第12話 戦争終結
2024年3月15日に中国が侵攻してから丁度2ヶ月後の5月15日、台湾を奪還した米軍はその戦力で海南島に上陸、海南島にいた中国軍は突然の上陸により総崩れとなり海南島を失った。
またインド軍の援護を受けたASEAN連合軍はタイやベトナムの領土を完全に奪還し、中国領土に攻め込んだ。
空母『アドミラル•クズネツォフ』を撃沈され新型空母『アドミラル•フルチェフ』を派遣したロシアは日本の航空自衛隊の援護を受け朝鮮共和国を完全に奪還した。朝鮮半島奪還により対馬•隠岐諸島に出されていた避難命令が解除され住民が戻ってきた。
5月17日国際連合は中華人民共和国に無条件降伏を突きつけたが中華人民共和国はそれを拒否、徹底抗戦の構えに出た。
5月20日ニューヨークにある国連本部で今後の事を決める為G8+ロシアとインド、台湾で会議が開かれた。その結果国際連合で中華人民共和国の常任理事国権限を没収し、代わりに日本が常任理事国になる事に決定した。
中国侵攻は日本国内でも議論になったが政府は占領が目的ではなく終戦の為の必要措置として決定した。国民にはPKFとして説明、終戦後にはすぐさま撤退する事が決定された。日本政府としても無駄に人命を失う事はしたくなかった。
国連での会議では各国の中国侵攻の役割も決定された。その結果陸上戦力はアメリカ、航空戦力と海上戦力はアメリカ、日本が派遣する事に決定した。だが日本も少なからずの陸上戦力を派遣する事がアメリカと決められた。
それにより防衛省は外征専用の第18師団と新設された外征専用の第19師団の2個師団2万4000名を派遣する事を決定。また航空戦力として3個飛行団を派遣、第1、第2、第4護衛艦隊群の計36隻の派遣を決定した。
そして2024年6月1日、第2次世界大戦での最大作戦であるノルマンディ上陸作戦より遥かに多い参加国と派遣戦力による上陸作戦•侵攻作戦が開始された。
海上自衛隊やアメリカ海軍の保有する SSGN(巡航ミサイル原子力潜水艦)によりトマホーク巡航ミサイルが上陸の障害となる空軍基地などに撃ち込まれた。その後台湾や日本などの基地を発進した戦闘機や爆撃機の上空支援のもと、アメリカ軍がや自衛隊中国沿岸部各地に上陸、侵攻を開始した。
工場が無傷のまま残っている日本や台湾ではアメリカ軍や自衛隊の使用する武器弾薬が大手企業などを中心に製造されていた。かつての朝鮮特需のような事が行われていた。
中国沿岸部各地に上陸したアメリカ軍や自衛隊は衝撃の事実を知る。中国各地で武装蜂起が相次ぎ上海を中心とする中華民国と、香港を中心とする中華連邦、そして未だに中国の70%を武力により支配する(ただしチベット、ウイグル地域は独立した為除く)中華人民共和国の闘いになっているのである。
中華民国と中華連邦は別々に独立したが現在は連合を組んで中華人民共和国と戦争状態にあると言う事だ。
この事を受け国連は中華民国と中華連邦と平和条約を結ぶ事に成功し、2ヶ国と合同で中華人民共和国を侵攻する事に決定した。
そして中国大陸に上陸し、中華人民共和国と戦闘を始めてから5日後中華人民共和国が日本とアメリカ、ロシア、中華民国と中華連邦に降伏してきたのである。
そして中華連邦の首都香港で講和会議が開かれた。そしてその結果中華人民共和国はアメリカと日本に計51兆円の賠償金を支払う事に決定した。そして中華人民共和国は中華民国と中華連邦に賠償金を支払わない代わりに2ヶ国の独立を正式に認める事が決められた。
それ以外にも日本の強い要求により中華人民共和国は核兵器を破棄する事が決定、それと同時に中国大陸は非核地帯にする事が決定された。
香港条約によって派遣されていた自衛隊は中国大陸から撤退する筈であった。しかし撤退出来なかった。
実は戦後の中華連邦と中華民国は治安が悪化し、両国は日本とアメリカを含む海外に治安が回復するまで軍の派遣を要請したのである。それを断る事は常任理事国の日本には出来なかった。
そこで日米両国はPKFをPKOに変更して両国に駐留する事になった。中国大陸の残りの40%のうち17%を持つ中華民国を日本が23%を持つ中華連邦をアメリカが派遣する事になった。
ちなみにロシアとは空母『アドミラル•クズネツォフ』の賠償金として5兆円の支払いで決着がついた。
日本ではPKOに対し自衛隊撤退を訴える野党も治安悪化に対して無視するという事は国際協調や国民感情、日本の国益を照らし合わせても反対する事は出来なかった。
また常日頃から人道的支援をと叫んでる野党からしてみれば人道的支援の為駐留する事に反対すれば支持者を失う可能性もあり、別に中華民国が攻撃されても自衛隊に中華民国を守る義務は無い為、渋々合意した。
日本企業からしても今まで制約の大きかった中華人民共和国より民主的な中華民国に進出する事は企業にとって多くのメリットがあった。その為進出する邦人を守る為にも自衛隊の駐留は強く望んでいたのである。
防衛省は派遣している第18師団と第19師団をそのまま任務をPKFからPKOに変更して駐留させた。
そして日米に多額の賠償金を支払ったが、どうにか日米は敵では無くなった中華人民共和国だがまだロシアとインド、そして中国共産党の一党独裁に反対する民衆がいたのである。
2024年6月15日日本とアメリカは中華人民共和国との戦争を終結した。その後台湾や東南アジアが中国から多額の賠償金を得て講和条約を結び終戦、日本は東南アジアや台湾のインフラ整備などに技術協力をした。
そのおかげもあり台湾や東南アジア諸国は急速に復興していき戦後2年経つと見違えるほどに復興していたのである。そして今回の戦争は国連で南•東シナ海戦争と呼ばれる事に決まった。
今回の戦争で1番被害を被ったのが中国では無く朝鮮共和国であった。中国軍に侵攻され一時は国土の70%攻められロシアのお陰で取り戻したがロシアに朝露国境50kmを譲渡する羽目になり、戦勝国?として挑んだ朝中会談も中国の外交的圧力に負け一切の賠償金を放棄してしまったのである。
そして得た物は朝中国境付近の一部の領土だけである。更に人口は中国侵攻により中国に行った人々や海外に逃げた為人口は激減し、戦前7500万人いた人口は戦後1600万人にまで減少してしまったのである。更に工業基盤を破壊された為朝鮮共和国は農業国に戻るしか無かった。
ほぼ全滅した軍の再建も大変でIMF(国際通貨基金)やEU諸国に大量の借金をしてなんとか最低限のインフラや工業基盤、軍を再建したのである。
2024.6.29
日本国 首都東京
総理官邸 会議室
14:22 JST
「ではこれより会議を始める。ではまず財務省から。」
「はい、中国から得た賠償金51兆円は外務省によるアメリカとの分配交渉によりアメリカ軍の方が被害が大きかったのでアメリカに27兆円、日本が19兆円となりました。」
「ん?ちょっと待ってくれ、差し引き5兆円はどこにいったんだ?」
「5兆円は台湾に渡される事になりました。」
「なるほど、分かったすまない続けてくれ。」
「はい、日本がこの戦争で使用した戦費と遺族への慰謝料などを含めて1兆2415億円です。」
「死者が1967人に登ってしまったからな。」
「ええ、その内弾薬費が7946億円です。」
「遺体は御遺族の元に返されたのか?」
「ええ、遺体の一部という事もありますが一応返されました、御遺族のいない遺体は国が責任を持って火葬して奉納しました。」
「そうか、分かった。」
「あと避難命令地域の補助金が47億円です。」
「南西諸島や対馬、隠岐諸島の分だな。」
「ええ、それを賠償金の19兆円から差し引き残り18兆円を現在各機関からの要請書により振り分け中です。」
「なるほど、では次回は7月16日だ、それまでに振り分けておいてくれ。」
「了解しました。」