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悪業淫女《バッドカルマ・ビッチ》  作者: 稲村某(@inamurabow)
【第一部】第一章 チュートリアル編・戦い方を知ろう!
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②絶頂戦斗(エクスト・バトル)

勢いで書いたので、アイディアが消える前に《ながら》でも連投します。ネタが尽きたら……?



 下腹部を抱えながら、内股気味になって背を丸めるホーリィ。


 良く見れば黒くピッチリとした着衣の太腿付近を……()()()()()()()()()()いるようにも見受けられるのだが、今は其れ所ではない。


 ひくつく背中に忍び寄る敵兵の刃が、今振り下ろされようとした瞬間、バマツが羽ばたきながら彼女の真上で滞空し、真後ろへと落下したのだ。


 「があぁっ!? く、クソッ!!」

 「ホーリィさぁんッ!! ってうわぁっ!!」


 敵兵の頭を踏み台にしながら羽根の加護を失い、まともに踏み潰す形になりながら抜刀してホーリィの後ろで背中合わせの形になり、


 「……いつつ、毎回こんな着地してたら何時か骨折しちまうよ……」

 「……ば、バマツぅ……」


 双方とも降下による視界不良が無くなり、改めて仕切り直しとなる。そんな状況にホーリィはバマツの方へと身を捩りながら、



 「……このっ!! 役立たずッ!! ヒトがいーぃ感じで気持ち良くなってんのに!! 空気読めぇ~ッ!!」


 ……迷う事無く足を振り上げて、バマツの股間を蹴り上げたっ!!


 「くぅおおぉっ!? ……な、なんでぇ……」


 その瞬間……包囲していた敵兵から……呻きとも悲鳴ともつかない、そんな声が上がった。一瞬だけ、バマツと周囲の兵士が一つになった。


 「……不意打ちの金的はダメだろ!!」……と。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



 「さ~て!! それじゃ改めて……あれ? 何なのこの微妙な空気は?」


 凍り付く男達の様子に眼を点にしていたホーリィだったが、それは一時であり、即座に戦闘体勢へと移行し両手の【夫婦(めおと)剣】を握り締め、バマツの背中を踏み台にして敵兵へと跳躍し、


 「へっへぇ~! 続きしよっと♪ 先ずは~、君に決めたッ!!」


 足を抱えるように縮めたまま相手の胸部に飛び付くと、両足で蹴り飛ばすのと同時に、交差させて持っていた【フシダラ】と【フツツカ】を咄嗟に振り分けて、再度真後ろへと跳び退く。


 鎖骨の付け根を通り抜けた二本の剣は、相手の肩を深く切り裂き首の付け根から激しく血飛沫を飛ばした。


 「ひっ!? クソッ! 怯むな相手はたった一人の小娘だぞっ!!」


 やや後方に陣取っていた羽根付きの兜を被った騎士が、周囲の配下を鼓舞するのだが……それは火に油を注ぐような真似に過ぎない。何故ならば、今のホーリィは羊の……いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。


 「いやあぁ~んッ!! 美味しそうな頸動脈ぅ~♪ はむッ!!」

 「がっ!? き、貴様ぁ……がふっ!!」


 その場に居た誰もが眼を疑った。何故ならば、肩にも届かぬような華奢な女性が大人の男性を足場にして、弾丸の如く一直線に宙を飛んで目標の相手に激突し、


 ……ぶちぃっ!! めりめり……ぶつんっ!!


 開いた顎で容易く喉元を食い千切って、口から生首をぶら下げたのだから。


 「ぐおおぉお……おええぇっ!!」

 「ひっ!? ば、化け物だぁっ!!」


 戦慄しながら悲鳴を上げる周囲の兵士には目もくれず、ホーリィがくちゃり……と音を立てて口を開けると、血の糸を引きながら眼を見開いた生首が地面へと落下し、べちゃりと血溜まりへと沈んだ。


 「おえっ!! ぺっぺっ!! 不味いぃ~……よくもこんな鉄臭いモン飲めるよなぁ……アンティカってば好き嫌い絶対になさそーだぞ?」


 ホーリィは知り合いの【吸血種バンピール】の名前を口にしながら、袖口でゴシゴシと血に濡れた唇を拭うと、


 「アジィッ!! 遊んでねーで、さっさと行くよッ!!」

 「……誰が遊んどるかっ!! ……バマツを拾ってきたんだよっ!!」


 叫ぶホーリィの後方から、肩にぐったりとしたバマツを載せながら、手にした板剣を豪快に振り回し、のしのしと進んで来たアジが応える。


 「おめぇがキンタマ蹴り上げやがったから、コイツ伸びちまったじゃねーかよ!? そっちこそイヌッコロみてぇに噛み付いてんじゃねぇっての!」


 ガズンッ!! と、剣を真上に構えて防ごうとしていた兵士を無造作に叩き潰し、めりめり……と音を立てながら肉塊と化した相手から板剣を引き剥がして、


 「……それにしても、やり易いのはいいが……こう簡単にくたばる相手からじゃ……得られる【貢献度】もたかが知れてるわな?」

 「そーねーぇ……あらよっと! まぁ……確かに脆くて……面白くないッ!!」


 ホーリィはアジと喋りながら、真っ直ぐ突き込まれる剣に【フツツカ】を沿わせて頬ギリギリに弾いて退けつつ、眼前に迫った相手の眼球目掛けて【フシダラ】を突っ込んでグリッと回し、即座に引き抜いて絶命させる。


 《ホーリィ! 貢献度はまだ【12】だよ? やっぱり【渾名持ち】みたいな連中を相手にするか、《同業者》を見つけないとジリ貧じゃない?》

 「パム!! 急いで自軍の損害が高い地点を見つけてくんない? きっと、そこなら……()()()()()()()()と思うからさっ!!」

 《うん! ちょっと待ってね……あっ! 集結地点手前、すんごく濃い所があるっ!!》


 【剣の妖精】のパムは軽く返しながら、周辺に渦巻く人々の精神の乱れを感知し、自分達の居る場所から集結地点の場所に《濃密な意識の渦》を発見し、ホーリィへと伝えた。


 「おしっ!! アジ、悪りぃけどバマツを暫く持っててくんない? ワタシが先に立って露払いすっからさ!」

 「おめぇ!! 自分だけ美味い汁吸おうって腹積もりだろッ!! 汚ねぇぞッ!!」

 「あははっ♪ 悔しかったら捕まえてみろ~いっ!!」


 ホーリィは束ねた黒髪を靡かせながら嬉しそうに短く笑い、巨漢のアジに手を振りながら先を進み、鬼気迫る勢いで立ち塞がる相手を前蹴りで往なし、


 「邪魔くさいなぁ~! 悪いけど先を急いでるからどいてくんないかな?」


 まるで雑草を払うように肘先だけを振るい、兜と鎧の隙間へと【フシダラ】を差し込む。そして相手を乱暴に廻し蹴りで弾き飛ばし、新たな犠牲者を生み出しながら進んでいった。



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



 「……そんでさ! ワタシがぶん殴ったらさ、ソイツが何て言ったと思うぅ? 『べ、別に減るもんじゃないからいいじゃないか!』だってさ!! ……ていっ!!」

 「お前のケツ触る奴の神経なんぞ、判ってたまるかよ……おっ?」


 ホーリィが手にした兜を投げ捨てながら立ち止まると、その先に累々と横たわる自軍の兵士が視線に入り、アジは用心深くバマツを地面へと降ろした。


 「……いつまで寝てるんだよ!! 男だろうと女だろうと《マグロ》は嫌われるんだぞっ!? おりぁっ!!」

 「あがっ!? な、何なんだよ……あれ?……ここは……?」


 ……にも関わらず、ホーリィの容赦ない蹴りがバマツの臀部に炸裂し、意識を取り戻した彼がやっと目を覚ますと、そこは自陣近くの小高い丘の上、だったのだが……



 「……敵陣近くまでやって来れば、手練れの一人や二人位は相手出来ると思っていましたが……【混沌の手勢】にしては随分と上品な方々ばかりで……退屈してたところです……」


 額の上に大きな髪留めを付けたその女は、手にした()()()()()()()()()()、三人の前に立ち塞がったその女は……


 「貴女が【悪業淫女(バッドカルマ・ビッチ)】のホーリィ・エルメンタリア……ですね? 聞いた話では……その……()()()()()()()らしいそうで……うん、そう聞いていますが……?」


 長い金髪を一つに束ね、それをモジモジと指先で弄りながら、空いた三本の腕で自らの身体を抱き締めつつ……そして、やや頬を朱に染め、イヤンイヤン♪とでも言いたげに身をくねらせて……


             ……はむっ♪


 ……ッと、自らの小指を咬んだのである。そりゃ~もう、酷く悩ましげに……。



 


……【悪業淫女(バッドカルマ・ビッチ)】は、別に一人とは限らないのであった。


……まぁ、そん時はそん時。評価しても誰も「あらやだ変態よ!?」とか思ったりはしません。たぶん。

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