④エリの告白
VRゲームのリアリティって何なんでしょうかね。十八禁なら良く判るか? そう思って書いてみます、えぇ。
……私とホーリィは、ブリッジでローレライさんの声を伝える水晶球と向き合っている。
さっきまで居てくれたセルリィさんやアジさん達は、ローレライさんの願いでブリッジから先に出ていってた。だから……私の正体はローレライさん以外は気付いてないと思う。
……だからこそ、今着てる服は薄着のピッチリとしたタイツとブーツ、上も同じような長袖シャツに革のジャケットだったけど……質問されて心拍数が跳ね上がった瞬間、厚着じゃないのに一気に汗ばんだ気がするよ……
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【正直に仰有って頂きますよ? 貴女はホーリィの身体を使って何をしようとしているのですか?】
ローレライさんの声は、しっかりとしていて……まるで私の姿を見ながら話してるみたい。
「……ワタ……私は、堀井恵利……って言います……その、ホーリィの身体を借りて……この世界にお邪魔してます!! 済みませんでした!!」
どうせ、何を言っても誤魔化してるみたいにとられたら、それで終わりだから正直に言っておこう……
【……ホリイ……エリ?……ホーリィ……エル……メンタリア?……あら、そう言う事なの? フフフ……♪】
正直に伝えると、さっきまでの緊張感が嘘みたいに無くなって……明るく笑いかけてくれた……あぁ、よかった!!
【了解致しました……さて、それはともかく……貴女はホーリィの命を救ってくださいましたね? 彼女に代わってお礼申し上げますね。貴女が居なかったら……きっとあのまま、ホーリィは消滅していたかもしれません……】
「し、消滅……ですか?」
……そんな事……あるの? 確かに記憶(記録)が無くなってゼロに戻るけれど、存在が消滅するなんておかしい……けど、ゲームじゃないなら、おかしくはない……でも、消滅って……?
【そう、魂も肉体も消滅するの……我々の守護神・黒き復讐の女神と敵対している、法と秩序の番人を擁護する宗主国……そして彼等に与する者に倒されれば……】
肉体も消滅するなんてムチャクチャじゃないの!? 殺戮者モードってこう言う意味だったのかな……
【……そう、倒すと言えば、貴女達……いえ、この方が早いわね。パムさん? ホーリィの『貢献度』はどうなのかしら?】
《は~い♪ お久し振りです艦長代理!! ……ちょっと待ってくださいね……あ、結構貯まってるわよ? 6200あるわね~!》
うーん、それが多いのか少ないのかも判らないけど……ローレライさんが何故気にするんだろ?
【良い感じね……ホーリィ、貴女もそろそろ次の階級に上がれそうだけど……どうかしら?】
(え~っ? グランマぁ……面倒だから、ワタシは嫌なんだけどよぉ……)
うわっ!? ま、まさかのスキルアップ無視ですかぁ!? ホーリィってば……どんだけ天の邪鬼なのよ!!
【我が儘言うものでは有りませんよ? ホーリィ、貴女が強くなれば、それだけエリさんの負担も軽くなるし、何より更に強い相手にも挑めるって事ですよ?】
(そ、そうなのか? ……ヨシッ!! 判ったグランマ!! 何するか全然知らねぇけど、その階級ってのを上げてくれや!)
「……アンタねぇ……何でそこまで戦闘狂なのよ……」
(うっせぇ!! 今まで全然問題なかったから知らなくてよかったんだよ!)
ホーリィの言うことも一理有るかもしれないけど、私としては純粋に興味あるのよね……反則的な強さの彼女が更に強くなるって……催淫強化とかだと……素直に共感出来ないんだけど……!
【それじゃ、パルさん……申し訳有りませんが、少しだけ私を手伝って貰えませんか?】
《ハイ! 艦長代理、了解です!!》
そう言うとパルさんが水晶球の周りをクルクルと回り始め、やがて光の帯みたいになって……
(……おわっ!? 何だよコレ……ん、身体中がピリピリしてきたぞ……? ……ひっ!? ……ま、マジかよ……)
そのクルクルがホーリィの身体に被さると……んくっ!? た、確かに身体がピリピリして……いやその……わ、私まで同じように感じなくても……
《……艦長代理、終了致しました! ホーリィ、どんな感じ?》
(……お、終わりか? ……に、しては何も変わってねぇみたいだけど……なぁ、グランマ、何がどーなったん?)
【……取り敢えず、貴女の魔力限界値と……魔剣との親和性が上がったみたいね……階級の変化はないから、強襲班班長として頑張りなさい】
(ふーむ……それじゃ【フシダラ】と【フツツカ】が無ぇと判らんねぇってことか? たぶん武器庫に有る筈だから、行ってみるか……)
みんなはそんな感じにやり取りしてたけど、私から見ても何がどう変わったのか全然判らないや……と、言うよりも貢献度ってどうやって使われたのかなぁ……お金使うみたいに減るだけなの? そうじゃないなら魔力に変換されたりしてるのかなぁ……
【エリさん? 今すぐに確認出来ないかもしれないけれど……暫くすれば強襲降下が始まるわ。それまでにホーリィと一緒に準備しておくのよ?】
「は、ハイ! 判りました! ……さてと、それじゃホーリィ、早速武器庫に案内してもらえない?」
(いいぜ! ……っと言ってもすぐそこだけどな。ロッカールームにも用があるからサッサと済ませようぜ!!)
ホーリィは私にそう伝えると、自分で身体を操ってローレライさんに会釈すると扉を開けて歩き出したけど……ちょっと待って!!
「あ、あの……暫くお世話になりますが……宜しくお願いします!! それじゃ!!」
急いで振り向いて、挨拶を済ませてからブリッジを出て、ホーリィに案内してもらおっと……
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【……まだ、全部を知るのは早いわよね……ねぇ? お節介焼きさん?】
「…………♪」
ちなみにこのゲームの十八禁表示は、残酷描写と人への強制テイム、そして人身売買(クリシュナが売られかけた件)の三つが規約上の十八禁扱いと言う設定です。べ、別にやらしーゲームだったりはしないよっ!?