第9話 台湾の奮闘
2024.3.21
台湾民主国 首都台北市
総理官邸 会議室
9:22 現地時間
「総理、日本国陸上自衛隊第18師団の荷揚げが完了しました。あと台湾桃園国際空港にアメリカ海兵隊の部隊も来ました。」
「おお、そうか日本やアメリカには感謝しなくてはな。」
「ええ、あと与那国島や尖閣諸島の奪還作戦は成功し、敵部隊は壊滅、日本の領土に戻りました。」
「そうか、尖閣に中国軍がいたら厄介だからな。ところで高雄市の状況は?」
「かなり深刻です。市民7万人の行方が分かっていませんのでおそらく中国軍の捕虜となっているとおもわれます。」
「なるほど、アメリカ軍の投入戦力はこの前聞いたが自衛隊は?」
「はい、そうですね。陸上自衛隊第18師団は、海外に派遣する事を目的に設立された部隊で人員は1万2000名です。最新の10式戦車や16式機動戦闘車や装輪155mm自走砲を配備しており、またOH-2のような多目的ヘリコプターやAH-64EやAH-3のような戦闘ヘリコプターを多数配備している日本国陸上自衛隊最強の師団です。」
「なんか凄そうな部隊だな。」
「凄い部隊ですよ。防衛省は新たに第19師団を設立しようとしていますが第18師団と同じく外征師団となる予定です。」
「有難いな、そんな部隊を送ってきてくれて。」
「あと、第1護衛艦隊群が先に展開しているアメリカ海軍第7艦隊に合流し、台湾周辺の中国軍部隊を攻撃しています。」
「市街地にあまり被害を出さないでほしいが無理だろうな。」
「そうですね。日本はもはや朝鮮を助ける気などさらさらないようです。」
「まぁあったとしても、手遅れだろうがな。」
「ロシアに任せるみたいですね。」
「まぁとりあえず、今現在の台湾民国軍の残存戦力は?」
「はい、陸軍は第1、3、4、7、8、9師団の計9万人です。現在即応兵力を取集していますのであと2個師団3万人が追加されます。
次に空軍ですが高雄基地は壊滅し、台湾桃園基地と新高基地、山門基地の3ヶ所です。F-16が84機、F-35Aが37機、経国戦闘機が142機の計263機です。早期警戒機が全て撃墜され、空自のE-2やE-767に頼っているのが現状ですが制空権を確保しているので1番マシです。
次に海軍ですが日本から供与された艦で構成された第3艦隊だけしか残っていません。第1.第2艦隊は全て撃沈され、まともな海軍戦力は第3艦隊のみです。」
「失った所をなんとか日本やアメリカ軍によってしのいでる感じか、」
「ええ、日本は潜水艦12隻を東シナ海に派遣する事を決めました。あと巡航ミサイル原子力潜水艦であるあすりゅう型2隻の派遣も決定し、中国本土の空軍基地を攻撃するみたいです。
ただし、それに関してはアメリカ海軍も改オハイオ級を派遣するらしいので合同での攻撃になると思われます。」
「我が軍は台湾本土から敵を追い出すので精一杯か、」
「朝鮮共和国軍のようになっていないだけマシかと。」
「これも日本が艦艇を供与してくれたおかげだな。」
2019年の中国経済危機で中国はチベット、ウイグル、台湾の独立を認めたのである。その為台湾は正式に独立、国連にも加盟した。そして各国から独立祝いとして金銭や技術などが提供された。
そして日本から提供された中に海自艦艇の供与が含まれていたのである。勿論中古艦艇だけではなく、アメリカから提供されたイージスシステムを日本で建造された台湾民国海軍初のイージス駆逐艦2隻も入っていたのである。
またイージス駆逐艦以外にもふぶき型護衛艦4隻を購入して、フリゲート艦として第3艦隊の艦として扱っていた。第3艦隊はイージス駆逐艦2隻、ふぶき型フリゲート4隻、むらさめ型護衛艦2隻、あきづき型護衛艦1隻の計9隻で構成されていた。ちなみにあきづき型護衛艦は台湾用に日本が別途建造し売却した艦である。台湾海軍最強艦隊であり防空能力が極めて高い艦隊でもあった。
「高雄市以外の避難状況は?」
「はい、現在予備兵なども動員させ全力で避難させています。現在80%が完了しています。」
「そうか、分かったつづけてくれ。」
台湾民国の大臣達の苦悩は続く。
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2024.3.23
日本国 首都東京
総理官邸 会議室
NSA 国家安全保障会議
20:31 JST
「そうか、ロシアが朝鮮に軍を派遣したか、」
「ええ、これで朝鮮半島の心配事が少し減りました。」
「では各大臣は報告を。」
「ではまず農林水産省からお願いします。」
「はい、まず我が国の食料自給率は60%で残りを輸入に頼っていますが、現在船舶の航行規制により輸出入に滞りはありません。」
「なるほど、次に経産省。」
「はい、経済関連も防衛産業の株価が上昇しているくらいで特に影響はありません。2019年の中国経済危機により中国との貿易は殆ど止まっていますから。」
「なるほど。」
「しかし台湾やASEAN諸国との貿易が止まり、そこら辺の経済悪化は有ると思われます。しかしアメリカとの貿易は問題ありませんので壊滅的というほどにはならないかと。」
「そうか、やはりな。では次外務省。」
「はい、皆さん知っていると思いますがインドが中国に宣戦布告しました。ロシアも近いうちに中国に宣戦布告するかと思われます。中国は恐らく四面楚歌状態で崩壊すると思われます。その後中国は沢山の勢力がひしめき合う内戦状態になると予想され、しばらくは中国大陸への干渉は避けた方がいいかと。」
「なるほど、では次に防衛省。」
「はい、現在陸上自衛隊では第18師団を台湾に援軍として派遣しています。日本国の領土は全て奪還しました。朝鮮半島が危ないので第6師団を九州に貼り付けていましたが今後元に戻してもよろしいかと。 」
「なるほど、後は台湾奪還に全力を尽くすという事か。」
「はい、そうです。空自の方は新田原、築城春日の3基地に警戒してもらっていますが、今後台湾支援で辺野古、下地島に増派する必要があります。」
「ロシアは大丈夫なのか?」
「ええ、千歳と択捉の基地で問題ないかと、必要ならば三沢と松島の部隊を向かわせます。」
話から分かるように防衛省はまだロシアを敵としてみているのである。スクランブルで1番多いのはロシアな為である。現在は落ち着いたが、
「海上自衛隊に関しては第1護衛艦隊群と第3護衛艦隊群を台湾に派遣していますがそれ以上は派遣しません。
潜水艦部隊に関しては14隻台湾付近に派遣しておりますが残りは東シナ海の警戒に当たらせます。」
「なるほど、第18師団の揚陸は完了したみたいだし後は彼らの奮闘に期待しよう。」
「そうですね、では最後に財務省。」
「はい、2024年度の防衛関係費は8兆4250億円ですが弾薬費で4000億円程の臨時予算を組まないといけません。さらに戦後の亡くなられた方への見舞金などで計1兆円くらいの補正予算が必要です。
当然臨時予算から支出しますがあまり戦闘が大きくなるとこの予算では足りない事も考えられます。やはり賠償金をとって補填したいですね。
現在毎年2兆円づつ借金を返済していますがやはり何十年もかかりますので賠償金の幾分かをそちらにやって返済したいです。財務省としてやはり借金の事は頭が痛い問題ですから。」
「まぁ中国が払えるか?という問題もあるが前向きに考えておこう。」
そうして安全保障会議は終了した。