第2話
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
はるのきです!
ここまでで、連続投稿終わり!
と言っても2話分なので連続と言い難いのですが。
朝、平日の朝、高校生なら誰しもこう思うだろう。
「学校に行きたくない」と。
でも過半数の人は学校に行く。
なぜなのだろうか。世間体が原因なのだろうか。
はたまた別に理由があるのだろうか。
私も学校に行きたくないと思いながら学校に行く。
なぜなのだろう。
そんなことはいいとして、今日は校内案内や部活動紹介等がある。
授業はない。ただ生徒会室に行かなければならない。
勧誘の返事をしなければならない。
結果を言えば生徒会役員になることにした。
理由は言わずもがな。
私は自分からチャンスを捨てていくような女ではない。恐らく。
放課後、生徒会室に向かう。
校内案内の時に、生徒会室の位置は把握した。
一年六組の教室からは少し離れているが苦にはならない距離だった。
生徒会室のドアを三回ノックする。
「はーい!」
穏やかで、でも力強い男の声。
「失礼します。」
ノブをひねり生徒会室に入っていく。
「こんにちは。昨日勧誘を受けた者なのですが。」
奥の方から昨日会った綺麗な先輩が出てきた。
「あ、こんにちは。早速だけど返事を聞かせてくれるかな?」
「入らせていただきたいと思います。」
そう言うと、先輩は目をきらきらさせて、
「ありがとう!そうと決まればまず自己紹介しましょ。」
と言った。昨日思っていたことは間違いではなかったらしい。
「はい。私は井崎涼華といいます。これからよろしくお願いします。」
いつも通り丁寧に挨拶をする。何事においても初手は大切だ。
「そんなにかしこまらなくていいのに。
私は秋月葵。生徒会副会長をしています。よろしく。」
生徒会副会長だと言うことは今日の部活動紹介の時に知った。
入学式の時も挨拶をしたそうだが、気づかなかった。
考え事をしていたんだから仕方ないよね……。
あと三年生ではなく、二年生だった。
「俺は浅野一。よろしく。」
さっき返事してくれた彼だ。
少し長めの黒い髪の持ち主。
腕から手のひらにかけての筋肉の発達がすごい。
指にまで発達した筋肉がある。
どんなことをしたらそんなことになるのだろう。
指にまで、となるとテニス……でも違う気がする。
あと外見は……冴えてる、冴えてない、なんと表現すればいいのだろう。
すべてにおいてとても表現しずらい感じ。
「彼は涼華ちゃんと同じ一年生だけど、来期の副会長を務めてもらう予定です。」
もう名前読みちゃん付けですか……。
しかしこの時期に来期の副会長を既に決めてるとは決断が早いのだろうか。
それとも、彼がそれほどまでに優秀なのだろうか。
そもそも秋月先輩が生徒会長になることが前提の話では。
「あ、私が生徒会長になることは確定事項だから気にしないでね。」
な、なぜ!?
だけどこの疑問は心の中にしまっておくことにしよう。
気にしないで、と上の人に言われたのだから従うのは当然だ。
それにいずれわかるだろう。多分。
「はい。わかりました。」
「一君。涼華ちゃんにお仕事の説明してあげて。私は寝ます!」
ドウイウコトデスカ。
次期生徒会長にあるまじき発言では。
そんなことを考えている間に秋月先輩はササッと奥の部屋へ入っていった。
「徹夜明けなんだ。許してやってくれ。
普段は真面目だから。」
浅野君と秋月先輩は高校以前の知人なのだろう。
「葵さんはほっといて、仕事の説明をするか。
井崎の主な仕事は俺の補佐だ。」
即ち雑用ということだろう。
「あぁ、葵さんは聞き忘れてたけどほかの部活に入る気はあるの?」
「いいえ。入る気はないです。」
「そうか。あと俺なんかに敬語使わなくていいんだからな?」
これは謙遜ということであってるんだろうか。
同級生に敬語を使う私がおかしいのか。
「わかったわ。浅野君は秋月先輩とは長いのかしら?」
一応情報収集は、ね?世の中は情報戦。
「小学生の時からの付き合いだな。」
付き合い(恋愛的な意味で)だったら面白そうだな。
「あ、恋愛的な意味ではないから。」
私って考えてること、顔に出る人だったっけ。
「そういえば他の生徒会役員の人はいないのかしら?」
一応、生徒会役員を務めることにしたのだから挨拶は早々にしておきたい。
「今週末に定例会というか退陣式みたいなものがあって、その準備で忙しいらしい。
葵さんは徹夜で仕事終わらせてるから今寝てられるんだ。」
秋月先輩はどうやらやるべき事は早々に終わらせておきたい人なのだろう。
この人なら下で動く際、安心できそう。
ただ一つ気になるのが、
「退陣式って生徒総会の時に行われるはずでは?」
校則等は昨日目を通しておいた。
事前準備をするに超したことはない。
余裕を持って行動するすると後で焦る可能性が低くなるからね。
「表向きはね。毎年入学式後数日で代替わりするらしい。
一年生の職は追々決まっていくのが普通らしい。
ただ生徒総会までは三年の先輩方も全面的にサポートしてくれるとのこと。」
入学式から生徒総会までが一年生に対する教育期間といったところだろうか。
二年生の活動の様子の再確認という目的もあるかもしれない。
あと追々と言っておきながら既に副会長に選ばれてる人がいるのは気のせいだろうか
自己紹介、世間話を井崎とすること数十分。
日が暮れだした。そろそろ葵さんを起こしておこう。
いい加減、帰りたいし。
「ちょっと葵さん起こしてくるわ。」
そう井崎に言葉を発し、奥の部屋へと入っていく。
何度も見たおかげで見慣れたが本当にこの人は無防備でだらしなく眠る。
本人曰く、襲われる危険性は考慮しているらしいが。
「葵さん。起きてください。」
「ん。おはよぅ。」
だらしない声を発しながら葵さんは胴体を起こす。
「何時ぃ?」
腕時計を見て確認する。
関係ないが、俺は懐中時計の方が好きだ。
「五時半ですね。」
知人から聞いた話だが、夕方が一番高校生による事故が起こりやすいらしい。
なんでも、夕方の微妙な光の量に目が慣れにくいだとかなんとか。
「家まで送ってぇ……。」
「わかりましたよ……。」
なぜ俺が簡単に了承するかというと中学の時からずっとこうだったからだ。
葵さんが高校生、俺が中学生の時にも送ってと言われることになるとは思わなかったが。
お陰様でこの学校の先輩に妬まれていたりする。特に男子の先輩に。
「井崎、今日はお開きだ。
窓とかはこっちでやっとくから帰ってくれて構わんよ。」
さすがにさっき恋愛的な付き合いはないと言ったばかりだからな。
先に帰しておこう。
「お疲れ様。」
「おう。お疲れ様。」
何かバレてた気がする。
まぁ、勘違いされたところで葵さんがなんかするだろ。今まで通り。
その後窓を閉め、葵さんを生徒会室から連れ出し、ドアの鍵を閉める。
鍵は職員室に持って行くのが普通だが生徒会室のは生徒会で管理しろとのこと。
理由は知らないが、前にいろいろあったらしい。
「葵さん、置いていきますよ。」
ちなみに仕事以外において葵さんの行動は遅い。
宿題は提出日前と提出日に血涙を流しながらしている。
その横で同じく俺も血涙を流しながら、というのが長期休暇の際の定番。
そんなことはどうでもいいのだが。
「うぅ。待ってぇ。」
この声だけで何十人の男子が落ちることやら。
下手したら百単位にまでいくかもしれない。
俺はそんなことにはならない。多分!
誤字脱字等ありましたら教えていただければ幸いです。
失踪しないよう努めます…