新たなS級指定モンスターに力尽きました 4
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「あんた正気なの?」
カトレアが「バカなの?」という顔でこちらを見て笑ってる
殴りたい、この笑顔
「いいか、今地下にはヤマタノオロチがいる」
「それはもうきいたぞ!」
セレスが説明の途中なのに口を挟んできやがった
「だから、蒸し焼きにしてやろうってことだ」
「んなこと分かってるわよ」
みんな冷たいね、俺に
「だが、ただ蒸すだけじゃつまらないだろ?」
「依頼をなんだと思ってるんだお前は……」
セレスが呆れたというようにそう呟いた
「で、どうするつもりなんだ?」
セレスの問に俺は答えた
「俺が瞬間移動でヤマタノオロチの中に飛ぶ」
「は?」
「それで中から火を通してその後外から焼き上げる。そんで30分蒸せば完成。」
「あんたまさか、ヤマタノオロチを料理する気?」
「そう!生き物は焼けばたいてい食えるって聞いたことがあるからさ。」
「確かに聞いたことはあるが、ヤマタノオロチは違うだろ……」
そして俺達は題して「ヤマタノオロチの蒸し焼き作戦」を開始した
蒸し焼き
それは、食材そのものの水分を使い蒸ながら焼くことをさす
そして俺は大きな誤算をしていた
この世界のヤマタノオロチには水分が無かった
いや、水分ない訳ないだろ。と思う人もいるだろう
しかし、こいつにはないんだよ、水分。
水分ないなら何で出来てんだって?
そんなの知らんがな
「ちっ!こうなったら最終手段だ!」
「焼き殺す!そして食う!」
「最初からそうしろ!!」
カトレアとセレスが綺麗にハモった
「まぁ、ここまで来りゃあ焼いても蒸しても煮ても変わんねえわ」
結論
食えればいい
「それじゃ、俺が引きずられた穴から……」
「力加減はしろよ、タケル」
どうしてセレスは心配そうにこっち見てくるんだろう
「よく焼けますように!」
俺は願いを込めながらその穴にファイアボールを打ちこんだ
あっ、やべ。力入れすぎた……
案の定、島のいたるところから火が吹き出してきてしまった
「おいおいおいおい、このままじゃ島がもたないぞ!」
「弱めろタケル!」
「いや、もう無理だどうしよう!」
その時、村長が動いた
「やれやれ、今の若者は元気が良すぎるなぁ」
そして、島中から吹き出ていた炎を止めたのだ。何かの魔法を使って
「危なかった〜!」
カトレアが冷や汗をかいていた
「村長、あなたはいったい……」
「私はただの年寄りですよ」
ヤマタノオロチは灰になっていた
「私たちの村を救っていただき、ありがとうございました。」
「いえ、俺達はむしろこの島を破壊しそうになってましたけど」
気づくと、村人達はいなかった
「村長、これはいったい……」
セレスが不思議そうに聞く
「実は私達は、もう死んでるのです」
それはつまり、今まで俺達は幽霊と一緒に祭りしたりしてたってこと?
「私たちの村は20年前にヤマタノオロチに滅ぼされました」
「実はその時、私達は殺されたのですが、どういうわけか魂だけ残ってしまいまして……」
そうか、やり残したことがあったから……
ということは
村長の体が徐々に消えてゆく
「本当にありがとうございました!」
こうしてヤマタノオロチ討伐の依頼を俺達はクリアした
その帰り道
「でも、魂だけの存在だったんならどうしてあの時、魔法使えたんだろうね?」
言われてみればそうだ。そもそも魔法使えんなら自分で倒せただろう。
それくらい凄い魔力を持っていた、あの村長は。
「さあな。でもまぁ無事成仏出来たみたいだし、ハッピーエンド何じゃないか」
そして俺達は思い出した
帰りの船、どうしよう……
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