裸の美少女にやさしく包まれるなんて
白一色の世界が薄らいでいくと、少しずつ、ユナミールの視界は回復していった。
ネムールも同様に、目を細めたまま、なにが起きたのかを確認しようと必死である。
「なになに、なにが起きたのっ━━生きてる、ユナミール?」親友がいるであろう場所へ、声をかけるネムール。
「うん、生きてたよ~」
互いの姿が見えるようになってくると、ふたりの足元になにかがあるのも見えてくる。
なにかが━━いや、誰かがいる。
誰かがいた。
「う~ん、うう~ん」
低いうなり声を発して、四つんばいになっていたその誰かが、ゆっくりと立ち上がる。
眉間にシワを寄せて半開きの目をした顔が、ユナミールをとらえた。
「……え?」
「あっ!」なにかを発見したユナミールは屈み込むと、おもむろに両手を差し出して━━その人物の股間にぶら下がった袋状の物体をそっと、やさしく包み込んだ。
「えええーっ!」と、獣のように低い声をした人物はとても驚いた様子で「なにこれ! なにしてるんスか! どんな天国ですかっ、天使さまっ⁉」と、よくわからないことを喋った。
ユナミールはそれには答えずに、両手で包み込んだ物体を見ながら、確信する。
「間違いないよ、これって、男性の部分だよネムちゃん!」と、声を弾ませる。
「うそ、まさか、成功……?」
うしろからの声に振り向こうとした謎の人物であったが、どうもからだの自由がきかないようで、振り向くことができなかった。
「あ、あ、あのぅ~、てっ、手を離して~」と、少しプルプルしながら情けない声を上げている。
「あっ、そうでしたね。男性の部分はとてもデリケートなのでした。ごめんなさい……あの、わたしはユナミールといいます。あなたは、異世界からきてくれた、男性さんですよね?」
「へっ? 異世……界? え? ここって天国で、オレは死んで……え? なんで裸!」
ユナミールのからだを見て、自分のからだも見てから、慌てた(おそらく)男性は自分の胸と股間とを隠した。
「そうでした!」その様子から、なにかに気がついたユナミールは頭に乗せていた下着を取ると、その場で着用する。「男性に裸を見せることは、その男性の死に繋がってしまうことなのでダメなのでした━━ごめんなさい、でも、召喚術の本にそう書いてあったから……」と、弁明する。
「召喚術……って、え、いや、まさか……」
「あなたは、男性なのですよね?」もう間違いないとは思いながらも、相手からの答えをもらうまで不安なユナミールは、しつこく問いただした。
「は、はい……男性、ですけど?」まだ混乱している様子ではあるが、男性だということを認める。
その返答を聞いたとたんに、ユナミールは満面の笑顔になると、嬉しさのあまりに泣き出してしまう。まさか成功するとは思っていなかったのだろう。自らが起こした奇跡で、胸がいっぱいになったのだ。
「やったねユナミール……あんたって子は、ほんと、すごい━━ぐすんっ」こちらも下着を着用したネムールが、泣いているユナミールの肩を抱いて一緒に泣いた。
そんなふたりの少女を眺めながら、男性は胸と股間を隠しつづけた。
ユナミールでーっす!
やりました! わたし、やりましたよ!
次回「生かされた男」
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