第5話 北海道日高地震
2022.9.7
日本国 首都東京
総理官邸 会議室
11:17 JST
総理官邸にある会議室では出席者全員がテレビを見ていた。決して休憩では無い、そのテレビで報道されている事について話す為に会議をしているのである。
『繰り返しお伝えします。今朝07:23分頃に北海道 日高山脈の地下を震源とする大きな地震が発生しました。気象庁の発表によりますと、マグニチュードは8.4、最大震度は6強です。
この地震での津波の心配はありません。しかしこの地震によって北海道や本州の一部で多数の崖崩れが発生、生き埋めになっている人もいるようです。電気など全てのライフラインは地震の影響で停止、鉄道も運転を見合わせています。』
キャスターの緊張具合からこの地震の大きさが分かる。マグニチュードは8.4で2011.3.11に発生した、東北地方太平洋沖地震でマグニチュードは9.0であった為それに匹敵する規模の地震である。
『この地震で現在運転を停止している原子力発電所に影響は無いとの事です。またこの地震を受け北海道は自衛隊に災害派遣要請をし、防衛大臣は北海道や東北に配備されている陸上自衛隊各部隊に派遣命令を出しました。
またロシア政府も北海道で発生した地震に対して我々は支援の用意があると発表、救助部隊を派遣する用意もあるとしました、これを受け日本政府はロシア政府に派遣を要請、ウラジオストクに待機していた救助部隊は飛行機で滑走路の安全が取れている仙台空港に着陸しました。』
「しかしロシア政府も行動が素早いな。」
「政府としても日本と仲良くしていますと国民に向けアピールをしたいのでしょう。」
「台湾やアメリカなども支援の用意があると連絡がありました。しかし中国と朝鮮は黙ったままです。」
「中国は経済危機で分かるが韓国は、日本と関わりたく無いのかな?」
実は2020年東京の秋葉原で銃の乱射事件があり、犯人は現場に駆けつけた警察官が射殺したが7人の尊い命が失われた。捜査の結果朝鮮総連が関わっている事が明らかになり警察による強制捜査の結果、銃や麻薬の密輸などの悪事が明らかとなり日韓関係は現在断交状態なのである。
「おそらくそうでしょう。一応救助部隊のは間に合っているので、ロシアの救助部隊の受け入れは諸外国へのアピールですね。」
「まぁ札幌や釧路などの都市部は分かったが、その他の町や村の様子はどうだ?」
「一応連絡が入ってきており、中には孤立状態の場所もありますが、直ぐに手当てが必要な人はいないそうです。」
「そうか、防衛大臣、千歳基地は大丈夫なのか?」
「ええ、空港と滑走路は分かれており、基地の方の滑走路は現在確認中ですが今のところ大きな問題ありません。」
「同時に千島列島各島も被害はほとんどありません。」
「そうか、明日緊急国会を開き補正予算の一部を復興に使用しようか。」
「そうですね、電力だけ見ても完全復旧まで1週間くらいかかる見通しですしね。」
「ではこの後今後の地震対策を練ろう。」
総理や担当大臣達の奮闘は続く。
そして結果北海道日高地震と呼ばれたこの地震の死者は46名、負傷者は1484名、被害総額は4781億円であった。
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2022.12.14
中華人民共和国 首都北京
中南海 会議室
20:13 現地時間
ここ中南海は日本でいう総理官邸のような建物であり、周りを塀で囲まれた場所なのである。棚に人民解放軍の兵士が警備しており中国で最も警備が厳しい場所の1つである。
しかしそんな中南海から見る北京も所々煙が上がりまともに消防は機能していないようである。
「王主席、本当にやるのですか?今中国はそんな事にお金を使っている暇なんて」
秘書と思しき人物が王主席を抑えようとする、どうやら王主席など中国共産党は何かしようとしているのである、それもかなりお金を使う事を。
「あぁ、やると言ったらやるんだ、中国が生き延びられる道はそこにしか無い!」
「日本やアメリカも嗅ぎつけたようでアメリカ軍は嘉手納基地にF-22を配備しました、日本も海自の空母がちょろちょろと東シナ海を遊弋しています。」
「今回の目標は台湾と沖縄本島を除く南西諸島だ。」
「主席、もう一度聞きますが本当に核兵器は使用なさらないんですね?」
「あぁ、使用しない、あんな禁断の兵器を使ってアメリカと同レベルまで落ちたく無いしな。」
王主席はその戦争に核を使用しないみたいだ、余程アメリカが嫌いな事がこの発言で分かる。
「それで、いつ開始するんだ?」
「2024年3月15日に侵攻を開始します。人民解放軍200万人のうち60万人を投入する超大規模な作戦です。我が国の未来はこの作戦にかかっています。」
「その通りだ、なんとか4隻の空母も完成させた。我が中華人民共和国に栄光あれ。」
中華人民共和国で恐ろしい事が始まろうとしていた、まさに日本を含むアジア情勢を変える程の事である。
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2023.3.2
朝鮮共和国 首都ソウル
青瓦台 会議室
19:23 現地時間
「経済成長率はマイナス3%か。」
「ええ、やはり北朝鮮を取り込んだのが痛い事だと。」
韓国は2019年の朝鮮戦争の結果北朝鮮を併合、南北国家が一つになったのである。しかし世界最貧国との名だかい北朝鮮を取り込んだので韓国の経済は大打撃を受けた。
さらに教育もまともに受けていない国民である為まずそこからであった。その為韓国の財政赤字は膨らむばかりであり、増税に次ぐ増税で国民負担は増加していくばかりであった。
「大統領、もう120万人の兵士を3兆円程の予算で賄うのは限界です、弾薬の調達すらままなりません、今戦争が勃発したら間違いなく朝鮮共和国軍は弾薬不足で敗北します!」
実は北朝鮮という脅威がなくなった為真っ先に軍事費が削られた。2019年度に4兆円あった韓国の国防費は2020年には3兆円まで下がった。北朝鮮の保有していた核はアメリカが全て没収し、処理した為核は朝鮮半島には無い。
さらに朝鮮人民軍120万人を取り込み銃器などの統一にも一苦労であった、何しろ数十年前の兵器を現役で使用している軍である、その統一にも金がかかるのである。
「もはや海軍の艦艇は燃料不足で係留しっぱなしです、もはや沿岸海軍の方がマシなほど酷い状態です、自衛隊とはえらい違いですよ。」
もはや朝鮮共和国軍は装備の更新もままなら無いほどにボロボロの状態であった、総兵力120万人を抱え(これでも減らした方である、元々韓国軍50万人、朝鮮人民軍190万人の計240万人)国の債務はGDP比246%にまで到達した。
しかし2024年からは年率2%づつ成長していく、長年の教育重視政策がやっと実った為である。
「しかしねぇ、税収は増えないし、脱税も多い、治安の維持すらままならないほどなんだよ、予算が足りないのは軍だけでは無い、そもそも120万人の兵士は多すぎやしないか?」
「ど、どういう事ですか?」
「我が国の1.5倍もの人口がいる日本の自衛隊は40万人弱の兵力で守っているそうじゃ無いか?」
「大統領!今更言いたくはありませんが朝鮮共和国軍の年間予算は3兆円台、日本の自衛隊の年間予算は8兆円を超えているのですよ。」
「そういう事を言っているんじゃ無い。私は120万人も必要ないだろう、と言っているんだ、60万人でも十分だろう。」
「何を言っているんですか?軍は国内の治安維持にも一役買っているんですよ、120万人の兵士でも手いっぱいなほどの暴動や事件が発生しています、兵士をこれ以上減らしたらただでさえ悪い治安がもっと悪くなりますよ。」
「はぁ、予算が無いのはキツイな、日本が羨ましいよ。」
「国民からして違いますからね。過去の政権を今更ながら恨みますよ。」
朝鮮共和国閣僚達の会議は続く。