口裂け女-恐怖の都市伝説-
とある深夜の出来事。
1人の少年が、路地裏に寂しく足音を響かせている。
その背後から迫る闇。
コートをまとった女性だ。
マスクで顔の半分近くを覆っている。
露出された目から、怪しげな美しさを醸しだす。
そうとうの美人であろうと期待させる雰囲気をまとっている。
彼女は静かに話しかけた。
「私、綺麗?」
妖艶な声が、闇に覆われた静寂を震わせた。
古い街灯により、照らされた少年。
彼の足が止まった。
じっと、俯いている。
アスファルトにはゴミが散乱している。
少しだけ頭を持ちあげた。
顔は陰となっている。
綺麗な長髪を伺っているのだろうか。
「綺麗です」
少年は静かに答えた。
「これでもぉ?」
女性は厭らしく笑い、マスクを外した。
それだけで、彼女に対する印象は激しく変わるであろう。
口が耳元まで裂けていた。
人を喰らおうとする野獣のようだ。
少年は大きく顔を持ちあげた。
その瞬間に、悲鳴が夜の静寂を引き裂いた。
「ぎゃーっ、ばけものーっ!」
「おいこらっ。人の顔を見て逃げるなよ。失礼な女やな。足、はやっ!」
口裂け女は一目散に逃げていく。
100mを6秒で走れるほどのスピードで。
のっぺらぼうの少年は怒っていた。
お姉さんに化物呼ばわりされて、少し傷ついていた。
彼は自宅へ帰ると、ネットで愚痴った。