柚木玲side
不良三人目?w
毛色の違う、美少年です。
ベース様はハスキーな女性。
中々尖った少年です。
そんな彼も筋を通せばわかる。
人間、迷ったら一喝されることで、見えてくる…気がします。
ーー何もかもが面倒だった。
入学式にも顔を出さなかった。
だからと言って、家にも居たくなくてフラフラしていた。
こんな時間に制服で彷徨いていれば、絡まれるのも通りで。
そんなことも面倒臭い。
身長は高くないし、細身で女顔。
絡まれやすい体質だがそれも面倒臭い。
無視をすれば、殴りかかってくる。
実に単細胞だ。
見た目で判断する馬鹿が嫌いだった。
返り討ちも日常茶飯事。
『…甘いんだよ。馬鹿じゃねぇの?くそ面倒臭ぇんだけど。』
一言目、二言目には面倒臭いしか出てこない。
何がしたい、何てわからない。
考えることすら面倒臭い。
だが、そんな毎日も終止符が打たれた。
いきなり制服の後ろ襟を捕まれて、強引に引っ張られる。
『…うげっ!?』
『…見つけたぞ、柚木。』
ソイツは俺の通うはずの学校の教師、天川だった。
『…んだよ!何のようだよ!』
分かっていても、分かりたくなかった。
『不登校児の回収に決まってんだろうが!…何で担任でもねぇ俺が探さなきゃなんねぇんだよ。三嶽ん前に引き摺ってやっから覚悟しろ。』
三嶽…ああ、確か担任の女の名前。
『…面倒臭ぇ。』
『グダグタ言ってんじゃねぇよ。』
有無を言わせない口調が嫌だった。
大人は自分勝手だ。
…本当は自分が一番、身勝手なことくらいわかってるけど。
生徒指導室に押し込まれる。
…イライラしていた。
その時耳を疑う声が響く。
『…太朗ちゃん、代わりに探してくれたのは嬉しいけど、無茶したんじゃないの?』
『仕方ねぇだろーが!既に何人か伸してたんだからさっさと回収しねぇと不味かったんだよ!
てゆーか、太朗ちゃんってのやめろ!』
『はいはい…。柚木ー?』
ガチャりと入ってくる。
…今度は目を疑った。
待て…俺は錯覚を見ているのか?
さっきのはコイツだとは認識出来る…。
思考回路が停止した。
『……木?柚木!よーく聞け?…あたしのクラスになったからには逃がさねぇよ?若さを活かせ。馬鹿になれ。今のおまえみたいなのはいくらでもいんだ。不特定多数の一人より、自分らしく生きろ。…遅刻してもいいから来い。以上!』
…言うだけ言って去っていった。
『…はっ!無茶苦茶すぎんだろ。だけど…おもしれーヤツ。』
…俺のベクトルはおかしな方向へと向かった。
毎朝の日課は佳奈子の胸を後ろから鷲掴み。
いやぁ、実に掴み甲斐のある胸だ。
毎回同じ時間じゃ対策を練られるからな。
時間はランダムで。
教師には見えないが、からかうにはもってこいだ。
毎度毎度引っ掛かって怒鳴ってるけど、怖くねぇ。
…きっとこいつが優しいからだ。
本気でぶつかってくるとか、前までの俺なら面倒臭がってた。
クラスの奴らも絡んでみたら愉しいし。
…こいつのクラスで良かったって思えたんだ。
ここが俺の居場所、なんだな…。
佳奈子のボクはたまったもんじゃない、という気持ちはさておき。
やる気スイッチが入ることは大事ですね、うん。