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第4話 「奴隷 ルーガルー」


 「勇者の能力まで使うとはズルいですわ!」

 「勝てばいいのよー。さぁ、ご主人様にご奉仕タイムよー。」


 「と、いう訳なのです。」

 「思ったより酷い理由で呼ばれたんだな。」

 ソファーに座った白梅とルーガルーと名乗った人狼が談笑している。


 それもそのはず、ユウキとファーリーは順番を決めるために30分近くも、じゃんけんに費やしていたのである。


 一生懸命説明しようとする白梅と、見た目によらず温和に話を聞くルーガルーが打ち解けるには十分な時間であった。


 「聞きなさいよ!」

 「話は聞いたが、理由からすると白梅にはともかく、お前らの相手はしなくても良くないか?」


 「め・い・れ・い・よ!僕にご奉仕しなさい!もう、色々限界なのよ!」

 「ここで?」

 「ここで。」

 「白梅の目の前で?」

 「ファーリーもいるわよ?ちなみに次はファーリーの番ね。」


 ルーガルーがファーリーと呼ばれた女の方を見ると、右手で出したチョキの手首を左手で握りしめながら明後日の方向を向いて震えている。

 どうやら悔しかったらしい。


 「謎の力で逆らえないようだな。仕方がない、分かった。」

 心配そうにルーガルーを見る白梅の頭をひと撫でして、ソファーから立ち上がり、のそのそとユウキが立っている部屋の中央にある大きなベッドへ上がっていく人狼。


 「あ、それからね、ぼ、僕、初めてだから優しくしなさいよ。」

 「お前、色々おっかしいんじゃねーか?」



▽▽▽▽▽



 「どうも身体が違うせいか、細かい動きが難しいな。」

 「白梅の時は、もっと優しくして欲しいのです。」

 ソファーに戻ってきたルーガルーに白梅が訴えかけている。


 身の丈2mほどの人狼が身長150センチ代半ばのユウキに覆いかぶさっている絵面は白梅を怯えさせるのに十分だったようだ。


 「白梅の時には人型に戻るつもりだから大丈夫。心配するな。」

 「よかった。ルーは見た目は怖いけど紳士なのです。」

 「ルー?」

 「ルーガルーだと呼びにくいのです。駄目ですか?」

 「ルーか、いや、構わないよ。」


 「えいやっ!」

 声の方を向くと、満足そうな顔をして寝ているユウキを、ちゃぶ台でもひっくり返すようなフォームでベッドから転がり落とすファーリーがいた。


 「次はやっとワタクシの番ですわ!命令よ、狼になってベッドにお戻りなさい!」

 「はぁ…、もっとおかしい奴の相手してくる。」

 「ルーはお疲れ様なのです。」



▽▽▽▽▽



 「いや、なんとなく発情期の辛さが分かったような気がする。あんな衝動が来るなら白梅も大変だな。」


 人狼の身体のうちは、いざという時の性衝動も思春期の男子中学生とか男子高校生程度で収まっていたのだが、狼の身体だと本能に引っ張られるのかルーを襲った性的衝動は頭が真っ白になるくらい激しいものだった。


 「わかってくれて嬉しいのです。」

 そういって白梅は狼の姿のルーの頭を撫でると、ルーは気持ちよさそうに目を細める。

 白い猫耳族の少女と、それに寄り添うような白銀の狼の姿は美しいような、それでいて微笑ましいような光景だった。


 後ろのベッドの上と下に寝転がっている女たちが写ってなければ。の話だが。


 「今更だが、ここは白梅達の部屋なのか?」

 「ここは迷宮の中の隠し部屋なのです。白梅達の部屋は修道院の中に別にあるのです。でも…」


 「こいつらが起きないと、部屋には戻れないっぽいな。その修道院の中では、白梅の部屋も?」

 「広間と4つのベッドルームがある大きな部屋なので、白梅も一つお部屋貰っているのです。」

 

 白梅は知らないことなのだが、その部屋は教会の勇者用の専用部屋で、代々教会の勇者に使われているのだ。


 「そうか。白梅がまだ我慢できるなら部屋に戻ってから相手をしてもいいか?ここでは落ち着かないだろう。」

 「白梅はまだ大丈夫なのです。初めての発情期なので、よくわからないけど、その時が来たら優しくして欲しいのです。」


 「わかった、約束する。」

 そういってルーはその狼の顔を白梅に擦り付けると、軽くその頬を舐めた。


 「うふふ、くすぐったいのです。」


 「…なんかイチャイチャしてない?僕とずいぶん扱いが違う気がするんだけど。」

 「いや、ワタクシはワイルドな方が好みなので構わないですわ。」

 

 ルーの毛皮に顔を埋め、もふもふしている白梅を見ながら勇者と姫である二人はそんな会話をしていた。


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