第3話 日露首脳会談
2020.2.6
日本国 広島県 呉市
三菱重工業呉造船所
10:35 JST
約80年前、旧日本海軍の戦艦大和型1番艦大和を建造したこの場所で新しい艦艇が進水しようとしていた。ミサイル巡洋艦1番艦『やまと』である。
戦艦ではなく巡洋艦であるが、この巡洋艦は現代艦には珍しく装甲が搭載されているのである。なんと対艦ミサイルの直撃にも耐えうる強度の装甲を有しており、まさに戦艦大和の名にふさわしい艦である。
やまと型ミサイル巡洋艦はイージス巡洋艦と言っても差し支えない。イージスシステムではないが国産のFCS-4を搭載しており、高度な防空能力を有している。基準排水量は12460tであり満載排水量になると15200tである。
武装は155mm砲が1門搭載されており、他の護衛艦の127mm砲に比べ高威力である。
又その他にも対艦ミサイル発射機を8基搭載し、VLS(垂直離発射機)は126セル、短魚雷発射機にCIWSやSeeramも搭載しており、艦載機はSH-60K対潜哨戒ヘリを2機搭載している。
飯干防衛大臣の挨拶の元ミサイル巡洋艦はゆっくりと海面に進水された。やまと型ミサイル巡洋艦1番艦『やまと』は9月24日に就役する予定である。やまと型ミサイル巡洋艦は4番艦まで建造が予定され各護衛艦隊群に1隻づつ配備される予定である。
やまと型ミサイル巡洋艦はステルス性能も意識しており、マストはあたご型より突起物が少なく、なんとVLSは艦の内部に収納できるようになっている。まさに日本の技術の結晶である。
やまと型ミサイル巡洋艦は2年に1隻建造する予定で、つまり最後2026年に4番艦が進水•就役する予定である。ちなみにアメリカの協力の元建造されている空母は2023年に進水、翌年就役する予定である。
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2020.3.15
ロシア連邦共和国
ウラジオストク
10:33 現地時間
「おはようございます、プーチン大統領。」
「こちらこそよろしく、羽田総理。」
ロシア連邦の日本海に面している、軍港もあるウラジオストク、今回ここで日露首脳会談が開かれるのである。
「ではマスコミはここまで、一旦退出したください。」
プーチン大統領がマスコミを退出させ、羽田総理と2人だけになった。ちなみにSPは部屋の玄関で待機している。
「今回の会談はより良いものにしたいですね。」
「ええ、そうですね、返すべきものは返さないといけませんね。」
羽田総理が冗談がてら確信をついてくる、そう日本とロシアには北方領土問題が存在するのである。
「ふふふ、まぁまぁそう慌てずに、その話に関してはいい物を持ってきましたから。」
「期待したいですね。」
プーチン大統領も北方領土問題に関して何かいい話があるみたいだ。
「今年は東京でオリンピックが開かれますねぇ、9月から1ヶ月遅らしたとはいえ10月、暑いでしょうね。」
「大丈夫ですよ2016年のリオデジャネイロオリンピックの時よりは涼しいですよ、しかしロシアの気候では何処に行っても暑いかもしれませんねぇ。」
「ははは、そうかもしれませんね、まぁ平昌だとあれは暑い寒いではありませんしね、」
「まぁ、今は日本とロシアの事、他国の批判なら後の2人の会食の時に。」
「そうですな、実は東京オリンピックを観たいのだが?」
「是非一緒に見ましょう、とっておきの席をご用意致しますよ、勿論クーラーの効いた部屋で、ははは。」
「それはいいですね、まぁそれはさておき、羽田総理、千島列島を管理する気ありませんか?」
「日本の領土は北方4島のみですよ?」
「樺太は置いておいて千島列島の維持管理の為の財政負担が重くてね。」
「なるほど、返還は分かりました、そちらとしても何か見返りを期待していませんか?」
「正解、ズバリサハリン開発の為の資金、技術援助です、ゆくゆく日本に輸出できればと考えています。」
「なるほど、いくらですか?」
「ずばり1兆円です!」
「なるほど、千島列島を1兆円で売るという事ですか、いいでしょう、千島列島譲渡の見返りとして日本政府はロシア政府に対しサハリン開発の為1兆円を援助します!返済は資源払いで。」
「それならいいでしょう、ゆくゆくは樺太から北海道までパイプラインを繋げたいですね。」
「そうですね、ちなみに今千島列島に住んでいる住民はどうするおつもりで?」
「住民の判断で日本国籍をとるかロシア国籍をとるか選んでもらいます、日本国籍を選択した場合はよろしくお願いしますよ。」
「ええ、こちらこそよろしくお願いします。」
次の日の夕刊には『千島列島が日本の領土に!』との一面が飾った。さらにシベリアの天然資源が安く手に入る為企業などは喜んだ。 次年度には千島列島の住民の日露国籍選択が始まり住民の3分の1が日本国籍を選択、残りの3分の2がロシア本土に帰還した。
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2020.10.15
日本国 首都東京
東京オリンピック
新たに2019年8月に新国立競技場が完成し、関連施設も完成、電柱の地中化もほぼ完了した。9月では暑いので熱中症による死者が予想される為日本政府はIOC(国際オリンピック委員会)に暑さ理由の為1ヶ月の延長を申し入れて受け入れられた。
2019年度の訪日観光客数は2700万人であり、東京オリンピックが開催される2020年には3000万人を超える事が確実視されている。
そして2週間に渡る東京オリンピックが見事成功した。このオリンピックで日本は過去最高のメダルを獲得した。
結果2020年度の訪日観光客数は予想より多い約3200万人もの訪日観光客が来た。那覇空港での第2滑走路の建設や関西国際空港の第3滑走路の建設、仙台空港の24時間営業など日本中で大規模空港の拡張が進んでいた。
2019年憲法改正により自衛隊の軍への昇格を機に定員の増員が決定された。陸上自衛隊は定員15万人から20万人、海上自衛隊は4万5000人から6万5000人、航空自衛隊は4万5000人から6万人の計24万人から32万5000人へ8万5000人増員された。
また領海警備の為海上保安庁の予算も上昇した。2100億円であった予算は3500億円にまで上昇、1万5000人であった定員も2万6000人まで上昇した、元々倍率10倍以上の高倍率であった為問題無いと考えられる。
ちなみに海上保安庁の所有する巡視船の武装の強化も決定された、海上保安庁の管轄は国土交通省のままで変わらない。
2021年、日本政府は日本にも海外へ向けた諜報組織が必要と判断、新たに情報省設置法を施行し情報省を設置した。情報省の傘下に諜報庁が配置され戦後初日本国の諜報機関が誕生した。名前はJSA、諜報庁成立前から存在していたが、その存在そのものが日本国の最重要機密であり、同盟国のアメリカも知らなかった程である。
JSAの元は旧大日本帝国のスパイ組織である。大日本帝国が戦争に負けてGHQの占領下に置かれていた時も活動し続け、その実力は70年以上も暗躍し続けた程である。日本がスパイ天国と言われていた時も実は各国の諜報組織を油断させる為に時の政府、防衛省が流した物であった。
JSAの規模自体はCIAやMI6などの諜報組織ほど大きくは無い。しかしその構成員はエリート揃いであり、その一人一人が犯罪者であったら即国際指名手配されるほどの人物である。
2019年の朝鮮戦争の時北朝鮮の書記長を発見し暗殺したのもJSAである。そんな組織とはつゆ知らずに出来立てホヤホヤの組織だと油断している諸外国の諜報組織幹部、特に中国はJSAからしたら、格好の標的であった。