優しさを求めて歩く
僕がいるこの世界を僕は
何から何まで理解していて
理解できないことなんてないと
恥ずかしいけどそう思っていた
科学者の語る法則みたいに
全て数式で表現できる
もちろんそういう訳じゃないけど
同じくらいの誤解をしていた
結局、全部「優しさ」なんだ
あぁそうか、やっと解ったよ
温かいけど僕を苦しめてきた
そいつの正体やっと解ったよ
僕が誰かに話しかけたら
その人が嫌な顔することもなく
快く話を聞いてくれるのは
ただただ「優しい」 それだけなんだ
片想い中のあの子だって
何でも言える友人だって
叱ってくれる先生だって
養ってくれる両親だって
皆が僕にくれる「優しさ」
それはまあるくやわらかく
ふわふわとして温かいから
ずっとそこに居たくなってしまう
しかし「優しさ」も有限である
いつの日か温めてはくれなくなる
やがて寒くなり身体を震わせながら
僕は「優しさ」を求めて歩き回る
身体を小さく丸めて歩く
僕は下しか見ていない
だから世界が解るはずない
「優しさ」なんてある訳がない
冷え切った身体を震わせながら
僕は「優しさ」を求めて歩き回る