第7話 人民解放軍侵攻開始!
2024.3.15
日本国 首都東京
総理官邸 危機管理センター
07:30 JST
会議に出席している人は皆厳しい表情をしていた。実は07:00丁度に中国政府から日本、台湾、アメリカやASEAN諸国に中国大使から宣戦布告されたのである。
「総理、海自は第1.第2.第3.第5護衛艦隊群の出動準備はすでに完了しており現在南西諸島方面にむかっています。」
海自各部隊は中国が2024年のうちに行動を起こすと分かっていた為前もって準備ができていたのである。
「アメリカ海軍の第3艦隊及び第7艦隊は南シナ海に向かっています。」
「衛星からの映像で中華人民解放軍が国境を越えタイやベトナムに侵攻しているのが確認されました。」
「分かった。自衛隊全部隊に防衛出動命令を発令する!」
「「了解!」」
こうして戦後初の防衛出動命令が発令されたのである。防衛出動命令よって自衛隊は全ての兵器の実戦での使用が許可されたのである。
「南西諸島の住民は沖縄本島及び本土への避難命令を出してくれ。」
「了解、」
「総理、中華人民解放軍が朝鮮との国境を超え朝鮮共和国に侵攻を開始したそうです。」
「分かった。防衛大臣、九州地方の防空能力を強化してくれ。」
「分かりました。」
「よし、会議は終了する!それぞれ持ち場に戻れ!」
「「了解」」
そうして会議は終了した。この中国が震源のアジア全体を巻き込んだ共産党の保身はどのようになるのかは誰も分からなかった。
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2024.3.16
台湾民国 首都台北
主席官邸 危機管理センター
23:19現地時間
ここ台湾の危機管理センターは修羅場とかしていた。台湾各地から被害の報告が矢継ぎやに出てくるのである。
「金門島が中国軍により占領されました!」
「高雄市にミサイルが弾着!一般人に多数の死傷者発生!」
「警戒中の艦との連絡途絶!中国軍に撃沈されたと思われます。」
台湾にとっては最悪の報告ばかり入ってくる中でいい報告も入ってきたのである。
「アメリカ海軍の空母1隻を含む艦隊が東シナ海に派遣される事が決まりました。」
「日本の空母2隻共南西地域に派遣されるそうです。」
「アメリカ軍が台湾に10万人を派遣する事を決定しました!」
しかしいい報告ばかりでは無かった。
「中国軍が朝鮮共和国の平壌を空爆!民間人を含む多数の死傷者が、」
「与那国に中国軍空挺部隊が降下、戦闘が始まっています!」
「日本から衛星画像が送られてきました!中国海軍空母の30分前の衛星写真です。」
「場所は!?」
「4隻のうち3隻は南シナ海です。残り1隻は黄海を航行中です!」
「た、高雄市に中国軍が上陸開始!!」
「部隊は?」
「全滅したと思われます。」
「くそ!他の部隊を高雄市に向かわせろ!」
「了解!第3師団と第4師団を向かわせます。」
元々高雄市は第2師団と呼ばれる人員1万2000名の部隊で防衛していたのである。しかしその部隊が1日足らずでやられたのである。
「澎湖諸島レーダーサイトより緊急連絡!敵爆撃機が高雄市にむかっています!」
「直ぐに空軍に出撃させろ!撃墜するんだ!」
「し、しかし高雄基地は敵のミサイル攻撃により壊滅し、残りの基地もかなりのダメージが。」
この爆撃機部隊は防げない!と思った時だった。台湾民国軍ではないものから通信が入った。
「アメリカ海軍第7艦隊より緊急連絡!敵爆撃機部隊を撃墜する。との事です。」
「よし!対空ミサイルを高雄市付近に配置させろ!」
「了解!」
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侵攻から2日後の3月17日、中国海兵隊が尖閣諸島を占領。それと同時に与那国島を占領した。しかし住民は既に避難し、与那国島の第303沿岸監視隊も戦力が違いすぎるので撤退した。
また台湾民国の高雄市に中国軍6万人が上陸、台湾民国軍との一進一退の攻防が続いた。東南アジアもASEAN連合軍を設立し、中国との戦争に挑んだ。インドは中国を非難し、インド軍12万人を援護として東南アジアに派遣、空母を含む艦隊も南シナ海に向かわせた。
朝鮮共和国に侵攻した中国軍は順調に占領していった。治安維持組織に成り下がった朝鮮共和国軍は中国軍の敵では無かった。朝鮮共和国軍は各地で敗走を続け10日後には平壌を占領、ソウルまであと少しとなった。
自衛隊は南西地域の住民の避難に全力を尽くした。そのかいもあって三日後には沖縄本島より西に住民はいない状態になった。
しかしここまで中国軍からの攻撃が無かった訳では無かった。佐世保や辺野古、嘉手納などの基地に弾道ミサイル攻撃が行われたが全て基地に配備していたPAC-3やその他の迎撃システムで全て撃墜した。
3月17日に行われた国連総会で中国に対する経済制裁や国連軍の派遣などが審議されたが中国が拒否権を発動させてその議題はながれた。
しかしアメリカなどに宣戦布告している為、アメリカは当事国として軍を本格的に派遣した。日本も本格的に占領された島々の奪還作戦を開始しようとしていた。日本国民の関心は無人島より中国軍が上陸して激しい戦闘が行われている台湾の方に向いていたのである。
2024.3.19
東シナ海 洋上
06:42 JST
ここ戦場の東シナ海を航海する船団があった。現在東シナ海は民間船の侵入が禁止されてる海域である。その為この艦隊は航空機搭載型護衛艦『あかぎ』を有する第1護衛艦隊群である。
「日本が戦後初めて保有した空母だ、国民の期待も大きい。それに見合う働きをしないとな。」
そう言うのは第1護衛艦隊群の群司令である矢曽根正幸一等海佐である。見た目は優しそうな人だが何故か近寄りがたいオーラを出している。
「4000億円以上の国民の税金を投入し建造されましたからね。そうやすやすと撃沈される訳にはいきません。艦載機を含めると1兆円近く掛かっていますしね。」
航空機搭載型護衛艦『あかぎ』の艦長である野田浩介一等海佐が艦長の言葉に返す。そうして話をしていると部下から報告があった。
「艦長!前方を航行中の潜水艦『けんりゅう』が敵潜水艦1隻を撃沈しました。」
「潜水艦がいたか、よし!対潜警戒を厳にしろ!」
「了解、対潜警戒を厳にします。」
30分後
「AWACSより連絡!敵北海艦隊と思われる艦隊を探知。空母1、駆逐艦6、距離400」
「よーし、対艦戦闘よーい!」
「了解、対艦戦闘よーい。」
艦内が慌ただしくなり船員が持ち場につき始める。いつもの訓練通りである。
「嘉手納基地より在日米空軍のF-22が飛び立ったようです。」
「F-22って対艦ミサイル搭載できなかったよな?まぁ、北海艦隊に配備されている空母は練習空母の遼寧だからな。」
遼寧は2017年に中国海軍に配備された初の空母である。しかし旧ソ連時代のものな為設計が古く艦載機も30機弱しか搭載できず、諸外国から初心者空母や練習空母と呼ばれ酷評されていたのである。
30分後
「嘉手納基地より連絡!敵戦闘機8機を撃墜、また対空誘導弾の攻撃により敵飛行甲板に損害あり、との事です。」
「よーし、VLSハッチ開け!20式対艦誘導弾発射よーい。」
「了解、VLSハッチ開放、20式対艦誘導弾発射よーい、目標敵空母及び駆逐艦!」
「リコメンドファイヤー!!」
そうして第1護衛艦隊群各艦から20式艦対艦誘導弾が白い煙をあげ敵艦隊に向け発射された。その数は37発、敵艦隊の防空能力を大きく超えていた。
CICではレーダー上で味方艦隊や敵艦隊の位置、そしてミサイルの位置まではっきりと表示されていた。そうして2分後ミサイルを示す点が敵艦隊と重なった。