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第5話 「主と下僕」


 「迷宮内はともかく、教会や修道院では狼の姿になっていて貰いますわ。」

 「人狼の姿は威圧感があるので、しょうがないのです。」

 「うーん、勿体無いけど、それはしょうが無いね。その代り部屋では楽しませて貰うわよ?」


 それは見た目の話なのか肉欲の話なのかは、置いておいて、「わかった。」と一言だけ答えてルーは白梅の側に仕える。


 「なんで白梅に懐くのよ!花も恥じらうJKの若鮎のような若い肉体を楽しんだんだから僕に懐くのがスジじゃない?!」


 いや、もう少しというか、だいぶ花を見習って恥じらうべきだと思う。と、ルーは思った。

 あと言い回しが古いというかオタっぽい。


 「そうですわ!ワタクシのような高貴な身体には触れるだけでも恐れ多いというのに、もっと自分が恵まれた状態だということを自覚すべきですわ!」


 高貴な人の考えることは、わからねぇ。というか、人前であんなことをさせるお前の神経がわからねぇ。と、ルーは思った。


 「勇者様、姫様、そろそろ迷宮から戻らないと、司教様が心配されるのです。」

 「そ、そうね。ちょっと楽しみ過ぎましたわね。小言が長くなる前に帰りましょう。」

 「ファーリー、魔法陣を書き直して転移魔法の準備お願い。白梅はベッドの始末ね。」

 「しょうがないですわね。で、ユウキは何を?」

 「僕はもうちょっと、人狼を…」

 「駄目です。手伝いなさい。」


 しぶしぶと部屋の中の魔法陣を元の転移用の魔法陣に書き換える作業を手伝うユウキ。

 迷宮の隠し部屋であるこの部屋は、勇者達のキャンプ地としての他に転移用の魔法陣を使って地上とのショートカットする場所でもあるようだ。


 「幸いベットカバーの交換だけで良さそうだな。」

 「ルーは身体が大きので、畳むの上手なのですね。」

 人狼に戻ったルーが大きく手を広げながらベッドカバーを、白梅が体液まみれになったハンカチ状の布を籠に片付けている。


 「凄い匂いだ。これ、修道院に持ち込んだらマズイんじゃないか?」

 「一回洗ってから洗濯に出さないと怒られそうなのです。」



▽▽▽▽▽



 「なんで転移魔法が発動しないのよ!」

 「迷宮自体の魔力不足っぽいですわ。ちょっとルーガルーを呼ぶのに迷宮内の魔力を使いすぎたみたいですわね。」


 「ってことは、歩いて帰らなきゃならないわけ?」

 「そうなりますわね。」


 「勇者様は強いから大丈夫なのです。」

 「大丈夫だけど面倒なのよ!まぁ、しょうが無いわ。最短距離で戻りましょ。

 ルーガルーの強さも見てみたいし、ちょうどいいといえばちょうどいいわ。」


 血が登りやすいが、怒りを引きづらないのがユウキの良いところである。

 後悔はめっちゃ引きずってベッドでゴロゴロと転がりながら呻くタイプではあるのだが。


 「人狼の姿でいいのか?」

 「ええ、前衛をお願いするわ。」

 「わかった。やってみる。」

 「ルー、この階層の敵は結構強いので注意した方が良いのです。」

 「ありがとう白梅。」


 「それ!それですわ!このメンバーだけでいるときは別に構わないけれども、地上に戻ったらちゃんと3人共『ご主人様』とお呼びなさい。」

 「はいはい、姫様、じゃなくてご主人様。」



▽▽▽▽▽



 「レベル20のデミオークくらいなら余裕みたいね。」

 「思ったより強いですわね。ユウキ、ルーガルーのレベルはどれくらいなんです?」

 「26よ。素早いから回避盾として考えると思ったより使えそうね。」

 「もうちょっとレベル上げてランク3にはしておきたいところですわね。」


 勝手に呼んでおいて好き勝手言ってるやがるな。と、ルーは思いながら口を魔法で出した水でゆすぐ。


 爪での攻撃はともかく、牙での攻撃は相手の味を感じてしまうのが難点だ。

 人間でいる時よりは味覚が鈍化しているのは良いが、嗅覚がアップしているので臭みが酷い。


 「ルーは魔法も使えるですか?」

 「少しだけ使えるみたいだ。」

 上目遣いで問うてくる白梅にルーは正直に答える。


 ユウキやファーリーと身体を重ねた時や今の戦闘中に何やら変な能力を沢山得たのだ。

 今使っている水や食べ物を出す魔法もその一つだし、レベル1で召喚されたルーガルーがレベル26まで上がっているのも、主人から経験値を分けてもらうという特殊能力によるものだ。


 「俺自身、まだこの世界での自分の能力に慣れていないので、二人には内緒にしていてくれ。知られたら面倒な事になりそうだ。」

 「わかったのです。ルーと白梅との秘密にしておくのです。」

 「ありがとう。これからも色々と白梅には相談に乗って欲しい。」

 「はいです。」

 白梅の頭を撫でるルーを他所に、ユウキとファーリーはルーの利用方法を模索していた。


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