」

 「打たれ弱いな……まぁいっか! ひっさびさに()()()()()()()()()()()() 歯ぁ食い縛れやッ!!」


 ホーリィの構えは背後に双頭剣を水平にし、軽く腰を屈める姿勢。そこから放たれる斬撃は、全てが不可避の猛打に等しく、情け容赦は無かった……。



 「……(みだ)れて垂れ流せッ!! 【催淫全開】ッ!!!」


 チェリリアーニの全身を薙ぐようにホーリィの剣の軌道が走り抜け、彼女は自らの身体がバラバラに分解されて……いない事に気付き、何が起きたのか全く理解出来なかった。


 振るわれた妙な剣で斬られた感触は確かに有った。だが、身体に異常は……


 (……な、何これ……傷口が光って……!?)


 見れば数十箇所に及ぶ傷痕が衣服のローブを貫くように全て光輝き、何かの作用を残しているのだとは判ったが……



 (……んくぅ!? ……か、身体の芯が火照る……ッ!!!)


 ぐらりと視界が揺れると同時に、チェリリアーニの身体に刻まれた傷が彼女の中核を激しく刺激し、声にならない悲鳴と共に……





 ……がくん、と膝から崩れたチェリリアーニは、数十回にも及ぶ絶頂を迎え、気を失った。





ここだけ書くのに3日かかった……どうしてこうなった? では、次回もお楽しみに!!

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