桜井千景side
桜井千景、舞浜智恵理の擦れ違いsideです。
お互い大切に思い過ぎ、お互い遠慮し過ぎてしまう。
いつかこの時の話をして理解しあえることを信じて…。
-毎日楽しいけれど、何だか物足りなくて…。
共感仕合ながら、私も私も!って話すのは楽しい。
だけど、共通の話題以外で話すのが怖かった。
本当はもっと色々な話、したいんだけどな。
幼馴染みの智恵理は興味のないことでも聞いてくれていた。
明るくて可愛い、ちょっと過度なマニアだけど面白い智恵理。
クラスが違うから学校であまり話せないけど。
…でも、この前まではたまの休み時間に彼女は会いに来てくれてた。
心配で帰りに寄ったけど、彼女らしさのない声でなんでもないって…。
聞くことも出来なかった。
あるとき、彼女と話したことのある友達が真剣な顔して来たの。
『千景、舞浜さん…学校休んでるって知ってた?』
知らない…。
私は首を振った。
『千景知らないんだ?何かさ、虐められてたみたい、趣味のことで。』
言いにくそうに。
『あたし、最近見ないなって思ったから聞いてみたの。…残念可愛いとか気持ち悪いとか言われてたみたい。あ、あたしはないよ!…あんたが教えておいてくれたお陰で、彼女挨拶してくれてたし!』
そう、智恵理は分け隔てなく話せる切符のいい子のはず、なんだ。
不登校になるくらい追い詰めたやつが心底憎い。
…私は自然に名前を聞き出した。
いつものメンバーと変わらない会話をしながらの情報収集。
抜かりは許されない。
…今、目の前には泣き崩れる奴らがいた。
誰が見ても私を避難なんてしない。
そういう状況を作ったんだから。
だから、最後に暴露してやった。
『泣くとかズルくない?…智恵理を追い詰めたの、知ってるよ?』
私は嘘は嫌い。
全部本音だから、いつもの私のままで…仕返ししてあげたの。
だって、友達は大切にするものでしょ?
大切に思う相手ほど、過剰な対応をしてしまうことが多々あります。
必ずしもそうではありませんが。
仲良しであればあるほど守りたい気持ちって募ると思うのです。
誰よりも幸せであってほしいと…。
そう、自分よりも幸せであってほしいと…。