第29話 日本国国家安全保障会議
2034.6.18
日本国 首都東京
総理官邸 会議室
NSA 国家安全保障会議
20:47 JST
「ええ、16日に北海道に上陸しようとしたレムリア共和国軍兵2万は空自、陸自の攻撃により全滅し、降伏しました。それにより敵の捕虜1万4563名を賭博し、現在北海道に捕虜収容所を急遽建設中です。」
防衛大臣が淡々と2日前に行われたレムリア共和国軍との戦闘について会議出席者に話す。
「防衛大臣、何故我が日本本土に接近されるような事になったのかね?まさか大陸に部隊を出しすぎて警戒が緩くなったとかいう理由じゃあないだろうね。」
財務大臣が防衛大臣に問い詰める。北海道は本土では無いのだが、ここでそれを指摘する人は居ない。
「財務大臣、接近されたと言っても本土から700km地点で把握、400km地点で敵降伏ですよ。別に上陸されてもいませんし、上陸寸前まですらいっていません。」
「陸自部隊からの攻撃により撃沈したのだろ?そんな長距離を攻撃出来る装備を陸自は持っていたか?」
財務大臣は軍事に全くの素人の為陸上自衛隊が射程460kmの26式地対艦誘導弾を保有している事も最大射程3500kmの滑空誘導弾を保有している事も知らないのである。
でもやはり軍事に疎い人は陸上部隊が迎撃というと上陸寸前まで攻められたとイメージする人が多いのと確かである。財務大臣はその軍事に疎い人だったのである。
「財務大臣、軍事に全く素人の君が軍事にそこまで口を出しても混乱するだけだ、確かに今回でマスコミは騒いでいるが、直ぐに収まる。日本国を左右する大臣が取り乱してどうする。」
羽柴総理大臣が注意を入れる。要約すると軍事に関して素人は黙っとけという事である。それを言われて財務大臣は黙ってしまった。
「まぁ、捕虜の管理は自衛隊に任せても大丈夫ですよね。」
官房長官が財務大臣の立場が悪くなったと思い、機転を利かせて話を元に戻す。
「そうだな、過激右翼などが襲ったりする可能性もあるから警察により立ち入り禁止にするか、」
「マスコミや人権団体が騒ぎますよ、捕虜を虐待させていると、あいつらしつこいですからね。」
そう言ったのは保安省国家公安警察長官である。
国家公安警察は公安警察を拡大発展させた組織である。前は警視庁の一部門の組織だったのが、警察予算の増大に伴い規模も人員も拡大されたのである。左派組織や右派組織やマスコミなども国家公安警察の監視対象な為、そのトップである彼はひつこさをよく知っているのである。
「マスコミには違うネタを上げて晒せとけ、芸能人のゴシップでも渡してな、そういう情報あるんだろ、情報省なら。」
「情報省というより諜報庁にですがね、分かりました、ストックがありますので放出させてマスコミを釣りましょう。」
「話を変えますが防衛大臣、作戦は明後日ですね?」
文部大臣がある作戦を思い出して話を変えた、それは敵基地攻撃作戦というNSA国家安全保障会議内でも大分揉めた作戦である。
「レムリア共和国軍事基地空爆ですね、戦闘機からの滑空誘導弾による長距離攻撃と巡航ミサイル原子力潜水艦によるトマホーク攻撃です。」
そこでミニタリーオタクな保安大臣は防衛大臣の説明でおかしな点に気づいた。
「ん?防衛大臣、トマホークを使うのか?25式は使わないのかね?」
25式とは25式巡航ミサイルの事である。核爆弾の搭載が可能であるがこの場合は勿論通常弾頭である。
「トマホークの使用期限が迫っているんですよ、在庫処理です。財務省が煩いので、」
当然ミサイルなどの弾薬にも使用期限がある。使用期限を過ぎると不発だったり効果が薄かったりと色々問題が生じるのである。
「トマホークだろうが25式だろうが変わらんだろうに、敵からしたらいきなりミサイルが現れて攻撃を受けるんだから、」
トマホークの射程は1500km、25式は8000kmなので確かにレムリア共和国程度の技術レベルならどちらも安全圏内から発射可能であるので変わらない為、財務大臣の言う通りである。
「なるほど、それで大陸の方はどうなっているんだ?」
「各国軍と協力して奪取された領土は全て取り返しました。しかしアーカイム空軍基地があり、敵はそこから戦闘機や爆撃機を出撃させている為、進出している航空自衛隊戦闘機でアーカイム空軍基地を攻撃し、再起不能にします。滑走路は勿論ハンガー、管制塔、燃料タンクまで全てです。」
「そういえば講和の打診の方はどうなっているんだ外務大臣。」
日本はレムリア共和国に講和を打診していたのだが、何故か無視され続けていたのである。
「恐らく握り潰されていますね、なんの返答も有りません。」
「はぁ、まぁ続けておいてくれ。取り敢えず敵基地を攻撃したらレムリアも乗ってくるかもな。」
「外務大臣、じゃあ講和の打診は続けておいてくれ。」
「はい、分かりました。」
羽柴総理が外務大臣に伝える、羽柴総理とてさっさとこの戦争は終わらしたいのである。戦争は金がかかるのだ、今は財政黒字な為問題無いが今後どうなるか分からないのだ。
「取り敢えず防衛省から報告ですがこの戦争でかかった経費は6850億円です。恐らくこの戦争がいくら早く終わっても1兆円は越えるでしょう。」
「はいはい、財務省としても補正予算案を組みますよ。予備予算が9兆円ありますので何とかなりますよ。」
財務大臣が待っていましたとばかりに手元のタブレットから目的の資料を見て発言する。
「そうか、じゃあ財務大臣頼んだぞ。」
羽柴総理大臣の言葉でNSA国家安全保障会議は終了した。この後国会で補正予算案の議決があるので今すぐにはいかないのだが、
2037.6.20
日本国 北海道 奥尻島沖
海上自衛隊 第3護衛艦隊群
航空機搭載型護衛艦『しょうかく』
04:30 現地時間
現在第3護衛艦隊群はレムリア共和国海軍アトム海軍基地から1800kmの地点に進出していた。ここに来るまで駆逐艦3隻、潜水艦11隻を撃沈、魚雷やミサイルにより一瞬な為基地に通報はされていない。
「艦長、F-3B 16機の兵装搭載を完了しました。」
「そうか御苦労、04:45に発艦させ作戦を完了開始せよ、06:30に潜水艦からトマホークによる攻撃が開始される。」
「了解しました!」
「JQ-2無人偵察機の偵察結果はどうだ?」
「アトム海軍基地はレムリア共和国海軍第4艦隊の母港らしく、戦力温存の為か巡洋艦4隻、駆逐艦12隻、潜水艦6隻、補給艦2隻が停泊している事が確認されます。
また基地には対空陣地が張り巡らせてあり、近くには空軍基地らしき飛行場も確認しました。」
「空軍基地は潜水艦がトマホークによる攻撃で無力化してくれる。湾の出入り口に機雷をばら撒いて湾を封鎖しろ。」
「はい、了解しました。」
「後、この上流にあるダムを破壊して水を大量に下流に流したら海軍基地は完全に破壊される。ミサイル巡洋艦『しなの』の155mm電磁加速砲による射程延長弾による砲撃で破壊しよう。」
ダムは基本的に大量の水からの圧力を受ける為強固に建設されている。その為ミサイルでは威力不足な為、貫通能力が強力なタングステン弾頭の電磁加速砲弾による砲撃を提案したのだ。
「射程延長弾を使用しても180km程度です。近すぎませんか?」
射程延伸弾を使用したら155mmで180km、127mmで140km程になる。現在技研で更なる延伸弾の開発を行なっている。
「空爆の後にするんだよ、そしたら制海権•制空権を確保しているから可能だ。」
「では、その作戦でいきましょう。横須賀にも報告しておきます。」




